2021春アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021春アニメ(4月~6月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、評価が難しいアニメが多かったように感じます。 多くの作品が非常に面白く、思わず拍手喝采してしまうアニメも多かったです。 特にSランクの作品はハイレベルでまとまっており、憂いなく人に勧められるタイプの作品が多かったですね。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

聖女の魔力は万能です(C-)

森羅万象が既視感で構成されている作品。乙女ゲームをなろうで味付けしている。 乙女ゲームの破滅フラグが先にアニメ化されていなければまだ多少は評価を受け得た気がする。 あれが既にテンプレ異世界乙女ゲー作品に対するメタ作品になっていたので、その後出しでこれが出てもどうしようもない感じもあった。

と、さもはめフラが無ければ面白かったかのように書いているが、それを抜きにしても別に面白くはない。 死ぬほどつまらないわけではないが、面白いか面白くないかで言えばつまらないので悲しい。

ただし、声優は抜群に良い。男性声優の甘い演技が聞きたければおすすめ。 櫻井孝宏が裏切らない。

B

究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら(B-)

慎重勇者の作者の作品だから面白いかなと思って見始めたが、そこまで面白くなかった。つまらなくもないけど。

主人公が一切無双しないのはコンセプトとして分かるが、それが面白くなるとは限らないので難しいなと感じた。 本作品は全体的に王道やテンプレの逆張りを行くのだが、「いや、流石にここは決めて欲しいが」ってところでも逆張り続けるので一生肩透かしを食らうことになる。 慎重勇者なんかはそのあたりのバランスが取れていたのに、どうしてこの作品では出来なかったのか……

頭のおかしいヒロインがいっぱい出てくるの結構好きなんだけど、メインヒロインの女が頭おかしいを通り越して不快感すら感じてすごいなと思った。 こう、作者が意図しない形でキャラクターが不快なことはよくあるんだけど、作者の意図する形でキャラクターがめちゃくちゃ不快なのはすごい。

微妙に SAOA パクってるのとかは面白かったけど、SAOA 本家の方が面白かった。ネタ的な意味で。

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω(B)

ヒェイ レミヒェユシン ウー チュッチュッチュー

何で OPと ED が DJ Koo なんだよ。ずるいだろ。 たまにアニメの本編流れてる裏で BGM が ED 曲になることあると思うんだけど、どシリアスなシーンで急にハイテンションなラップ曲流れ始めて爆笑していた。 誰も違和感に気づかなかったのかよ。

本編は全体を通してお色気シーンも多く、主人公がほどよく苦戦しつつ無双する、由緒正しいB級アニメという感じだった。 とはいえ、凡百のなろうアニメと違って不快感はなかったので良い。 主人公がやれやれ系ではないこととか、普通に苦戦するところとか、キャラクターに人格が存在しているところとかが効いてるんだろうな。

いや、凡百のなろうでもキャラクターに人格は存在しろよ。

ドラゴン、家を買う(B)

異世界もの……なのか?

ドラゴンの主人公が家を買うためにあちこちを奔走するお話。 オムニバス形式というか単話完結の話を繰り返す形式で、雰囲気としては『魔王城でおやすみ』とかが近いかもしれない。

全然つまらなくはなかったと思う。コンセプトがはっきりしているし、作品の空気も統一感があった。 取り立てて面白かったとは言いづらいが、何だかんだ「あ、今週も見るか」という気持ちになれた。

SHAMAN KING(B+)

古典。原作は古今和歌集とかと同じ時代に書かれた作品ですね。

何でもう一回アニメ化したのかはよくわらかないが、少年漫画感があってよかったと思う。 ただ、良くも悪くも古めの少年漫画なのでめちゃくちゃ面白いって感じの作品ではなかった。 普通に面白い、ぐらい。

まあ、僕の感性が正しくアップデートされていて、近年の少年漫画のほうが面白く感じているだけなのかもしれない。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(B+)

サラリーマンが家出した女子高生を拾う話。

僕は原作を読んでいて、その頃からややキツさを感じていたがアニメ化してもややキツイのに代わりはなかった。 主人公が良い大人ぶっているところに対するツッコミが甘くて、いまいち「うーん、でもこれ犯罪だからなぁ」ってなってしまう。 周囲の人間が主人公と女子高生の同棲を許容しているのも、「いや、えぇ……」って感じだった。 もう少し作品が低俗だったらそんなところが目に付くこともないんだけど、やっぱりある程度ステージが高い雰囲気を感じたからこそ、もう一歩足りないのが気になってしまう。

