2021冬アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021冬アニメ(1月~3月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は本当に豊作で、普段のクールであればSランクに入るであろうものもAランクに落ちてしまっていたりします。 逆に、SランクはもはやSランク内で格付けをする必要があるほど大混戦を極めています。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

裏世界ピクニック(C-)

普通に何がやりたいのかがよく分からなかった作品。 ホラー描写も微妙だし、百合描写も微妙だしで、見ていて純粋につまらないなと感じた。 僕は、百合が苦手なんだけど、百合のきつさよりも前につまらないという感情が来るので作品を切らずに最後まで見れた。

日本的な恐怖に必要な要素って、未知さとか理解不能さ、理不尽さだと思うんだけど、本作は銃でバシバシ怪異をしばき回すからそういうのがほとんどない。 主人公たちが「怪異を視る能力」と「怪異に触れる能力」を手に入れるんだけど、それだけならまだしも銃でしばく要素は無くて良かったのでは? やっぱり倒せる相手って、ホラーとしての格が落ちると思うんですよね(個人の感想)。

原作ファンが「いや、これ面白いから!」って連呼してて声がでかかったが、アニメの話数が進むごとに「いや、まあ話は面白いから……」→「原作は面白いよ」に変遷していってげらげら笑っていた。原作ファンですら見放すアニメの完成度の低さ。

主人公のCVが花守ゆみりで、日高里菜も出ているのに、最後まで見るのが本当に苦しかった。 百合が大好きな人とかなら楽しんで見れたのかな。

アズールレーン びそくぜんしんっ!(C++

正直、Bランクに置いても良いと思う。が、完全にキャラアニメなのに僕が個人的にアズレンをあまり知らないのでCに置いている。 あと、前にやっていたアズレンの真面目な方のアニメが酷すぎたので、「それよりはマシじゃん!」ってなって評価が上がり過ぎるのを恐れてCにランク付けしているのもあるかも。

Cに置いておいてなんだけど、艦これもこういうの作れば良かったのでは?

B

蜘蛛ですが何か?(B-)

正直、Cランクに置いても(ry

由緒正しきBランクなろうアニメだと思う。由緒が正しいので見てても別に「つまんな」とはならない。「しょーもな」とはなる。 大きな声では言えないが、別につまらなくはなかったと思う。いや、嘘かも。 Cランクか迷ったけど、どうしようもない虚無つまらなアニメーションではないのでB。

Y.Aoi劇場。

たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語(B)

ラスダンラスダン呼んでいたせいで、タイトルのフルネームを探すときに「ラ行」を探して「あれぇ!?ねぇなぁ!!?」ってなってた。

絶対なろう原作だと思っていたが、コミック原作らしい。 天然の主人公が「また俺何かやっちゃいましたか?」を繰り返すギャグ作品だが、まあ面白くなくはないぐらい。 ギャグアニメと比較して、このすばとかよりは全然つまらないが、悪くはない。 サブキャラクターの動かし方は結構上手いなと思った。 面白いかどうかは抜きにして、作品としての出来は良いと思う。

主人公が花守ゆみり

アイドリー・プライド(B)

1話の終わりが本当に衝撃的で爆笑展開だったので、それがきっかけで見始めたが、途中からは普通にアイドルものとして面白かった。 アイドルものあんまり好きじゃないけど毎週そこそこ楽しく見れたので、たぶんそこそこちゃんと面白かったんだと思う。 キャラクターの名前はほぼ憶えてないけど。

ライブシーンの作画が本当に偉くて、近年のアイドルもののライブなんてほぼ3DCGなのに、本作は大半を手描きで書いていた。マジで偉い。

ただ、ストーリーが大味で全体的に雑だったので流石にBランク。 話の都合でキャラクターが動きすぎ感があったのがやや残念。 作中でアイドル同士の対決の勝敗をAIが判定するんだけど、ガバガバAIなので当然主人公たちがベテランアイドルに勝つ。 主人公たちが2チームに分かれるんだけど、最終話でアイドルバトルしてAIに「う~ん、同点優勝!w」ってなったのめっちゃ笑った。 茶番だぁああああああ!!恭介ぇえええええ!!!

やっぱりAIとかいうの信用しちゃいけないんだよな。

天地創造デザイン部(B)

神々が生物を生み出す過程をデザイナーたちの業務として描いたギャグ作品。 特筆するほど良い点も悪い点もなかった。 生物の知識とかも結構身について普通に面白かった。

弱キャラ友崎くん(B+)

オタクくんがギャルと出会って変わっていく百万回やられたラブコメかと思ったら、割とそうではなかった。 しょうもないB級ラブコメ(褒め言葉)ではなく、思春期の高校生たちの苦悩やら苦労をちゃんと描いていて良かった。 まあ、若干オタクの説教くさいというか、現役高校生たちそんな難しいこと考えて人とコミュニケーションとってないよ、と思う部分も無くも無いが、たぶん彼らが無意識でやっていることを言語化したいんだろうなぁと思った。 陰キャオタク君が陽キャチームに混じって色々する話、俺ガイルを思い出しますね。 僕はすごく面白かったんだけど、内容が堅実すぎてあまり話題にならなかったのが悲しみではある。

金元寿子、ゲーム好きなカースト上位女子高生(ぽんこつ)なヒロインやりすぎでは?

ちなみに、田淵智也田中秀和は最強なんだよね。

A

はたらく細胞!!(A-)

ホワイトな方の細胞。 映画でやっていた内容も数話使ってやっていた。

普通に面白かったが、わざわざ2期をやるほどだったかは微妙かも。 同時にやっていた BLACK がめちゃくちゃ面白かったせいで、食われてしまった感もある。

ホリミヤ(A)

いや、今アニメ化することある?w令和やぞ?w

とは言ったものの、流石に話題になっていただけあって面白い。 近年、ラブコメと言えば主人公とヒロイン(ヒーロー)が長らくくっつかないで近づいたり遠のいたりすることが多いけど、ホリミヤは爆速で付き合い始めてそこからの話なので逆に新鮮だった。

普通にコメディとして面白かったし、堅実な作品だった。

あと、声優が非常に良かった。全体的に2012年ぐらいのラブコメ作品みたいな空気感で懐かしさがすごかった。

Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season(A+)

正直、Sに入れてもいいかなと思ったが今期はSが豊作すぎたのでAランク落ちした。まあ、あと若干の失速感も否めない。

リゼロ、こんだけ放送してるのに全然尺が足りてなくて、OP・EDカットだけに飽き足らずCMを買い取ることで驚きの1話あたり29:30を実現している(普通のアニメ作品はCMがあるため24:30ほど。そこからさらにOP・EDの分が引かれるので本編は20分ほどになる)。

やはりベア子を救い出すシーンは良かった。

怪物事変(A+)

少年探偵団的な作品。 怪物(けもの)と呼ばれる少年たちが、化け狸の探偵の下で色々な事件に巻き込まれながらそれらを解決していく話。

割と家族の絆をテーマとして掲げているっぽくて、家族にまつわる話が多い。 そこそこにダークな雰囲気もありつつ、少年漫画っぽさもあり、といった感じ。 最初から最後まで、よく出来ていて面白い。しっかり名作。

五等分の花嫁ff(A+)

1期は、何だったんだよ!!!!!

2期はめちゃくちゃ作画良くて、完成度高くまとまっていてばっちりでした。1期もこの完成度で作れよ。 とはいえ、負けヒロインが分かっている状態でもろもろを見るのは割と険しい気持ちになった。 あの、アニメは原作と違うエンディングにしませんか?

