2021夏アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021夏アニメ(7月~9月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、正直なところで言うと不作だったのかなと感じています。 手放しで面白かったと言えるアニメが少なく、またぶっ飛んだアニメも僕の観測範囲内では少なかったです。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

ピーチボーイリバーサイド(C)

なぜ人は他人の作品のアニメ化で茶目っ気を出してしまうのか。

本作は異例にも「放送順の時系列シャッフル」という手法を取っており、放送順が時系列ではなくかなり雑なシャッフルで放映された。 そのせいで、「誰こいつ?」「そんな話あったっけ?」が頻発しており、何の没入もストーリー把握も許されないまま話数だけが重なっていった。 最終話を見て、「ま~ここを最終話にしたくなる気持ちは分からなくもないが、時系列をシャッフルしたのは分からん」ってなったので普通に許されません。

いや、普通に時系列順に放送してれば B ぐらいだったと思うんだよな。 内容は面白くも無いけどつまらなくも無いし。 マジで監督の茶目っ気によってすべてが破壊され何も分からなくなってしまった作品だった。

月が導く異世界道中(C)

今期一の真顔アニメ。笑いどころのないスマホ太郎。

異世界転移した主人公が亜人獣人にちやほやされながらチート無双するよくある話だが、時折挟まれるギャグが寒かったり、主人公の謎のイキリがきつかったりとかなり真顔になれる。 終盤に自陣営の味方が死んで主人公がぶちギレるシーンは展開としては嫌いじゃないんだけど、なんか原因自体はかなりマッチポンプだったりしてあんまり没入できなかった。

ED が水戸黄門だったのだけ面白かったから、そこだけげらげら笑ってた。

精霊幻想記(C+)

何がしたいのか分からなかったアニメ。 異世界転生……とも言えないし、なんか異世界生まれの主人公に日本の男子高校生の魂が乗り移ったみたいな感じなんだけど、「その設定要る?w」って言ってたら最終話が終わった。 生まれながらに異世界の住人で恵まれた能力を持っていたから無双する話で良かったのでは。

幼少期編は結構主人公がいじめられていて面白かったんだけど、青年期編で CV が松岡君になってから一気につまらなさが増してしまった。 他のなろう作品のようなしょうもなさはあんまり無いし、展開とかキャラクターの作り方もそこそこ偉いと思うんだけど、いかんせん作品が面白くない。悲しい。

ただ、キャラデザと作画は良いし、声優がめっちゃ良かった。 こう書くと有名声優を大量起用していたように聞こえるかもしれないけどそうではなく、もちろん有名な声優ばかりなんだけど、トップから一歩引いた新人~中堅レベルの声優がいっぱいいて良かった。 「お、最近あんまり聞かなかったな」って声優がちらほらいて懐かしい気持ちになれて、声優のチョイスが”””丁度良かった”””。

B

ジャヒー様はくじけない(B-)

魔界から追放されて力を失った魔族(幼女)が、どたばだする日常系ギャグ作品。

最初は面白かったんだけど、ジャヒー様が毎回調子に乗ってしっぺ返しを食らってというパターンが多すぎて若干飽きが来た。 かわいそうは可愛いをやりたいんだろうけど、あんまり僕には刺さらんかった。 なんというか、「うーん、残当……」ってなった。

SCARLET NEXUS(B)

ゲーム原作のアニメ化なんだけど、たぶん原作のゲームは面白かったんだろうね……という気持ちになれる微妙なアニメ。

似たような展開が繰り返されているのとか、肝心なところで毎回主人公が持病的なもので意識を失うのとか、割と「またかよ」感が強くてげんなりしてしまった。

キャラクターも多くて、個々のキャラクターの掘り下げが甘いので未だに僕はキャラクターの名前を一部しか覚えられてない。 それぞれがどんな思惑を抱えていてみたいな話をアニメのクールに収めようとして結構無理が生じてしまっている。 途中で味方の面々が2陣営に分かれて敵対してしまうんだけど、それまでにキャラクターの掘り下げも無かったために「うわ、こいつが敵側に行っちゃうのか」みたいな感傷が一切発生しなかった。