途中で間男が出てくるんだけど、こいつも中途半端で甘々だった。 こいつがもう少し敵役として場を引っ掻き回してくれていたら、割と満足していたかもしれない。 出て来るキャラクターがどいつもこいつも善人……というか主人公にとって都合の良い存在が多く、もやりがあった。

たぶん、この作品が描きたいのはおっさんと女子高生の話であって周囲とのあれこれみたいなのはあまりやりたくなかったと思うんだが、それならキャラをもっと間引いてしまっても良いかなと感じた。 特にこのコンセプトで女子高生以外のヒロインが2人もいるのが意味不明なんだよな。要らなくない?あのサブヒロインズ。 石原夏織金元寿子ともに負けヒロイン役が板についていてそれはよかったけど。

と、ここまで色々と悪し様に言ってしまったとはいえ、全体的にまとまっていて良いアニメではあったと思う。

A

スーパーカブ(A-)

言葉で上手く言い表すのが難しいが、ジャンルとしては日常系になるんだろうか。 マジで女子高生が一生カブに乗っているだけなんだけど、実直な面白さがあった。 ゆるキャン△とかの面白さに、質的には近いのだけど、あちらほどキャラクターの可愛さを押し出しているわけでもなかったと思う。

最後の展開だけはマジで意味不明だったけどそこだけ目をつむる。 何であんな展開にしたんだ。 主人公、薄々頭おかしいと思ってたけどマジで頭おかしいやつだった。

他人に強く薦められるタイプの作品ではないが、放送が終わったらちょっと寂しいかもしれない。

戦闘員派遣します(A)

このすばの作者、暁なつめの三作目のアニメ化。すげぇなマジで。

僕はこのすばのギャグが結構好きなので、このアニメのギャグも楽しめた。 ヒロインが絶妙に可愛く、絶妙に面倒くさいのが暁なつめ節という感じがして良い。 凡百のなろうアニメのテンプレ記号ヒロインズの何百倍も魅力的に思う。

まあ、ただギャグとか作風とか諸々込みで合う合わないはありそうかな。 僕は好きでした。2期待ってます。

灼熱カバディ(A+)

最近気付いたんだけど、スポ根面白くない?

カバディとかいう面白競技で興味惹くだけの男ばっかの BL 一歩手前みたいな作品だろうと思って見始めたが、めちゃくちゃ真面目にスポ根やってて面白かった。 登場キャラクターのパワーバランスが絶妙だったのもよかったと思う。 スポ根、主人公が天才だけどそれ以上に周りも強くてみたいな話が好きなんだよな。

一方で、カバディというスポーツ自体がキャラクターに多様性を持たせるのが難しいなと感じた。 極論アタッカーとディフェンダーの2ポジションしかなく、しかもフィールドが狭いから動かすのも難しいので、フィクションに昇華するのが難しい対象だと思った。 ただ、この作品の偉さは、そんな状況でも雑な人間ドラマなどに逃げることなくちゃんとカバディをやり続けていること。 映像のほとんどが練習試合か試合してるからすごい。

S

シャドーハウス(S)

全員かわいい。

最初、ホラーアニメだと思って見始めたが、ほんわか異能バトルアニメーションであることが判明した。 シャドーと生き人形たちが仲良くしているのを見てほんわかするアニメなんだよなマジで。

ただ、これはアニメがどうというより原作の設定と世界観が抜群に良いのがすごい。 設定と世界観の時点で大抵の作品に勝てるほどのポテンシャルがあるんだよな。 アニメ化に際してその輝きを損なうこともなかったので良かった。

悪い点を挙げるなら、終盤にシャドーハウスの秘密を登場キャラがぺらぺらと喋り始めたところかもしれない。 作品の面白さの根底にシャドーや生き人形の正体が謎に包まれていることがあると思っていたが、そこのネタバラシを急に全部されたのが悲しかった。 もちろん、お披露目までが第一部で第二部が始まる区切りみたいな意味合いもあるのだろうけど、それにしてももう少しゆっくりやっても良かったのかなと思った。

DYNAZENON(S)

最初は展開の雑さから微妙かなと思っていたが、人間ドラマが動き始めてからはかなり面白かった。 日常と非日常が絶妙に交わり切れていないで分離している部分とか、日常と非日常が逆転している部分とか、シュールギャグギリギリのシリアスとか、微妙なバランスの下に成り立っていた。

総括すれば脚本と演出がひたすらに秀逸だった。巧く、完成度が高い。 添加物の一切入っていないジャンクフードという感じ。 そもそもロボットがやや素材として癖が強いのだが、調理方法が上手すぎて一つの作品として落とし込めている。