ひぐらしのなく頃に 業(A+)

ひぐらしの2クール目。

ループの担い手が梨花から沙都子に移っていたという仕掛けはめちゃくちゃ面白かったが、若干脚本の駆け足感は否めなかった。 特にL5発症発狂がバーゲンセールしていてギャグになってしまっていたのが残念。

「郷壊し編」がマジで「沙都子ワシ」編だったし、「ワシを信じて」がマジだったのが本当に面白くてずっと笑ってる。

S

はたらく細胞 BLACK(S)

めちゃくちゃ不摂生な宿主の中ではたらく細胞たちを描いている作品。

最初はホワイトの方と同じぐらいの面白さだと思っていたが、徐々に面白さを増していき、終盤で化けた。 正直、ストーリーとしての面白さはホワイトの方をぶち抜いている。

ゆるキャン△ SEASON2(S)

かわいい。おもしろい。何クールでも見続けられる優しい作品。優しい作品を見て脳を守ろう。

呪術廻戦 2クール目(S+)

1クール目と変わらない(どころか加速している)面白さ。 正直、無職転生さえいなければ引き続き覇権と言っても過言ではない。

もはや今さら言うこともない。

Dr.Stone(S+)

アニメとして完璧な出来。 原作を忠実に再現しつつ、アニオリで適宜補完していたので、マジで完璧なんだよな。

脚本、演出、作画などケチをつけつところが無い。パーフェクト。

ワンダーエッグ・プライオリティ(S+)

あんまり話題になっていないけど、とんでもなく面白いと思う。 無職転生、呪術廻戦、ウマ娘がいなければダークホースとして覇権もとり得た。

ざっくり言うと、思春期を迎えた少女たちが友人の死に苦悩しながら色々なものと向き合うお話。それが絶妙に世界観のSF的なギミックとマッチしていてすごい。

ただ、若干話が難しいので人は選ぶかもしれない。 最終話が割と尻切れに終わった感があって、特別編(完結編?)が放映されるらしいからそれを待ちたいけど、それなくても普通に綺麗な終わり方ではあったと思う。

個人的にはこれが話題になってないのマジで意味が分からないぐらいには面白かった。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2(S++)

毎秒面白い。号泣と爆笑を繰り返すせいで情緒おかしくなる。

スポコンとしての完成度◎:ウマ娘とか言ってるけど、もはやスポコンなんだよな。

ギャグ線◎:ヒナまつりの監督が作っているので、あの手のギャグが好きな人は好きだと思う。

キャラのかわいさ◎:作画もいいしキャラが立っていてかわいい。

僕はアプリでテイオーもマックイーン(通常と限定)も引いたけど君は?

無職転生異世界行ったら本気だす~(S+++)

覇権だろうなぁと思って見始めたらしっかり覇権だった。 原作は読んでいてずっとアニメ化を楽しみにしていたが、その期待を裏切らないどころか遥か上回る完成度で上から殴りつけてきてビビり散らかしている。

なろうアニメ1つだけ選べと言われれば流石にこれになってしまう。 同クール作品(横)で見ても覇権だし、なろうアニメ(縦)で見ても覇権。 流石になろうの王。

SSS

俺だけ入れる隠しダンジョン(SSS)

タイトルの時点で既にろくでもない作品であることが分かるが、しっかりとタイトルに違わずろくでもない作品だったので良かった。 どの話もしっかり面白く、毎話げらげら笑っていた。 設定と登場人物と話のすべてが浅すぎる。大陸棚かな?

「主人公が女の子たちとイチャつくとスキルポイントが溜まって好きなスキルを作成できる」とかいう設定、常人には思いつかないだろ。 この要素がただでさえ浅くて面白いのに、この設定のせいでコメントでヒロインたちが「電池」って呼ばれてたのが面白すぎた。 特にお嬢様のヒロインが「ロイヤル電池」って呼ばれていて過呼吸になるほど笑った。

まあ、ただ作り自体はそこそこしっかりしていた。 アニメ会社は真面目に作りはしたんだろうなと思った。

最終話の最後まで本当に面白くてずっとげらげら笑ってた。名作。

エクスアーム(SSS)

作りがしっかりしていない方のクソアニメ。 最後の最後まで全てがクソだった伝説の作品。

映像が全編3Dで進行するが、モブキャラだけは手書きで描かれていたりとリソース節約の跡が見える。2Dキャラと3Dキャラの共演はもはやコラ画像。 まあ、そもそも3Dの方も本当にひどくて、静止したモデルの出来自体は悪くないのに動かし方が下手すぎるせいで、人形劇にしか見えない。 皆表情が死んでるせいで人間かアンドロイドか区別がつかないんだけど、もしかして伏線だったりする?(本作はSFを題材にしているため)。 何が起こっているかも分からないし、3Dなのに動かないし、動きがチープ過ぎる。 大学生の卒業制作と言われれば納得できる完成度だけど、本当に企業資本入ってる? すごいよな。3Dモデルの動きがヘンテコすぎて絵面だけで面白いんだもん。

しかも作画、脚本がしっかりしていないのはよくある話だが、本作は音響も悪いという新たな境地を切り開いている。 1話の音量バランスが悪く、SEがデカすぎてキャラクターの声が聞き取りづらいとかいう前代未聞の状況を生み出した。 あまりの出来事に、最初は目を疑ったし耳も疑ったわ。

これに比べたら隠しダンジョンの方がまだ完成度は高い。 サクラダファミリアよりも未完成な作品を世に出してしまったことを悔いて欲しい。

映画『モンスターハンター』を見た感想

この記事は何?

いよいよ春も訪れようかというこの頃、けたたましい大法螺の音とともに颯爽とある作品が上映を開始しました。

そう。実写映画『モンスターハンター』ですね。

そもそもモンスターハンターをご存じない方にも説明すると、モンスターハンターとは CAPCOM から出ているゲームシリーズです。 かれこれ15年ほど色々な作品が出ているシリーズで、つい先日にも新作が発売されました。 そんな大人気シリーズを実写映画化したのが本作になります。

モンスターハンター(以下、モンハン)の実写化の話はかねてから聞いていたのですが、別にアニメ映画でもないしあまり見に行くつもりはありませんでした。 ですが、今回もバイト先の上司(僕に日本沈没を薦めてきた人)からの鶴の一声によって劇場に足を運ぶことになりました。 しかも、この春大学卒業を控えており学生証を返却してしまったせいで、一般料金1900円を支払う羽目になりました。最悪だなマジで。

この記事は、実写映画『モンスターハンター』の感想記事です。

結論だけを述べるのであれば、本作はどうしようもない駄作ではありません。 B級……よりはちょっと劣るかもぐらいの、よくある巨大モンスター映画でした。 一昔前の金曜ロードショーみたいな空気感で、わずかばかりの懐かしさを感じますね。

ただ、終盤における瞬間風速は往年の『ドラゴンクエスト YOUR STORY』を思い出させるほどで、スタッフロール中は声を殺してずっと笑っていました。 最後のシーンさえなければブログ送りを逃れられたかもしれないのに、逃げきれませんでしたね。 いまひとつ端的な表現が難しいんですが、全体的に陣内智則との相性がいい作品だと思いました。

さて、本記事は多くのネタバレを含み、かつ僕個人の感想です。 モンスターハンターをプレイしたことがない人でも読めるような記事にしたつもりですが、プレイした人の方がより楽しみやすい記事にはなっていると思います。ご了承ください。

また、本記事は note にも全く同様の内容を上げています。 note の方で投げ銭をいただけると、僕が次の映画を見に行きやすくなるのでよろしくお願いします。

note.com

感想

細かい感想に入る前に、少しだけ僕とモンスターハンターシリーズの話をしたいと思います。

モンスターハンターシリーズは、CAPCOM から発売されたアクションゲームで、プレイヤーが様々なモンスターを狩猟するゲームです。 僕はモンハンは中学生ぐらいからそこそこプレイしており、ナンバリングで言えば 2nd、2ndG、3rd、3、3G、F、WORLD あたりをやっています。 一応それぞれのプレイ時間も100時間以上ぐらいは遊んでいたので、ヘヴィプレイヤーとまでは言えなくとも、それなりにモンハンをやっていると言ってもいいんじゃないでしょうか。

