実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想

この記事は何?

この記事は、実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想記事です。 注意点として、2021.08.20 に公開された「ファイナル」の方ではなく無印の方です。

今さらながらアマプラに来ていることに気付き、話題に上がることも多かったので観ました。 先に結論を話すと、総評としては、そこまで悪くなかったんじゃないかなと思います。 特に前半の出来は非常に良かったと思います。

はい。本当に、本当の本当に、前半までは成績優秀な優等生でした。 それがどうして後半で強盗殺人放火の役満犯罪者に……

前半と後半で別の人が監督やってたのかな?と思ったのですが、そんなことはなくばっちり一人の監督が担当していましたね。 どうして?

今回は短めです。

感想

それでは感想の方を書いてゆこうと思います。

上でもちょろっと書きましたが、全体としての完成度は決して低くはなかったと思います。 むしろ実写映画としてはキャスティング含めてよく出来ていて、原作のエピソードを切り継ぎしているもののかなり原作に忠実に作られていたと思います。 映画の話の流れとしては、原作の冒頭→いくつか日常話→夏祭り→生徒会解散・選挙なのですが、よくもまあ2時間の映画にここまで詰め込んだねという感想です。 かぐや様自体、若干日常系っぽい雰囲気があるので比較的物語が大きく動くエピソードを引っ張ってきて切り継ぎしてきたのでしょうが、前半はそれなりにそれが上手く回っていました。前半はね。

この作品の後半の話をする前に、まずはちゃんと褒められるところを褒めておこうと思います。

キャスティングは概ね良かったと思います。 まあアニメの声に慣れてしまうと白銀の声がかすれ声だったり、かぐやの声がハスキーだったりする部分とかの気になりはありますが、外見はほぼばっちりですね。 藤原書記だけが唯一撮影に映りこんでしまったコスプレイヤーと化していましたが、まあ元の存在もいかにもアニメキャラみたいな存在ですし仕方ない。 あんな女子現実にはいませんよ(当人の発言)。

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あと、藤原書記を除いて、若干一名、許せないキャスティングがありはしましたが他はかなり良かったんじゃないでしょうか。

クソアニメ映画やクソ実写映画では問題になりがちな脚本についても、前半は良かったと思います。 かなり原作に忠実に作られていて、これには流石の僕も「へー、やるじゃん」と腕組みして後方で満足げな笑みを浮かべていました。 ギャグはそんなに面白いかと言われると面白くはなかったですが、たまに笑える箇所もあるぐらいには上手く脚本に落とし込んでいたのかなと思います。

演出はまあチープさはあるものの可も無く不可もなく。 エフェクトが過剰な気もしましたが、まあアニメとかも似たような感じだったし……ということで特に目くじらを立てるものではないと思います。

音楽については夏祭りでみんなで花火を見るシーンで挿入歌が流れるのとかはめちゃくちゃ良かったですね。あれは正直普通に感動した。

はい、褒めるのはこれぐらいでいいですかね。

この作品、何度も書いてるんですけど前半、具体的には夏祭り終わるまでは良かったんですよ。本当に。 僕は夏祭りで作品が終わると思ってシークバーを眺めたんですけど、そしたら何かあと40分ぐらい残ってるとか書いてあって、「え、こんなきれいにまとまったのにこの後何やるの?」って思っていました。

そしたら何と生徒会が解散する場面が始まります。 「いや、2時間の映画に詰め込むなぁ」と思いつつ、「そう言えば井伊野ミコ出て来てないけど、生徒会選挙編出来るんか?w」と思っていました。 このときはかなり軽い気持ちでいたのですが、もう少し覚悟を固めておくべきだったと後悔しています。

生徒会解散の直後あたりからオリジナル展開が始まります。 展開の中身は「恋煩いでかぐやが倒れるエピソード」と「生徒会選挙の一部」をミキサーで混ぜてよく分からん調味料を加えたといったものでした。 おい、何でレシピ通りに作らねぇんだよ。というかそもそもミキサーで混ぜるな。素材の味が全部死んでるだろ。 変な調味料を加えるな。レシピに従え、レシピに。

ゲテモノだと思って食べ始めたら最初は意外とイケるなこれってなったんですがやっぱり後味最悪でゲテモノじゃんってなりましたね。

後半、全ての展開が原作ブレイカーで本当にヤバかったですね。 かぐやが生徒会長に立候補して初音ミクのコスプレして有権者に金配り始めるし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節を踊り出すし、早坂はかぐやを諫めないで無能っぽい行動取るし、石上は白銀の応援演説で急に発狂して青春ディスりだすし、森羅万象がめちゃくちゃだった。

かぐやはそういう状況では正々堂々戦うし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節踊らないし、早坂は有能だから間違った情報かぐやに渡さないし、石上も締めるべき場面で急に発狂しないと思っていたので非常に悲しい気持ちになりました。

キャラクター崩壊の時点で既に罪が重いんですが、合わせて展開もめちゃくちゃでしたね。 いやまあキャラクターが崩壊してる時点で大抵の場合は展開もめちゃくちゃになるんですが、白銀が明らかに誤解を招く(というかかぐやに対してあんまりな)物言いをして二人が敵対するとか、最後には急にお互いを褒め散らかす舌戦が始まるとか、引きつった笑みがこぼれてきました。

なあ、この映画、2時間やらなくちゃダメだったか? 枠を90分にして、夏祭り編で終わってて良かったんじゃないか? 何で無事に終われそうだったのに、わざわざ地雷原に踏み込んで行ったんですか?

あと、個人的には佐藤二郎のキャスティングが非常に良くないと感じました。 なんか、佐藤二郎とかムロツヨシみたいなとりあえず雑に置いておくと面白くなりそうな俳優にアドリブ任せで悪ふざけさせるの、冷めるからやめて欲しいんですよね。 脚本や演出としてのギャグだと足りないから佐藤二郎を出すみたいな保険のかけ方するの、かっこ悪いからやめて欲しい。 自らのつまらなさに真剣に向き合って欲しい。その方が面白いと思う。

まとめ

本作は、前半で終わっていればそこそこ良作だったという謎の作品でした。 いや、本当に前半90分だけ見て映画館を静かに去るのが幸福度が最も高い。 せめて「ここからはオリジナル展開ですよ!」って注意書き出して欲しかった。

実写映画で前半だけ良くて、後半ダメみたいなパターン初めて見たので新鮮でしたね。 大体いつも全部ダメなので。

とはいえ、前半で脳が良作を受け入れる姿勢になっているのに、急にクソ展開を流し込まれると錯乱して発狂してしまうのでやめて欲しい。

次作であるファイナルもアマプラに来ると思うので、そうなったらまた見ようと思います。 オレ、ファイナルって付いてる作品に良い思い出無いよ……

では、ここまでお読みいただきありがとうございました。