全体的なストーリーとかはメイビー面白いんだけど、ゲームでやれるならゲームでやった方が良さそう。

主人公の名前がユイトで、名前を呼ばれるとちょっと面白かった。何故とは言わないけど。

100万の命の上に俺は立っている(B)

2期、というか分割2クールの2クール目。

1期は面白かったと思うんだけど、2期はかなり微妙だった。 より正確に言うと、2期は前半のオーク島編と後半のザグロス村編があるんだけど、前半はマジで酷かった。 全編通して間延びしてたし、急に出てきた大量の新キャラたちが自分語りして死んでいくし、最後もよく分からん終わり方するしで本当に最悪だった。 急にアイドルもどきみたいな二人組が電波曲歌い始めて唖然としてたら、のちのちの展開でそれが実は島の命運を歌った古くから伝わる警鐘だったみたいなのをどや顔で回収されて「はぁ……そうなんですねぇ……」ってなった。 前半部分だけなら文句なし C ランクだと思う。

ただ、後半は結構面白い。 新規加入した味方キャラが良いというのもあるかもしれないが、全体的に展開と間がまともだと思う。 100万はそれなりにダークな雰囲気がある作風だと思うんだけど、後半はそれを思い出していたと思う。

平均すると、Cランクに引っ張られるけど、まあ後半は結構面白いから B かな。 ちなみにここで言う平均というのは中点値のことではありません。

白い砂のアクアトープ(B+)

正直 A でもいいかなと思うところもあるが、雰囲気で誤魔化しているだけで別にそんなに面白くないと感じた。 あくまで個人的な感想だが、つまらなくはないんだけど、取り立てて面白いかと言われると首を縦には振りづらい。

話の展開が良く言えば丁寧、悪く言えば遅いかも。 予定調和から何ら外れることなく粛々と物語が進んで行って、ずっと起承転結の承をやり続けてる感じがある。 丁寧な分には良いんだけど、丁寧だからと言って面白くなるとは限らないのが創作の難しいところなのかな。

後は、あまり真新しさが無いとかもあるかもしれない。 見覚えのあるパーツの組み合わせというか、「うん、まあ P.A.Works だね……」という感じの作品作りになっていて引き込まれない。

最終話の「どけ!!!私がお姉さまだぞ!!!」は唐突さを感じてちょっと笑ってしまった。

2クール目頑張って欲しい。

A

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X(A-)

2期要る……?って言ってたけど蓋を開けてみたらそこそこ面白かった。 とはいえ、そこそこどまりで、やはりはめフラは1期で完成されていて蛇足感が否めない。 新しい攻略キャラクターを出したり既存のキャラの掘り下げをしたりとして話を作ってはいるものの、1期の頃のスピード感はどこへやらといった感じだった。

普通に面白かったが、1期が良すぎたのでかなり評価が辛くなってしまっていそう。

カタリナがようやく恋愛感情の何たるかの端っこ部分ぐらいは分かり始めたっぽいので、たぶんはめフラ14期とかの頃にはジオルド王子と結婚してるよ。知らんけど。

チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア〜(A)

信じられないと思うんだけど、このタイトルなのに結構面白いし僕は好き。

全体的に脚本や構成の巧さを感じた。僕は読んでないけど、多分原作も割と良いんじゃないかな。

主人公はチート持ちとは言いつつ何でも作れる万能魔法使いではなく、あくまで薬の範疇で人々の困りごとを解決しようとしているのが偉いなと感じた。 主人公の出来ることを制限して、同時に物語の結末に一ひねり入れるのはちゃんと面白いものを書きたい気持ちがあるんだなと感じさせてくれた。

あと転移のくだりを最後に持ってきたのはアニメの脚本家の妙だと思う。 転移を最初にやってたら、結構「はいはい。またいつものね」ってなって色眼鏡かかってしまっていたまである。 散々スローライフを見せた後に、最後に「現実世界ではつらかったけど、今はハッピーだぜ!」って大団円で終わったの話の構成としてめちゃくちゃきれいで驚愕してしまった。