そのため、この記事は原作をある程度遊んだ人間の感想であるとご理解ください。 もしかしたらこの映画も、原作をプレイしていたからこそあんな気持ちになってしまっただけで、原作をプレイしていない人間は別の楽しみ方をできるのかもしれません。

まあ、別にモンハン関係ないところでクソ要素はいっぱいあるんですけどね。

さて、では具体的にそれぞれの要素で思ったことを書き連ねていきます。

映像

CGは流石にめちゃくちゃよく出来ていました。 原作通りどころかそれ以上のクォリティになっていて偉かったです。 あのクォリティをしっかり動かしてリアリティあるものに出来ていたのは、偉いですね。

キャスティング

主人公の女優がミラ・ジョヴォヴィッチだったのですが、僕が思うに世界一重火器と双剣が似合う女優だと思います。 本作において主人公は、ハンターに教えられて双剣を使います。 ミラ・ジョヴォヴィッチ、二刀流やりがちじゃない? 実写映画のバイオハザードシリーズミラ・ジョヴォヴィッチが主演を務めており、そちらでも双剣を使っていた記憶があります。 まあ、あれも3作目ぐらいからは何がしたいのかよく分からないB級意味不明映画に成り果ててましたけどね。 本作はバイオハザードの映画(3作目以降)よりは面白かったと思います。たぶん。

また、本作で出て来る狩猟団は、MHWの調査団っぽい感じのものです。 そして、狩猟団の面々も、MHWで実際に出てきた団長や5期団のハンターたちが出演しています。 このキャスティングが偉くて、かなり原作に寄せています。 特に、5期団のメンバーは1人を除いて、最初CGと見まごうほど原作の雰囲気を再現していました。

その1人というのが、「アイボゥ!」でおなじみの受付嬢ですね。 受付嬢だけ、明らかに原作より可愛い女優が割り当てられていて、「おいたわしや……受付嬢……」ってなってました。

音響周りで面白いことってそんなに無いんですが、本作は面白い箇所がありました。

まず、めちゃくちゃ面白かったのが、散々有名声優で釣っておきながら有名声優のキャラが最初の15分ぐらいで全員死んだことです。 ビビるぐらい有名声優いっぱい出てきて「うおっ、すげぇな」と思っていたのにマジで最序盤で全員死んで笑ってました。 詐欺だろ、流石に。

あと、名BGM『英雄の証』が、とってつけたように日本語版キャストのスタッフロールのときにさらっと流れただけだったのもめちゃくちゃ笑いました。 モンハンと言えばこの曲なのに、こんな雑な扱いすることあるか?

脚本

ということでようやくメインディッシュのお話しをしましょう。

まず、物語の導入はこんな感じです。

「米国軍人として砂漠での任務に従事していた主人公と彼女の部下たち。しかし、任務の最中、彼らは突如巨大な嵐に飲み込まれて、別世界(モンハンの世界)に転移してしまう……」

ええええええええええ!?異世界転移ものなんですか!?!?!?

前情報何も無しで見に行ったら、開始10分ぐらいで主人公たちがモンハンの世界に転移しだしてめっちゃ笑ってしまった。 まさかなろう*1の実写化がこんなところまで来ていたとは。

ちなみに何故この衝撃の異世界転移が起きたかは、作中では一切説明されません。 終盤に「なんかこう昔滅んだ文明的なサムシングのテクノロジーがこういい感じに悪さをしていて向こうの世界とこちらの世界がたまに繋がったり繋がらなかったりする」みたいなことは言われるんですが、ぶっちゃけその説明がさらっと流されるだけで、それ以降に転移の原因に関する話題は金輪際出てきませんし、誰も気にしません。

え、やっぱりなろうじゃない?

この転移要素、マジで最後の最後まで不要で、むしろ邪魔でしかなかったです。 別に現代知識で無双するでもなく、現代から持ち込んだ重火器で無双するでもありません。 むしろ、重火器はほぼモンスターに効いていなかったです。 機関銃とかアサルトライフルぶっ放しまくってるのに無傷のディアブロス(亜種)*2くん、肉質*3固すぎだろ。 サービス終了間際の MHF みてぇなバランス調整してんな。

この転移要素、絶対に現代の重火器 vs モンスターの構図をやりたかっただけなんだよな。 最初からモンハンの世界の話で良かった以外の感想が無い。

しかも、転移した主人公が、現地のハンターさんと言葉が通じないながらも身振り手振り(や殴り合い)などで心を通わせるシーンをこれまた長尺をとってやるのですが、マジで要らなかったです。

転移直後、主人公とハンターさんは互いに言葉が通じず、お互いに敵だと勘違いして殺し合いをします。 いや、『モンスターハンター』って映画で、何で主人公(人間)とハンター(人間)が10分ぐらい殴り合いしてるシーン見せつけられなきゃいけないんだよ。 ハンター同士で殺し合ってたらそれはもう『ハンター x ハンター』なんよ。

モンスターもの・ゾンビものって人 vs 人になりがちだけど、それは終盤とか二作目とかの話であって、大冒頭にやるな。 さっさとモンスターを狩れ。

ちなみに、ハンターさんと仲直りする過程で主人公がハンターさんにチョコレートを渡すシーンがあります。 その後、ハンターさんは初めて食べるチョコレートに感激し、その後何度もせびるようになってくるんですが、もしかしてこれって「ハチミツください」のオマージュだったりする?

さて、ようやく長い尺をとってハンターさんと心を通わせた主人公(あ、ここまでの間に主人公の部下は全滅してます)は、自らの世界に帰るために宿敵ディアブロス(亜種)と戦うことを決意します。

f:id:hilinker:20210327203130p:plain
ディアブロス(亜種)

一応、決意までの時系列としては、

「主人公と部下たち転移→ディアブロス(亜種)に襲われて何人か死ぬ→逃げ込んだ先がネルスキュラ(蜘蛛のモンスター)の巣で部下全滅→主人公だけ逃げ出してハンターさんと出くわす→主人公とハンターさん敵対→主人公とハンターさんなかよし→主人公がやってきた方向に帰るには砂漠を越える必要がある→砂漠にはディアブロス(亜種)がいるので倒さないといけない」

みたいな感じです。

砂漠はディアブロスの独擅場になっており、迂闊に出ると砂の中からディアブロスがこんにちはしてきて即殺されます。 ネルスキュラの巣は砂漠にぽつんと浮かんだ岩場になっており、そこだけが砂漠の唯一の安全地帯になっているわけですね。 ハンターさんは、どうやら狩猟団からはぐれてこの岩場に逃げ込んだらしく、ここでかろうじてサバイバルをしていたようです。 二人の目的は砂漠を越えることで一致しており、協力してディアブロスを倒そうとします。

ここで、二人はネルスキュラの麻痺毒を利用してディアブロスを昏倒させることを思いつきます。 命からがら巣からネルスキュラをおびきだし毒を入手し、ディアブロスを引き付ける罠や、毒を付けた銛なども作り、ハンターさんからモンスターとの戦い方も教わり準備は万端。 策を練り、可能な限りの準備も重ねました。 さあ、いよいよ作戦開始です。

ということで、ディアブロスの脳天に大剣をぶっ刺して勝ちます。

心の中の陣内智則が「いや、あの準備なんやってーん!!!」と叫んでいました。

一応、罠とか毒とか全部使ったんですが、なんかディアブロス君が強すぎてあんまり意味が無かったので最後は脳天に大剣をぶっ刺して殺しました。 討伐成功!