最終話まで見た限りでは、グリッドマンよりもキャラクターにフォーカスしていて好き。 グリッドマンはやはりロボットやら怪獣がメインだった感もあるが、今回は巻き込まれる少年少女たちによりウェイトが置かれていた感じがする。

86(S)

こういうラノベ作品マジで増えて欲しい。

いっぱいいる仲間たちが死んでいくのが最初から分かりきっているバッドエンド確定の作品なわけだが、そんな中でも前進と微かな希望、みたいなものが描かれていた。この手の作品ってお涙頂戴のバッドエンドありきの「お前らこういうかわいそうなのが見たいんだろ」ってなりがちなんだけど、そうはならずに絶妙なバランス感覚を見せていたと思う。悲劇の最中にいる奴らが全く悲観的じゃなかったあたりとか、めちゃくちゃ優秀だったのとかが良いのかな。

主人公のミリーゼが最後の方で急成長を見せたのも良かった。親友と絶交して醜い言い争いをするシーンは最高でしたね。 やっぱり世界が動いて、キャラクターが変わっていく作品は良いもの。

ゾンビランドSAGAリベンジ(S+)

ゾンサガの2期。とても面白かった。 ゆうぎりの過去とか、愛とアイアンフリルの話とか、1期であまり触れられなかった部分を回収していた。 1期は話題性重視で一発ネタ的な部分も多かったが、2期はある程度人気を獲得した上で堅実に面白いものを作ろうとする姿勢を感じられた。

だが、良くも悪くも想定内の内容というか、コンパクトにまとめてきた感じがして、1期ほどの爆発力は無かった。 由緒正しい2期という感じで、完成度は高かったのだが1期のインパクトだけに2期のハードルを上げすぎてしまったかもしれない。 ゾンビランドSAGAにはさらなるぶっ飛びを期待していた部分があったので、もう一化け欲しかったかも。

……というレビューをね、11話ぐらいまで見たところで書いてたんですよ。 何だよあの最終回の終わり方。マジで言ってんのか? なーにが堅実で面白いものと作ろうとする姿勢だ。 途中まで常識的な脚本書きすぎて急に発狂したんか脚本家(褒め言葉)。

Vivy -Fluorite Eye's Song-(S+)

長月達平脚本のオリジナルアニメ。 AIが高度に発達し人間を滅ぼすので過去に戻ってそれを阻止するAIのお話。

こう書くとやや見覚えがある気がしないでもないが、非常によくできていて面白かったと思う。 長月達平らしい演出や展開のあざとさはあったものの、脚本、演出、作画、音楽、とどの切り口で見ても完成度が高かった。 やや歌周りの演出が強引だったかなと思わなくもないが、そんなに気になるほどでもない。

とりわけ、個人的には福山潤福島潤ではない)の演技がめちゃくちゃに、本当にめちゃくちゃに良かった。 福山潤はアップテンポな演技が似合うと思っているのだが、今作はそんな彼の演技とキャラクターが完全にマッチしていた。 もちろん口早にまくし立てれば良いというわけではなく、演技の中に確かに感情や表現が込められており、時には少ない言葉でも複雑な感情を表現していたと思う。 久々に声優の表現力の高さに感動を覚えた。

メガロボクス2(S+)

とんでもなく面白い。やばい。

メガロボクスは1期も見ていてめちゃくちゃ面白かったが、まさか2期もここまで面白いとは思わなかった。 1期は底辺からチャンピオンに成り上がったところできれいに終わっていたのでどうやって2期を展開するのかと思ったが、ビビるぐらい話の運び方が上手くて毎話「面白い!面白い!」って炎の呼吸の使い手になっていた。 1期では背負うものもなく上を見て成り上がるばかりだったギアレスジョーが、多くの背負うものを得て、最後には死んだ友人のギアを背負って現チャンピオンに挑む構図は2期として満点を与えたい。ギアにそういう意味合いを持たせるのは巧いなぁと思った。

1期も込みで間違いなく人に勧められる名作。

すばらしきこのせかい(S+)

いにしえのゲームのアニメ化。

何が面白かったか言語化しづらいけど、やはり大きいのはキャラクターの魅力があることかな。 登場キャラクターが敵も味方も魅力的で、主人公が人と触れ合いながら成長していくという王道な物語運びが良かった。 世界観や設定もよくできていて、ややゲーム的ではあったものの上手くアニメに落とし込んでいたと思う。