正直、せいぜい B ランクかなと思ってたけど最終話まで出来が良かったから A。

出会って5秒でバトル(A+)

タイトルとジャンルであんまり面白くなさそうだと思ってたが、蓋を開けてみれば面白かった。

主人公の能力が「相手が思った能力になる」という、結構オタク君が好きそうな難しい能力で良かった。 やっぱりオタク君はこういういかにも頭脳戦できそうな感じの能力が好きなんですよね(ニチャア)。

一応はちゃんと頭脳戦っぽいことをやっていて、それなりに納得感あって見られる場面が多かったと思う。 敵にも頭脳キャラがいて、化かし合い、騙し合いによる形勢の逆転が何回もあったのが良かった。

まあ、ただ結構色々なガバとか無理はあったので、そこはご愛敬ということで目を瞑るかな……

彼女もカノジョ(A+)

アホボーイ & アホガール

マジで登場人物の大半がアホという、ひろゆきらしい作品。 ひろゆきは登場人物をアホにしないと作品書けないのか?

内容としては主人公が二股+αをする作品。 主人公がバカ真面目でバカ誠実でバカなので、ほとんど不快感はなく見れた。

1話で二股になったので爆速で三股すると思っていたのだが、意外と粘って未だに二股+主人公のことを好きな女2という状態で耐えており、偉いなと感じた。 アホガールとギャグの質としてはほとんど全く一緒なので、アホガールが笑える人はこれも笑えると思う。 僕は結構好きだった。

あと、OP、ED ともにめちゃくちゃに良くて買っちゃった。 ED は麻倉ももが歌ってるんだけど、本編出てきてなくない?w

ぼくたちのリメイク(A+)

主人公がタイムリープしてやり直す話。

10年前にタイムリープした主人公が芸術大学で無双を続けていて、最初は良かったんだけど途中からは若干食傷気味になってしまった。 だが、食傷状態になってから、主人公が無双した結果として友人たちが芸術の道を諦めてしまうというしっぺ返しが返ってきたのはめちゃくちゃ良かった。 調子に乗ってちゃんとしっぺ返しが来る作品は良いですね。素晴らしい。

その後の展開も割と面白くて、中盤に無双のし過ぎでだれた以外は面白かったと思う。 一部分、ご都合主義な部分は見られた(ゲームの素材だけ移したらゲームエンジン変えても問題なく動くとか)けど、まあその後にフォロー入ったから良かったかな。

河瀬川というキャラがめちゃくちゃ裏ヒロイン顔してるんだけど、マジで今だに東山奈央はメインヒロイン張れるから偉い。

S

うらみちお兄さん(S)

いや、声優が豪華。

ブラックジョークの類が普通に面白くて割と笑いながら見てた。 ギャグアニメとして完成度が高い。方向性としては『坂本ですが?』と近いかもしれない。

作者の現実世界への解像度の高さと、言語化能力がバカ高くて普通に笑ってしまった。 個人的な MVP は「パン屋で試食して感動したパンを家に持って帰って食べると微妙だった」ということを歌った挿入歌。マジで面白くてげらげら笑ってた。

あの歌わない声優と言われていた神谷浩史に歌わせた稀有な作品。

小林さんちのメイドラゴン(S)

京都アニメーションの意地を見せつけてくれた。

いや、マジで京アニはアニメを作るのが上手い。 OP の時点でビビり散らかすほどアニメーション作りが上手くて、「これが、京アニ……!」ってなってしまった。

作画良し、脚本良し、声優良し、音響良し、演出良し……文句の付け所がどれだけ探しても見つからない。 今さら何かコメントをすることも無いので見てください。

Sonny Boy(S)