準備シーンの尺要らなかっただろこれなら。

結局あれこれ考えるよりも力こそが全てであるということを教えてくれる、この世界で生き抜く術を端的に表したシーンでしたね。 思わず笑っちゃったけど。

重火器はノーダメージなのに、いかにもコスプレアイテムっぽい見た目の大剣が簡単に頭に刺さったのとかもまあツッコミどころはありましたが、些細なことですね。 たぶん、向こうの世界は森羅万象の硬度がこちらの世界のそれよりも高いんだと思います。

一応、戦闘中にもなんか色々やってたんですけど大抵効いていませんでした。 ディアブロスの攻撃が強すぎるし、装甲が固すぎるしでずっと「ゲームバランスおかしくない?」と思っていました。

ちなみに、のちほど別のモンスターも出て来るのですが、基本的に全員めちゃくちゃに強いです。 そもそもサイズ感からしておかしくて、原作だとハンターに対して高さが2~5倍ぐらいのスケールなんですが、明らかに映画だと10倍以上はありました。デカすぎんだろ。プロテニヌプレイヤーか? 金冠確定*4だろこれ。

モンスターが「でかい、攻撃はほぼ全部即死、速い、かしこい、固い」とかいう「ぼくのかんがえたさいきょうのせいぶつ」たちで、「ほんとにこの世界のハンターたち生計立てられてるの?ハンターとかいう職業、危険すぎない?」ってずっと思ってました。 あの強さの生物を何十匹も狩って素材マラソン*5とかしてるのぜってぇ嘘だろ。

そんなこんなでディアブロスを狩猟した主人公とハンターさんは、砂漠を越え密林へとたどり着きます。

そこで、ハンターさんがかつてはぐれてしまい探していた狩猟団と合流します。

そして驚くことに、その狩猟団の団長が主人公の世界の言葉(英語)を話しています。 しかし、そのことを問うより早く、主人公は何故か団長に殴られて気絶させられ、牢に閉じ込められてしまいます。 その後、意識を取り戻した主人公はさっそく脱走します。 落ち着きないなこいつ。

その後、すぐに共闘したハンターさんに脱走が見つかり、一緒に団長のところまで行きます。 すると、団長が「あー、すまん。なんか怪しそうに見えたから牢屋に入れたんだけど、そんな必要なかったわ」みたいなことを言うので、脱走したこともおとがめなしになります。 こいつら全員、フィーリングで生きてんのか? モンハンは遊びじゃねぇんだよ。そんなことしてると死ぬぞ。

こんな感じで全体的に不要な展開とか尺稼ぎだけのシーンが多すぎてテンポが悪かったです。 観客を長時間束縛することで嫌がらせをしたいのか?

話を戻すと、どうやら異世界転移の原因は謎の遺跡にあるらしく、狩猟団はそこの調査をしたいらしいです。 主人公がその調査に協力をする見返りに、狩猟団は主人公が元の世界に戻れることに協力するという約束を結びます。

遺跡はかの有名なリオレウスが守っており、こいつを討伐しないと調査ができないらしいです。 おお、いかにも原作のゲームっぽいですね。

f:id:hilinker:20210327203847p:plain
リオレウス

そして、主人公含め10人近いハンターで遺跡に探索に行くのですが、突如現れたリオレウスにボコボコにされます。 マジでこいつら仮にもハンターだよなってぐらい一方的に蹂躙されます。 主人公は崖際に追い詰められ、決死の思いでダイブすると、たまたま転移のゲートが良い感じに開いていたっぽくて、ゲートに吸い込まれた主人公は元の世界に帰れます。

え、え、え?もしかしてこれで終わり?リオレウス倒してなくね?

場所も分からない砂漠のど真ん中に放り出された主人公。 しかし、ヘリコプターの音と元の世界の言葉が聞こえ、ぼやける視界の中に兵士の姿が見えます。 どうやら、消息を絶った主人公たちを救出に来た別部隊のようです。 ちゃんと元の世界に戻って来れたみたいですね。めでたしめでたし。

正直、この作品であればマジでこれで終わりかねないと思っていたのでドキドキしていました。 ですが、流石はモンスターハンターの看板を背負っているだけあります。 主人公は担架に担がれヘリコプターに運び込まれます。 そしてヘリコプターが離陸した直後、主人公の乗っていたヘリコプターが炎の攻撃を受けて墜落します。 なんと、ゲートを通ってリオレウスがこちらの世界に来てしまったのです。

いや、お前が来んのかい!!!

この時点で結構笑っていたのですが、それから数分ほど、戦闘航空機や戦車などがリオレウスに蹂躙されていく映像が流れます。 この破壊シーンもかなり面白くて、リオレウスくん、結構的確に戦闘機の羽とか戦車の砲台部分とかを狙って攻撃してくるんですよね。 お前、絶対に戦車とか航空機見たことあるやろ。

救出に来た別部隊はあっさり全滅し、主人公とリオレウスの一騎打ちになります。 機転を利かせた主人公はリオレウスの口内に弾薬を放り込み、その爆発によってリオレウスを体内から焼き尽くします。 勝ったと思ったのも束の間、リオレウスはしぶとく生き残り、息も絶え絶えながら主人公に迫ります。

いや、生物としてね、そこまでボロボロになったら逃げると思うんですよね、どう考えても。とか言ってはいけません。

主人公の傍には武器もなく、主人公も這う這うの身体です。 そんな絶体絶命の危機に、どこかから一本の矢が。

なんと、心を通わせたハンターさんもこちらの世界に来ていたのです。

えぇ……

ハンターさんの矢によってとどめを刺されたリオレウスは大地に沈みます。

安心したのも束の間、別の声が聞こえます。

「また襲撃が来るぞ」

そこには狩猟団長の姿が。

団長!?何やってんだよこんなところで!!

そして再び嵐が吹き荒れ、嵐の向こうから巨大な竜の影が見えます。

それを見た主人公が、今後もモンスターと戦っていくことを決意し、竜に跳びかかったところで、本作は幕を閉じます。

……

こんなにも鮮やかな「俺たちの戦いはまだまだこれからだ!!!」は未だかつて見たことがありません。 鮮やかすぎてめちゃくちゃ笑ってしまいました。 何もかもを放り投げて終わっていて、マジでこんなコッテコテな打ち切りエンド実在するんだと驚愕しながら爆笑していました。

久々にとてつもない瞬間風速で殴られましたね。すごい。 最後のシーンのとき劇場内に間違いなくクシャルダオラが降臨してた。

最後のシーンの描写、僕の言葉足らずとかではなく、マジでこの速度で話が展開してたので許してください。

そんな感じで、脚本としては全体的にツッコミどころがちりばめられつつ、最後の最後にそれらを全部放り投げて終わりましたね。 最後のぶん投げさえなければブログ送りになるほどではなかったかもしれないというのに。

モンハン要素

本作はゲーム原作の実写化ということで、せっかくなので原作の要素がどう映画になっていたかについても話そうと思います。

まずモンスターについてです。

流石に強すぎるだろというのが第一感想ですかね。 強すぎて、ハンターが本当にこいつら狩れるんか?という気持ちになります。

それと、モンスターの数をもう少し出して欲しかったかもしれないですね。 恐らくメインで出てきた大型モンスターは、ディアブロスネルスキュラリオレウスだけでしたかね。最後にちょろっとゴア・マガラも出てきたけど。 CG作るのも大変なのは分かるんですけど、せっかく広大な世界を用意したので色んなモンスターがいるみたいなのを描写してくれればなぁとは思いました。

というか、そもそもどうしてこのチョイスなんですかね。 リオレウスゴア・マガラはパッケージモンスターなので分かりますし、ディアブロスもまあ有名なので分かるんですけど、ネルスキュラくん……?  最初出てきたとき名前出てこなかったぐらいには影が薄い。

次に、武器についてです。

重火器が効かない敵にざっくざっく刺さる武器、どんな硬度しとんねん感ありますね。 まあ、当然固い敵の素材を使って作った武器なので同程度の固さはあるはず……ほんまか? たぶん、ハンターさんが切れ味レベル+1とかの防具を着てたんだと思います。切れ味レベルって何?