全体的に淡泊というか、ゲームをアニメに落とし込んだせいでややシーン遷移が細切れ感もあったけどそこまで気にならなかった。

オッドタクシー(S++)

群像劇の極致というような作品。

芸人を声優に採用していたり、そもそもキャラクターが動物人間だったりとやや異色さが目立つが、それを抜きにしても面白かったんじゃないかと思う。 やはり群像劇特有の複数キャラクターの視点で一つの物語が進んでいく様が緻密に描かれていたところが抜群に良かったのだと思う。「ここがこう繋がるのか!」という驚きと面白さ。巧妙に張り巡らされた伏線が終盤に続々と回収されていく様が、あまりに鮮やかだった。

何を話してもネタバレになってしまうので、是非とも見て欲しい。

不滅のあなたへ(S++)

1話を見て衝撃を受けた。24分の映画を見ているような没入感と感動だった。 それ以降も1話ほどの爆発力ではないにしろ、ずっと面白かったと思う。

不死の主人公が定命の者たちと関わりながら成長していくのも、人同士の触れ合いの描写も良かった。

が、散々キャラクターへの愛着を育ませておいて最後には殺すので毎度大号泣することになる。 つらすぎて2クールあるのが信じられない。見るけど、見たくないです……

やや予定された悲劇感もあるかもしれないが、それはそういうお話のコンセプトだからいいと僕は思っている。 人によっては合わないというか、感動ポルノみを感じるかもしれない。僕はそんな風には思わないけど。

SSS

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(SSS)

今期のしょうもなろう枠。どこを切り取ってもしょうもないのですごい。 タイトルが全ててそれ以上の情報はこの作品にはない。

最初は C に入れていたが、あまりにしょうもなさすぎて SSS に格上げした。 中々無いですよこんなこと。

毎回、主人公をよいしょするくだりが入るのも最早伝統芸能に近いものを感じて笑顔が溢れてしまいますね。 クールジャパンが誇る日本文化、歌舞伎、相撲、なろう。

真面目にレビューをすると、枠としてはきららが近いんじゃないかな。 女の子たちが出てきてワイワイし続ける感じのやつ。 ただ、主人公が転生してきて明らかにパワーバランスが主人公が一番強いところとか、若干説教くさいところとかになろうを感じてしまって良くなかった。 しかも、きららの中でも虚無寄りのきららなので普通にそれを抜きにしても面白くない。

あと、この作品の一番すごいところは声優がクソアニメ声優ばっかりなところなんだよな。 悠木碧和氣あず未本渡楓、千本木彩花……こんな面子投げつけられたら作品の内容一切知らなくてもクソアニメだと分かるくない?

幼馴染が絶対に負けないラブコメ(SSS)

あの、ご存知ないかもしれないんですけど、今年は2014年ではなく2021年なんですよね。 このご時世にまさかこんなコッテコテの学園ラブコメラノベ作品がアニメ化されるなんて思わなかった。

ただ、それだけだったら B とかにランク付けされるんだけど、こいつが SSS に格上げされた理由は脚本と演出の異常さにある。 誤解を恐れずに言うと頭がおかしい。もう少しだけ配慮した言葉を使うと、薬でもキメてんのか?

頭のおかしい展開を一部だけでも挙げると以下のようなものが挙げられる。

  • 文化祭で「演劇でヒロインに思いを伝える!」と言っていたのに急にださいダンスバトルを始める。
  • 謎の CM を作り始めてその CM の映像の意味がわからない。
  • ヒロインが急に記憶喪失を自称し始めるが、記憶が消えている描写があまりない。

まあ、おかしさの片鱗は理解してもらえたと思いますが、別にこういうのを抜きしても恒常的に登場キャラクターの言動に一貫性がないからすごい。 スンってしてた主人公の友人が急にキレ始めたシーンとかげらげら笑ってしまった。

作画も全体的にぐずぐずで、「ほんとに動画工房か?」となって制作会社を何度も見たが現実は非情。

いや、久々にここまでめちゃくちゃな作品を見ましたね。 完成度が低いとかじゃなく、めちゃくちゃなんだよな。なんで?

総評

今期は、順アニメが多くて豊作だった気がしますね。 一方で痺れるほどのSSSはなく、「いや、まあSSSかな」ぐらいの作品がほとんどでした。 ちなみに、「異世界の門」というとんでもないアニメ(?)が今期(前期から引き続き)放映しているのですが、これをSSSに入れてしまうのは流石にSSSのアニメにも失礼なのでもしレビューを書くとしたら単体で記事にすると思います。