どういう話だったかと聞かれると答えに窮するんだけど、めちゃくちゃ面白かった。 ジャンルとしては SF になるのだろうか、それとも青春ものかな。後者かも。

単純な少年少女たちの青春だけでなく、世界観の心地よい意味不明さが癖になる面白さだったと思う。 たまにある「よく分からんけどめっちゃ面白い」タイプの作品。

漂流教室』原作なのかと最初は言われてたけど、僕は読んでないから分からない。 最近は何も言われてないし、たぶん世界設定がちょっと似てるだけでそうでもない。

青春ものとしてすごくよくできていた。 ただ、結末含めて結構大人向けの作風かなぁ。

ラジダニがマジで好き。有能すぎて途中離脱しちゃったけど。

迷宮ブラックカンパニー(S+)

今期一番好きかも。

全体的に完成度の高さが感じられる。 今期、異世界ものがいくつかあるけど、異世界ものとしてくくるにはちょっとかわいそうなぐらいには面白い。

人生の成功者となった主人公が突如異世界に転移させられ、ブラックな労働者階級から成り上がっていく物語。 ドン底から始まったどこか意地汚い主人公が、持ち前の悪知恵でどんどん成り上がって時々しっぺ返しを食らっていく展開がとても面白い。 主人公が若干クズなんだけど魅力的で、カイジに近いキャラクターかもしれない。

あと、小西克幸がおっさんやってて高笑いしてるの、マジで良いからどんどんやって欲しい。

SSS

ひぐらしの鳴く頃に~業~(A→SSS)

ワシを信じて……

正直、SSS にぶち込むべきか悩みに悩んだ。 ひぐらしはもともとシュールギャグみたいなところもあるし、終盤の瞬間風速がやばいだけで全体で見ると情状酌量の余地がなくもない。 正直超バトルシーンまでは耐えていたが、最終話で何も解決してないのに You が流れ始めたことで爆笑してしまったので実刑判決が下った。 名曲を汚すな。

全編通じてただただひたすらに鉄平がかわいそう。 あんなに家族思いで優しい人畜無害な男が一体何をやったって言うんだ。 まさかいないと思うけど、「業」から見始めた人がいたら「何で鉄平はこんなにいじめられてるんだろう?」ってなってそう。

答え合わせ編なんだけど、ぶっちゃけ「はいはい沙都子が悪い」で全部終わるので、ただただ沙都子へのヘイトが溜まっていくだけだった。 マジでこいつ勉強嫌いすぎだろ。苦楽を共にした仲間や恩人を悲劇に陥れても勉強したくねぇのかよ。 もうどれだけ善業積んでもこいつが仲間に戻り咲くの無理では?

これならまだリメイクの方がマシだっただろマジで。

探偵はもう死んでいる(SSS+)

毎話毎話、間髪入れずに怒涛の超展開と圧倒的””クサさ””をぶち込んでくる最高の作品。

まず初めにこのタイトルから想像されるこの作品のジャンルは恐らくミステリーだと思うんだけど、残念ながらたんもしのジャンルはミステリーではない。 いや、レーベルはミステリーを自称しているが、ミステリー要素など欠片もなくただの異能バトルラブコメである。 1話の前半10分ぐらいで「お、探偵ものか?」って期待してたオレのワクワクを返してくれ。 急に異能力バトル始まって目を疑ったわ。

一応、ミステリーをやろうという心意気はあって伏線っぽい何かも差し込むんだけど、大抵は納得感の薄いものばかりで一部にいたっては伏線の体を為していない。 ノックスの十戒ってご存じ? いや、あれに従えとは言わんけど、限度ってもんがあるだろ限度ってもんが。

あと全体的にセリフがクサい。 『化物語』と『とある魔術の禁書目録』に影響を受けた中学生が書いたような険しい長台詞が続き、思わず「あああああ!!殺してくれぇええ!!!」ってなる。

シエスタが可愛かったのだけが唯一の良心で、あとは総じてクソなので安心して見ることができた。

まとめ

今期は、全体的に S も SSS も不作でした。 極めて感情揺さぶられる面白い作品はほとんど無かったし、爆発力のあるクソも無かったですね。

ちなみに、今期は現実主義勇者がヤバいらしいんですけど、FOD 限定配信らしくてまだ見れていないので他のプラットフォームで配信されたら見たいですね。