あと、作中でクラッチクローという装備が出てきます。

f:id:hilinker:20210327205218p:plain
クラッチクロー

これは原作にもある武器で、腕甲に装備して射出するとワイヤーが伸び、先端の爪が敵に突き刺さるとワイヤーが縮んで自分の身体を引っ張れるというものです。 これ、クラッチクローがクソ固い敵(ディアブロス)にぶっ刺さるのもおかしいのに、どう考えても腕一本で全身を持ち上げるの無理やろ。 まあ、この挙動はしっかり原作再現ではあるんですけど。

また、主人公が双剣使うのですが、剣を目の前でクロスさせると剣が赤い光を発し始めます。 え、鬼人化ってそういう仕組みなの!? 僕はてっきり持ち主が覚醒するみたいなものだと思っていたのですが、どうやら剣の側に鬼人化用の機構が組み込まれており、目の前でクロスさせると発動するらしいです。 そうなんだ…… まあ、確かに、原作において鬼人化が双剣でしかできない理由を考えたら、それはそうなのかもしれない。

あと、団長が大剣を振るうときに謎の衝撃波(火属性)が出ていたのですが、一緒に見に行った友達も知らなかったので、たぶん原作者が知らない衝撃波だと思います。

まとめ

本作は、最後の打ち切りエンドがとんでもなく酷いのと、途中途中の不要な展開が多いことを除けば、そこまで悪い作品ではありませんでした。 いや、悪い箇所と不要な箇所を取り除けば良いものになるのは当然なのですが、普段見ている作品はそういったものを取り除くと何も残らないことも多いので……

モンハンの原作を遊んでいて、B級映画が好きで、なろうに理解がある人が見れば、非常に楽しめると思います。 頼むからこんなに条件を付随させなくても楽しめる映画を作ってくれ。

1つ言い残すことがあるとすれば、モンスターハンターシリーズは非常に面白いゲームなので、遊んでいない人は是非遊んでみてください。 オススメはモンスターハンターワールドです。

*1:小説投稿サイト『小説家になろう』のこと。

*2:亜種つってるけど、黒っぽく見えるだけの原種かも。

*3:モンスターハンターシリーズには肉質という概念がある。これはモンスターの部位ごとの固さで、当然固いと攻撃が通りにくくなる。

*4:モンスターハンターシリーズでは、モンスターのサイズがランダムで決定される。大きい個体のモンスターを狩猟すると、金冠や銀冠といった勲章が取得できる。

*5:モンスターハンターシリーズでは、モンスターを狩猟することで素材を入手できる。入手した素材はアイテムや武具などの作成に使える。

映画『ヲタクに恋は難しい』を見た感想

この記事は何?

最近時間があるので Amazon Prime Video の映画を見て回っているのですが、つい先日とんでもない作品が追加されているのを見つけてしまいました。

映画『ヲタクに恋は難しい』です。

本作は、漫画原作を実写映画化した作品なのですが、当時から「キツい」「つらい」「共感性羞恥」「つまらない」など多くの広義賛辞の声が寄せられた作品です。 当時は時間もなく別に見る気も無かったのですが、このたびアマプラに来てしまったことで見てみました。

前評判からとんでもない駄作だと身構えていたのですが、蓋を開けてみれば順当な駄作どまりでした。 正直、そこまで酷い作品ではなかったと思います。 まあ、僕が実写映画に慣れていないからそう感じただけかもしれませんが。

なんか、つまらないというより「キツさ」が前面に押し出された作品で、「そうか!こういうのもあるのか!」と新感覚を味わえました。 少なくとも、オタクの人間がこれを見たら「面白さ」より先に「共感性羞恥」が来る人の方が多い気がします。 恐らく、ディープなオタクというよりは「オレ漫画とかよく読むしオタクだよw好きな漫画はワンピースかな!w」みたいな層をターゲットにしているのだと思います。 まあ、仮に僕がオタクでなかったとしても、普通に内容もつまらなかったので、「見ていて恥ずかしい」が「見ていて無」に変わるだけですが。

さて、本作はアニメ映画ではないのですが、実写映画のレビューも書いてみようかなと思ったので書きました。 僕は原作やアニメの出来については今回言及しておらず、あくまでこの映画を見た感想を述べているだけなのでご了承ください。 また、本記事はいつも以上に雑な文章であり、かつ映画ヲタ恋のネタバレを多く含むのでご容赦ください。

感想

まず、感想の前に『ヲタクに恋は難しい』がどういう作品かを簡単にまとめたいと思います。 この作品は、端的にまとめれば社会人になって再会したオタクの幼馴染二人(成海・女、宏嵩・男)がラブコメをするという作品です。 僕は原作を読んでいないのですが、聞く限りでは原作は面白いらしいです。 アニメ化もされているのですが、僕にはそんなにハマらなくて途中で切ってしまいました。

さて、ここで冷静に考えて欲しいのですが、ラブコメとかいうジャンル、数あるジャンルの中でもかなり実写映画化が難しいと思うんですよね。*1 ただの恋愛作品ならいさ知らず、そこにコメディが付加されると数段作品の難易度が上がります。 ラブコメ(特にコメディ要素が強いもの)はテンポや間、空気感がめちゃくちゃに難しいのに、世の中には果敢にもラブコメの実写化に挑むチャレンジャーが多いみたいです。 まあ、そのチャレンジのほとんどは墓標を積み上げるだけに終わるのですが。

本作もまた、新たな墓標を1つ増やすことに成功しています。 ただ、本作は「死ぬほどつまらん。駄作!」と断言され得るようなものではなく、「まあ、頑張ったんじゃない。つまらんけど」ぐらいのものだったと思います。 一瞬だけ「努力賞ぐらいならあげてもいいかな」という気持ちになるのですが、努力の方向性が間違っている箇所が多々見受けられるのでそれすらあげられませんね。

ブコメとして

本作はラブコメということで、今回はまずラブとコメそれぞれの要素について感想を述べたいと思います。

まずコメディです。

本作もご多分に漏れず、ラブコメのコメディ部分が死ぬほど面白くないです。 真顔に告ぐ真顔。終始、死ぬ気のゼロ地点を突破した沢田綱吉みたいな表情になっていました。

というか、面白い面白くない以前に、共感性羞恥を催すシーンが多すぎて「あ゛゛゛゛ぁああ!!!!!!!殺してぐれぇぇ!!!!!!」って叫んでました。 何で映画見ながら救いを求めなきゃいけないんですか?

