この記事はなに?
2021秋アニメ(10月~12月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、可もなく不可もなくという取れ高だったと思います。 一部の覇権だろうなというアニメが順当に覇権争いをしていて、逆につまんないだろうなというアニメが順当につまんなかったという何の大番狂わせも無いクールでした。あと、僕自身忙しかったりネトフリに幽閉されてるアニメが多くてあんまりアニメを見れなかったというのも悲しかった……巨大資本を許すな。
ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。
- C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
- B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
- A:順当に面白い。良作。
- S:めっちゃ面白い。覇権枠。
- SSS:きらりと光るクソ。
注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。
感想
C
世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する(C+)
1話だけならAランクなんですが、2話以降が概ね面白くなかったです。 マジで1話のおっさん暗殺者はかっこよかったし展開にも納得感があったのに、転生してからは全てがダメになってしまった。 たまに偉い展開があったとはいえ、何というか暗殺者なのにほとんど暗殺っぽいことしてないしうーんという感じ。
どうやら1話だけがアニオリで2話以降は原作準拠らしいです。 それって原作がつまらな(以下略
B
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました(B)
実は原作の漫画を読んでいて、そのときからそこそこ読める作品だなと思っていたら、アニメ化してもそれぐらいの評価に落ち着いた。 メインヒロインがきっかり決まっていて他のヒロインが出ることもなく(妹はいるが)、一生イチャコラしているのは好印象。 テーマが一貫しているところとか、キャラクターを雑に使い捨てないところはとても良かったと思う。真面目に作品を作っているのだと感じさせてくれる。
ただ、主人公が追放されたパーティのただ一人以外全員に惜しまれており、もはや追放というよりは主人公が勝手に出て行ったのでは?というレベルだったので笑ってしまった。こいつ、マジで勇者パーティに飽きて自分から出ていっただけだろ。 主人公の言動からマジで欠片も元のパーティに思い入れ無いっぽくて、「真の仲間じゃない」の部分だけは本当とかいう最悪のタイトル回収だった。
高尾奏音がロリっぽくない声出してるの珍しいけど、慣れてないのかまだたどたどしさがありましたね。これはポジティブな意味で、場数踏んでこれから成長して行いって欲しい。普通に好きなので応援してる。
サクガン(B)
1話が最高速度。そこから徐々に失速していった。
1話の雰囲気的にはおっさんx少女の話でデカダンスっぽく、かつメイドインアビスっぽく迷宮探索をするのかなと思っていた。しかし蓋を開けてみると、主人公親子以外にも付き添いがいたり、迷宮パートなくて人のいるコロニーでの人間ドラマがメインで「何か求めてたのと違う……」ってなってしまった。 サクガンとかいう明らかに面白そうなロボット要素を入れておきながら、ロボットが活躍するシーンもそんなにないし何がしたかったんだろう。
伏線とかもしっかり張っていて面白いは面白いんですが、全体的に展開の要所要所が雑だった。何というか「顧客の見たいもの」と「制作側が作りたいもの」がちぐはぐになってしまっていた悲しい作品。逆に言えば世界観や設定を活かしきれていないということなので、単純に残念。
テスラノート(B)
エクスアームを期待していたのに普通にそこそこ観られる作品がでてきてびっくりした。 エクスアームより遥かによく動くし、間や演出・脚本もそれなりに普通、音量バランスも適切だった。素晴らしい。アニメとして当たり前のことができている。
全体の完成度はそこそこ。 終盤のどんでん返しは面白かったのだが、道中が微妙なのと最後の最後までつまらないギャグを埋め込んだのだけダメ。 ギャグは本当につまらない。残念ながら。
急に表情だけ手描きになったりするが、結構チャレンジングな演出で僕は好き。
鈴木達央の遺作になるかもしれない。
白い砂のアクアトープ 2クール目(B)
P.A.Works の悪いところが出てしまった。
凪のあすからが売れたから海辺を舞台にして、SHIROBAKO が売れたからキャラクターを労働者にして……って、そういうことじゃないでしょ!! 売れたからという理由で要素だけ引っ張ってきて繋げても面白くはならないって、『君は彼方』で学ばなかったの!?!?
結局最後まで何がしたいのか分からなかった。 水族館もあっさりと潰れてその後特に話に上がることはなかったし、謎のファンタジー要素も一切(本当に一切)回収されることなく終わった。マジで何だったんだよ。
作画と声優と、1話単位で見た脚本は悪くなかったけど、作品全体で見ると「何がしたかったん?」で終わってしまう。 本当に2クールかけて微妙な感じで終わってしまった。
月とライカと吸血姫(B+)
あのぅ、今は2021年なんですけど……何なら来年は2022年……
このアニメの内容は概ね2013年ぐらいだった。いや、マジで滅茶苦茶に懐かしさを感じる設定とキャラクターでびっくりした。アニメを見るたびにカレンダーを確認して今が2021年であることを確認していた。 この作品、もしかして制作に10年ぐらいかかった? メインヒロインの声優が林原めぐみだったり、OPがアリプロなのもとんでもない選出だなと思いました。分かってやってるな?
内容が古いからか、やや展開のチープさとか現実感の薄さがある。 世界設定自体がかなり史実をモチーフにしているため、より一層現実感の無さが際立ってしまうのかもしれない。 その辺りに目を瞑ると面白いと思う。
A
先輩がうざい後輩の話(A+)
安心と信頼の動画工房……と書きたかったんですが、おさまけとかいう前科を作ってしまったので安易に言えなくなってしまった。と前置いておきながら、本作はめちゃくちゃよくできていた。
OP 映像からして気合の入りようが窺える。めちゃくちゃ枚数使ってるし、キャラも可愛く描かれている。 内容としては期待通りの複数カップリングが発生するラブコメで、安心して見れた。 個人的には風間と桜井のカップリングが一番好き。オタク君みんな好きだろあんなの。
楠木ともりと武内駿輔の組み合わせも良かったですね。武内くん、若手なのにおっさん役ができる良い声質なのでああいう役一杯やって欲しい。
86(A+)
完成度だけなら S でも良いくらいなんですが、総集編挟んだり放送スキップしたりして万策尽きてたので……何なら最終回延期したしな。 まあクソみたいな作画で未完成のまま世に放つよりは誠実で良いと思う。
内容自体は1期の完成度が高かったとはいえ、2期もめちゃくちゃ面白かった。脚本演出音響作画、全てにおいて文句のつけようがありません。 取り立てて演出が良かったですね。情景描写とキャラクターの表情がめちゃくちゃ丁寧だった。 最近のアニメって何でもかんでもセリフで言わせがちで(鬼滅とかまさにそうなんだけど)、このアニメはかなり丁寧に情景描写を頑張っている印象を受けた。普通に勉強になる。
ただ一つ言うなら、ヒロインの幼女は好みが分かれそう。僕は割とニュートラルな評価です。
S
最果てのパラディン(S)
ちゃんとやり直しに向き合う異世界転生もの。
やっぱり家族愛とかの描写がしっかりしている作品は良いものですね。 無職転生しかり、転生したんだからやり直しにしっかり力を入れますというのは本当に偉くて、これができていない作品も多い。 家族の描写とか、転生した主人公の前世への後悔とかの描写が丁寧で良かった。
強いて欠点を言うなら、これは難癖に近いんだけど、主人公の挫折が急すぎて少しびっくりした。 主人公が家族と離別してからずーっと聖人君子の完璧人間をやっていて「え~なんか主人公完成しててつまんねぇな」と思っていたら、アニメの終盤で「自分が常軌を逸した存在である」ことに苦悩するシーンが差し込まれる。 この挫折の差し込みは本当に偉くて、それまでのウィルの行いがある意味当人も無自覚に調子に乗っていたと叩きつけられるシーンなんだけど、ここは出来れば視聴者にはもう少し前振りが欲しかったかもしれない。少なくとも僕の目にはそれまでのウィルの振る舞いは完璧かつチートチートしていて、どだいここから失敗&成長するように見えず退屈だったので、そのあたりの前振りとしてわずかな不穏さを演出してくれていたら満点だったかも。
とまあ面倒なオタク特有の難癖は付けたが、いかんせんめちゃくちゃ面白かったので良し。
大正オトメ御伽噺(S)
ユヅはかわいいなぁ!!!