総括すると、「オタクが高校の後夜祭でオタ芸披露して滑り散らかした」みたいなのが2時間続きます。 いや、なかなか作れないだろこんな地獄。

キツかったシーンは多々あったのですが、個人的に最もキツかったのは成海が会社の同僚たちと居酒屋に呑みに来たシーンです。 ちょうど別卓に来ていたオタク友達(コスプレイヤーたち)とたまたま出会い、成海は同僚たちの存在を忘れて彼女たちとハイテンションにオタトークで盛り上がります。 このコスプレイヤーたちが fgo *2 のコスプレをしていたのですが、急にキャラのセリフを言い出してキメポーズを取り始めたときは最も「頼む……殺してくれ……」という気持ちになりました。 居酒屋で他の客も成海の同僚もいるのに、コスプレだけならまだしも急にセリフ言い出さないでくれ。こっちが死にたくなる。

しかも成海もそれを見て「キター!!!完成度たけぇぇぇぇ!!!」みたいなこと叫んでるし。他のお客さんの迷惑だからやめなさい。 普段は fgoクソゲーだと罵っている僕も、流石に fgo が可哀想になりましたね。 こんな使われ方をするために許可出したわけじゃなかろうに。

また、作中ではオタク的演出として、登場人物のネットスラングの乱用や、急に画面を流れる某動画サイト風のコメントなどが多く見られます。 ただ、使い方が雑だったりテンションがクソ高かったりとこれもかなり険しいです。 登場人物の大半が、銀魂に影響された女子中学生みたいでした(おいおいおいおいおーーーい!!!ww)。

あと、これをコメディの話題に入れるべきかは迷ったのですが、なんかこの作品めちゃくちゃミュージカルが挟まります(は?)。 クソ作品はミュージカル要素好きですね。

しかし、案の定ミュージカルの完成度も低く、ただただテンポが悪くなっただけでした。 マジでミュージカルやってみたかっただけだろ。 ミュージカルが挟まるたびに、意味が分からなさ過ぎて腹の底から笑っていました。 ありとあらゆるギャグより急に挟まるミュージカルが面白かったです。

コメディの話はこれぐらいにして、次にラブの話をします。

話すことは何もありません。

いや、本当にマジで恋愛要素あったか?ってぐらい印象が薄いです。

なんか、成海と宏嵩が一瞬で付き合い出して、なんかよく分からないままにデートしたり喧嘩したりして、最終的に丸く収まりました。

あの、つかぬことをお聞きするんですが、恋のどのあたりが難しいんですか……?

脚本や演出について

脚本は可もなく不可もなく、演出は不可です。

脚本がつまらないのは別にいつも通りなのですが、前述した謎ミュージカルや流れるコメントなどとんでもない演出の数々が特に怪しい光を放っていましたね。 登場人物の奇行と演出の奇怪さが合わさり、奇々怪々な仕上がりになっています。 「お、おお……あんまりはしゃぐなよ、オタク……」と言いたい気持ちになりました。

特にやっぱりミュージカルが本当に本当にヤバくて、質が低く、テンポも悪く、無駄に長く、頻繁に挟まるとかいう最低最悪の要素でした。 『ラ・ラ・ランド』とかを見習えよ。見習ってこれならもっとちゃんと見ろ。 まあさらに最悪だったのは、終盤で宏嵩が「歌とかいいんで!!!」ってミュージカルにキレたシーンですかね。 メタツッコミだと思うんですが、これが決め手となって僕はこのミュージカル要素を本当に許せなくなりました。

あと、原作がどうなのか知りませんが、オタクの描写が非常に浅いなと感じました。 これはキャスティングと脚本両方悪いんですが、陽キャがオタクの振りをしているように見えて本当にキツかったです。 ネットスラングを多用するところとか、振る舞いがオタクくさ過ぎるところとか、露骨すぎて一周回ってオタクっぽくなかったです。

一応、主人公(女)である成海は会社ではオタクを隠している設定なのに、普通に会社とか公共の場で大声でオタクっぽい話を叫んでいるのも謎でしたね。 隠す気ないだろお前。 オタバレして前の彼氏に振られたとか言ってくよくよしてたの誰だよ。

ほか

さて、ここまで脚本や演出について言及してきましたが、ここからはざっくりと思ったことを書き連ねます。

そもそもの話として、オタク趣味を持っているだけの陽キャの美男美女の恋愛の何が難しいんだよというのが、実写化でさらに浮き彫りになってしまった感はありました。 難しいって言われたからダークソウルだと思って蓋を開けたらマリオだったわみたいな。

普通に考えて欲しいんですけど、山崎賢人高畑充希が「うおおおワイらはヲタクや!恋愛難しいンゴ!」みたいなこと言ってても、「もしかして陰キャオタクのことバカにしてる?」ってなるでしょ。 2次元であれば、登場人物ほぼ全員美男美女なので許せるんですが、実写化してしまうと途端に状況の異質さが際立ってしまいましたね。

ヲタクに恋は難しい』ってタイトルでこれを売り出してるの、流石に景品表示法違反だと思う。 もしかしたら逆に、「登場人物たちはヲタクでも美男美女だから恋愛に難儀していないが、これを見ているお前らはヲタクだし美男美女じゃないから恋愛は難しいよw諦めなw」っていうメッセージなのかもしれません。なんでそんなひどいこというの……

まあ、これは映画が悪いというよりは原作も悪い気がするし、99%は僕の僻みと被害妄想が悪いんですけどね。

また、個人的にずるいなと感じたのは、サブキャラクターのキャスティングです。 佐藤二郎や菜々緒ムロツヨシ斉藤工といった「場に置いておくと面白くなる(コスト0)」みたいな強カードを雑に画面内に配置しておくことで、面白さを底上げしようとしているのが許せませんでした。 というか、この面子を使ってなおつまらなく作るの逆に難しいだろ。何でつまらないんだよ。

ただ、菜々緒刀剣乱舞のコスプレさせたのだけはマジでこの作品唯一の功績だと思います。 バカかっこよくて「菜々緒さんすげー!!!!!!!」ってなりました。流石に格が違う。

あとこれはどうでもいい話なのですが、中盤付近で内田真礼のライブシーンが出てきます。 宏嵩含むオタクたちがコッテコテのオタ芸をしていてまあそのシーンも非常にキツいのですが、内田真礼が「ギミー!レボリューション」を歌い始めたのでどうでもよくなりました。 やっぱり田淵智也*3は良い曲書きますね。

まとめ

つまらない作品や、しょうもない作品は数多くあれど、ここまで「うわ、きっつ」となる作品は稀有なのではないでしょうか。 「共感性羞恥」を作品に昇華した本作は非常に興味深い作品でした。 たぶん、この作品はオタク向けに作られていなくて、オタク風味の陽キャ(かファッションオタク)向けなんだと思います。 これに共感性羞恥を覚えるようなオタク君はそもそもターゲットじゃないので門前払いです。お疲れさまでした。

数多くのコンテンツや俳優、声優を巻き込んで盛大に事故り散らかした本作は「ヲタクの実写化は難しい」ということを再確認させてくれてましたね。 勉強になりました。ありがとうございます。

これまで長々と書き連ねてきましたが、最後に2つだけ書き残してこの記事を締めくくろうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

*1:というか、漫画原作の実写化は全部難しいだろ。

*2:Fate Grand/Order、ソシャゲ

*3:UNISON SQUARE GARDEN のベース。作詞作曲も手掛けている。

ニューラルネットワークは「原義面白い」と「広義面白い」を区別できるのか

1. はじめに

日本語には「面白い」という単語があります。 辞書で意味を引いてみると次のような意味らしいです。

1 興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い。「何か―・いことはないか」「仕事が―・くなってきた」「この作品は―・くなかった」
2 つい笑いたくなるさま。こっけいだ。「この漫画はなんとも―・い」「―・くもない冗談」
3 心が晴れ晴れするさま。快く楽しい。「夏休みを―・く過ごした」「無視されたようで―・くなかった」
4 一風変わっている。普通と違っていてめずらしい。「―・い癖」「―・い声」
5 (多く、打消しの語を伴って用いる)思ったとおりである。好ましい。「結果が―・くない」
6 風流だ。趣が深い。
面白い(おもしろい)の意味 - goo国語辞書

が、なぜか僕が「面白い」という言葉を使うと、字義通りの意味で取っていただけません。

キレそう。

どうやら僕の使う「面白い」という単語には「原義面白い(順に面白い)」と「広義面白い(逆に面白い)」の2通りの解釈があるらしく、その意味は割と反対の意味合いを持っているようです。 古文単語かよ。

そこで、本記事ではニューラルネットワークの技術を用いることで、僕の発言の「面白い」が「原義面白い」と「広義面白い」のいずれにあたるのかを判別できるかを調査しました。

本記事の構成は以下のようになっています。

2章では関連研究に触れます。 3章では実際に行なった実験内容および実験結果をまとめます。 4章ではまとめを述べます。

2. 関連研究

ここでは、今回使用した技術を簡単にまとめます。 具体的に用いた技術に興味がない方は、3章まで飛ばしてくださっても構いません。

ニューラルネットワーク自然言語処理NLP

こういった自然言語を対象とした研究を自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)と言います。 最近はニューラルネットワークを用いたものが多いですね。

NLP においては基本的には入力は文です。 が、このままだと扱いづらいので最終的に何かしらの数値で表してやりたいです。 まず、ここでは、文を単語(や文字)の時系列データとみなします。 つまり、sentence = I have a pen. みたいな文があったときに、こいつを sentence = [I, have, a, pen, .] みたいな配列とみなすわけです。 で、このままこのデータを扱うのは難しいので、単語を何かしらの計算可能な数値に変換します。 たとえば、単語の id みたいなものを用意してそれをそのまま割り振るとかが直感的ですね。 sentence = [233, 255, 17, 18, 3] みたいな。 こうして、文を数値として扱うことができるようになりました(めでたしめでたし)。

実際には少しだけ違くて、各単語をスカラー値ではなくベクトル値で表現したりするのですが、それはまた別のお話ということで。

ニューラルネットワークは言ってしまえば、数値(ベクトル)を受け取って数値(ベクトル)を返す関数なので、数値化した文はニューラルネットワークで扱えるわけですね。

パーセプトロン

すごいシンプルなニューラルネットワークです。 ベクトルを入力して、0〜1の値を出すだけ。 2値分類が解けますね。

f:id:hilinker:20210208125928p:plain
パーセプトロン

これを横並びにすれば、多クラス分類もできます(それぞれの0〜1がそれぞれのクラスの推論値に相当する)。

BERT

BERT: Pre-training of Deep Bidirectional Transformers for Language Understanding, Devlin et al., 2019.

パーセプトロンの次にこれ来るのマジ?

NLP 界隈で直近5年の最もすごい論文5本挙げろと言われたら、まず入ってくる論文です *1。 ここで提案された BERT というモデル(手法)がえげつなくて、これ以前と以後で世界観が変わります。 このモデルは色んなタスクに適用できるので、大抵のタスクの SoTA はだいたいこれとこれの派生系が使われています。 とんでもないですね。

ざっくり説明すると、 Transformer という最近出てきたつよつよモデルに、大量(マジで大量)のデータを食わせて事前知識を学習させるという手法です。 大量の事前知識を持った BERT を特定の解きたいタスクに微調整(Finetune)することで、事前知識のおかげでめっちゃ良い性能が出るというコンセプトになっています。

NLP 界隈のガブリアスポケモン第4世代)、デュアルスイーパー(Splatoon2)、メタナイトスマブラX)みたいなものです。

3. 提案手法

データセット

まず、学習を回すためのデータセットを用意しました。

データは僕の twitter アカウント(@hilinker)の全ツイートの中で、「面白い」「面白すぎ」のいずれかが含まれるツイートを抽出しました。 結果、全体で 998 ツイートを得られました。

次に、ツイートに含まれる「面白い」が原義なのか広義なのかを人手でラベル付けしました。 おそらくこのタスクが地球上で最も上手いのが僕なのですが、それでもなお難したったです。 一応、1つ基準として定めていたのが「逆張り界隈に身を置いていない人間に対しても真顔で面白いと言えるか」です。 そして、考えても分からないものは原義であるとラベル付けしました。 そもそも、「面白い」には原義しかないはずなので。

結果として、998 のデータ中、原義面白いが 755 で、広義面白いが 243 となりました。 全体の 75% ぐらいが原義ですね。 当たり前なんだよな。オレが逆張りばっかりしてる人間だと思ってる人間どもは反省しろ。

さて、いくつか例を引っ張ってきました。

原義面白い

  • クソアニメばかり見ていると思われがちだが、これは偽で面白いアニメも見ているんだよな。
  • 今期、サクラダリセットアポクリファ、レクリとくっそ面白いアニメ勢ぞろいだしマジで豊作。
  • ウマ娘、真面目にスポ魂やってて面白い。

広義面白い

  • 百錬覇王、全てがチープでマジで面白い。
  • 「私なら、誰も殺さない戦い方ができる!」とか言った直後に敵軍に雷放つの面白すぎるだろ。
  • 国会答弁、虚無過ぎて面白いよね。

まあ、なんとなく雰囲気は伝わったかなと思います。

実験1

以下の3つの手法で検証と比較を行いました。

  1. 全て原義とみなす
  2. 多クラスパーセプトロンの学習
  3. BERT の学習

1はベースラインですね。原義の割合が 75% なので、全部原義だと推論しても 75% ぐらいは正解してしまいます。これを超えられるかが肝ですね。 2は普通にパーセプトロンを学習しました。 3は事前学習済みの日本語 BERT を Finetune することで分類を行いました。

今回、データセットを訓練用データ 770、検証用データ 128 に分割して、検証用データの accuracy を比較しました。 本来は、検証用データとは別にテスト用データを用意しなくてはいけないのですが、データ数が少ないのと面倒くさいので検証用データで一番よかったものを比較しています。

損失関数には CrossEntropy を用いました。バッチサイズは 8 にして、全部 20 エポック回しました。

実験結果

  1. 全て原義とみなす: accuracy = 0.78125
  2. パーセプトロン:accuracy = 0.78125
  3. BERT:accuracy = 0.78125

って、全部一緒やないかーい!!w

これ、何が起きてるかと言うと、パーセプトロンも BERT も学習を一定以上回すと「うーん、全部原義!w」ってところに落ち着いちゃうんですよね。 だいたい1エポック回し終える頃にはすでにこの局所解に陥ってしまいます。

学習率を 0.1〜0.001 の範囲で変えたり、Dropout などの正則化を入れたりしたんですけど、すぐに全部原義であると推論してしまいます。

こうなる原因としてはいくつか考えられます。

  • 訓練用データ中で、広義より原義の方が圧倒的に多いのでそこに落ち着いてしまう。
  • そもそもデータ数が少なく、原義・広義のニュアンスを学習できるほどの十分なデータ数がない。
  • ツイート単体では判別不可なタスク。

1つ目については簡単に解決できそうなので、次の実験を行いました。

実験2

実験1で、訓練データ中の偏りが悪いのでは?と思い、再度実験を行いました。 ここでは、訓練データに含まれる原義面白いデータを間引いて、原義と広義のデータ数が同じになるようにしました。 ちなみに検証用データについては何も変えていません。

  1. 全て原義とみなす: accuracy = 0.78125
  2. パーセプトロン:accuracy = 0.78125
  3. BERT:accuracy = 0.78125

半々にしても、張り付いてしまいました。 ただ、BERT の方は結構学習が不安定になったというか、エポックごとに検証用データの accuracy がかなりブレました。 だいたい、0.2〜0.78125 の間でブレていて、半々にするとより学習がうまく行っていないなぁという感じです。

4. まとめ

今回、「原義面白い」と「広義面白い」をニューラルネットワークが判別できるのかを検証しました。

実験結果としては、全部原義であると推論するようになってしまい、判別はできなかったという結果になりました。 BERT でさえ、広義面白いという概念を理解できていなさそうです。当たり前なんだよな。なんだよ、広義面白いって。

原因としては、上でも書きましたが以下のようなものが挙げられますね。

  • そもそもデータ数が少なく、原義・広義のニュアンスを学習できるほどの十分なデータ数がない。
  • ツイート単体では判別不可なタスクである。僕はコンテキストを理解しているのでラベル付けできたけど、普通に渋谷の街角とかで赤の他人にラベル付けさせたら無理なのでは。

これを踏まえて、今後の課題としては以下のようなものが考えられます。

  • BERT の学習時に僕の他のツイートをモデルに事前に入れて、コンテキストの学習をさせる。
  • 僕が、積極的に広義「面白い」を含むツイートをしてデータ数を増やす。
  • 他の人の「面白い」を含むツイートも学習に加える。
  • 渋谷の街角で順張り健常者に正解ラベルのアノテーションをさせる。

他にももう少しヒューリスティクスを入れることも考えてもいいかもしれません。 たとえば、「虚無」がツイートに含まれていたら広義とか、「真面目に」が含まれていたら原義とか。

結論

大量の SoTA を叩き出した BERT ですら、「うーん、全部原義!w」って言ってくれてるんだし、僕の「面白い」は全部原義なのでは????