金で買われた女の子が主人公に嫁ぐ話なのだが、いかんせんこの嫁いでくる女の子が本当に健気で可愛いので無限回「ユヅはかわいいなぁ!!!!」と叫んでいると毎回の放送が終わっている。 主人公や周囲の人間がユヅのひたむきさや純真さに触れて変わっていくところとかも王道ではあるもののよくできている。安心して見ることができた。
それに最終話に向けて関東大震災が起きてかなりシリアスになるのもバランス感覚が良かったと思う。 最後までゆるふわのまま終わらせることもできただろうに、ちゃんと転と結を持ってきたのが偉い。
takt op.destiny(S)
「開演ッ!!!!」ってやりたくなる。
男の子が指揮をしてパートナーの女の子が異能で戦う作品はいつ見ても良い。 全オタクは Fate が好きだしセキレイが好きだしカンピオーネもストブラも好き。後半微妙に違うけど。
制作が MAPPA でとんでもなく作画が良く動くし、キャラデザ LAM なのでキャラクターのデザインが非常に良い。というか LAM のキャラデザをほぼそのまま激しい戦闘でぐりぐり動かしてて、MAPPA とか言う会社バケモンかと思った。すごすぎるだろ。
来年リリースされるソシャゲの前日譚らしいのだが、それも含めてよくできている。 細かい話はネタバレになるから言及できないけど、シナリオも王道を抑えつつオリジナル要素もあって良かった。
好みで言えば今期一番好きだったかも。
王様ランキング(S+)
いや~面白い。ただただ面白いと言うほかない。
これはそもそもたぶん原作が面白いんだろうけど、マジで普段何を食べてたらこんな魅力的な世界観とシナリオひねり出せるんだ。 世界観とか設定も真新しいし、登場人物がシンプルな善悪に分かれていなくて色々な思惑の下に動いているのも良い。 展開のどんでん返しみたいなのも多く散りばめられていて、純粋に作品としてのパワーが段違いに高い。
あと、やっぱり愛ですよ愛。最近の気付きとして、愛をちゃんと描いている作品は面白いんだよな。
声優も、村瀬歩に男っぽい声出させてたり、櫻井孝宏に三枚目キャラをやらせていたりと面白い配役が多くて良かった。 声優の演技力をしっかり頼りつつ、声優それ自体のコンテンツ性に頼らないキャスティングは見事と言うほかない。
無職転生(S+)
流石に覇権。
もはや語ることも無い。強いて言うならパウロとルディの再会のシーンは原作読んだときからずっと好きだったが、120点のアニメ化をしていて不覚にも涙腺に来た。 BD を買います。3クール目早く来てください。よろしくお願いします。
一応コメントしておくと、加隈亜衣のはまり役が本当に良い。ありがとうという言葉しかない。
SSS
進化の実〜知らないうちに勝ち組人生〜(SSS)
SSS であると確信を以って断言できる作品。
久々に本当の本当につまんねぇなろうアニメが来たなと思いました。 異世界チート魔術師、平均値花子を超える大笑顔アニメーション。 笑顔を通り越して、何なら真顔のまま固まってる場面の方が多かったですね。
この作品、制作者が悪ふざけで作ってるのがたちが悪い。 「いやいやwこんな作品に何でマジになっちゃってんの?w」という予防線が随所に散りばめられていて、「逃げるな!逃げるな、卑怯者!!」ってキレてました。 いやまあ真剣に向き合ってもつまんないもんはつまんないんで、しょうもないギャグもどきをぶち込みまくって誤魔化すのが一番いいんでしょうけど、やっぱり真剣にバカをやっている作品の方がキラリと光るものは芽生えやすいわけで。自分で予防線張ってる作品ほど冷めるものもありません。
一応、声優だけは無駄に豪華で2014年ぐらいの有名声優をぼこすこ採用している。 こんなアニメのアフレコさせられる声優、もしかして業界から干されてるのか?と思って各人の不祥事を漁ったのですが、1つも出てこないので首を傾げました。
こういう特に作品への愛も無くアニメ化するの、誰が幸せになるんだろう…… このアニメに進化の実を食わせたらちょっとはマシになりますかね?
まとめ
今期は、良くも悪くも想定内という作品が多かったですね。 特に、B 以下の作品はどれも惜しい作品が多く、もう少し頑張ればもっと面白くなり得たのになぁという残念なものばかりでした。 進化の実ぐらい突き抜けてつまらないとこんな気持ちにもならないんですけどね……
ちなみに鬼滅は入れてません。無限列車編は既に映画のレビューを書いているし、遊郭についてはまだ終わっていないので、終わったら書きます。