*1:あと4つ選ぶの大変だけど、うち1つは流石に「Attention is all you need」かなぁ。

2020秋アニメ を見た感想

この記事は何?

2020秋アニメを見た感想をランク付けしてまとめたものです。 ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。 アニメ映画はそれぞれクソ長感想文を記事に書いているので、ここでは割愛して総評でさらりと触れます。

感想

C

ぐらぶるっ!(C)

僕がグラブル遊んでないのもそうなんですが、それを抜きにしても別に面白くはない3分アニメ。 真面目な方のグラブルのアニメは結構面白くて好きだった。

レヱル・ロマネスク(C)

3分アニメなのにほぼ静止画だし、内容も面白くないし、キャラが可愛くない。 まいてつ原作なのに原作主要キャラクター出てこないし、ご当地アニメかと思いきやご当地ネタが雑だしで、何がやりたいのか分からなかった。 まあ、3分アニメだから許す。

くまクマ熊ベアー(B→C-)

きょむキョム虚無ホロー。

最初はBだったけどCに落ちた。 作画と声優がそこそこ良くて「熊」だったせいで誤魔化されていたが、慣れてしまえばクッソつまんなかった。 しかも、ただつまらない虚無であるだけでなく、なろうの悪いところ(イキリとか貴族とのコネとか噛ませとか雑店舗経営とか)がてんこもりで、キツさがすごかった。 まあ、最終話だけはちょっとだけ面白かったかも。

2期やるの嘘だろ。見なくちゃいけないのか?

B

ご注文はうさぎですか? BLOOM(C→B)

ご注文はうさぎですか? BTOOM (チノたちが突然無人島に拉致されて爆弾を使った殺し合いをさせられる)。

最初、虚無だなと思っていたけど同じクールにやっている他の虚無が強すぎて格上げされた。 どこかの話でココアがガチ泣きしてるシーンがすごくかわいかった。

単純に佐藤聡美種田梨沙佐倉綾音が好きなだけという説もある。

トニカクカワイイ(B+)

良くも悪くもずっと安定していた。 原作を読んでいて、「いや、この内容アニメ作れなくない?w」とか思っていたけど小綺麗にまとめられていて良かったと思う。 NASA君の声優が若干解釈違いだったけど、慣れたらこんなもんかとも思った。 鬼頭明里はマジでズルかった。サブキャラの声優も良かったです。

魔女の旅々(A→B-)

序盤は面白そうかなと思ったけど、途中からずっと微妙だった。 僕の好みもあるんだろうけど、まず旅ものなのに孤独感みたいなものがまるで無くて「えぇ……」って感じだった。 既知のキャラが2話に一回ぐらい出てきて再会するせいで、旅の一期一会感とか偶然再会できた感動みたいなものがまるでない。 もはや旅人というか観光客なんだよな。

雑百合も不快だったし、キャラクターの魅力もあまりなく、各話のパンチも弱いものが多かった。 イレイナは可愛かったけど、キャラクターとしての魅力はうーんという感じがした。 原作の地の文とかイレイナの独白がアニメ化に際して消えてしまったためか、キャラクターの掘り下げが甘かった気がする。

この手の作品だと、キノの旅がやっぱり比較に挙げられると思うんだけど、僕はキノの旅の方が好きだし面白かったと思う。

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦(A→B)

みんな大好き石鹸枠。 結構好きなんだけど、途中からはしょうもなさが目に付くシーンが増えすぎてしまって微妙だったのでBにした。 僕の感性が死んだのかなとも思ったけど、今年ひゃんを見たときはしょうもないながらも割とちゃんとしてて偉いなと感じたので難しいところ。

ただ、作画もいいし、キャラクターはマジでかわいいと思う。 ミスミス隊長、今期一番かわいい。久々にアニメのキャラクターが大層かわいいなと感じた。

雨宮天にはポンコツキャラを演じさせろというのは古事記にも書かれている。 途中、和氣あず未が出てきて少しひりついた。

100万の命の上に俺は立っている(B→B+)

僕は好き。B+ か A- か迷った。作画と演出が良かったら A- だったかも。

今期、たぶん、100万、熊、神達の3作品で比較されることが多かったと思うんだけど、100万が断トツで原義面白かった。 かなり中二臭さはあるけど、僕は結構そういう中二臭さは好きなのであり。 主人公と周囲の強さのバランスがかなりとれていて、しょうもなさがあまりない。 作画が悪かったのは少し悲しいけど、まあ全然許容範囲。

カハベルさんが結構好き。 チャイカのフレドリカも好きだったし、サブヒロインで出て来る斎藤千和が好きなのかもしれない。

二期普通に嬉しいし、豊永利行が出るのでかなり楽しみ。

A

魔王城でおやすみ(A+)

ずっと安定して面白かった。さすが動画工房。 作画も声優もいいし、安定して見られる日常系。 ちゃんとギャグとしても面白いし、ほのぼのとしているし安定感がすごかった。 順当な良作。

落ちこぼれフルーツタルト(A)

百合きららかよとか思ってたけど、想像以上に面白かった。 僕の苦手な百合要素がふんだんに入っているんだけど、作中でキャラクターの異常行動に対してほとんど必ず誰かのツッコミが入るので見やすかった。 あと、ちゃんと百合を面白いギャグとして消化しているのも良かった。

最近、アイドルのライブシーンなんて大抵が3DCGになっている中、(CGトレスとはいえ)ほとんど手書きで書いているのは執念を感じた。すごい。

新田ひより、マジで久々に見たけど生きとったんかワレ。人生相談アニメーション2期はどこ……ここ……? あと、近藤玲奈白石晴香出てるアイドルものだし、実質シャニマスなんだよな。

いわかける(B→A+)

最初はそこまででもなかったけど、6話ぐらいの大会編から化けた。 めちゃくちゃしっかりとスポ魂をやっていて面白かった。最終話は不覚にも少し涙腺に来た。 作画は所々崩れてはいたが、決めるべきところではしっかり決めていた。

1回目の大会のときに、天才型の主人公が超大型ルーキーとして他のキャラクターたちにとってのラスボスになっていたのは、構図としてすごく良かった。 また、主要キャラ4人全員がそれぞれ1クールの間に挫折と成長をしっかりと描写されていて、マジで偉いなと思った。

あと、強豪校にいるラスボス的なライバルがめちゃくちゃ性格悪くて主人公のことを死ぬほど馬鹿にしてきているのに、噛ませじゃなかったのも好印象。こういうキャラ、噛ませにしたくなると思うんだけど、最初から最後まで本当に最強のラスボスとして立ちはだかっていた。 2回目の大会で、個人の総合成績としてはラスボスに敵わなかったが、一部の種目では勝てており、かつ学校団体成績ではラスボスの所属する強豪校に勝っていたというのも絶妙な塩梅だったと思う。

演出がやや謎でネタっぽかったことと、序盤の引きの弱さを除けばめちゃくちゃ良かった。 それさえなければSに昇格しても良かった。

P.S. 花守ゆみりが、「~~でやんす!」とかいうふざけた語尾のキャラクターを演じていたの許せない(かわいかったけど)。

禍つヴァ―ルハイト(A→S→A+)

ネトゲのアニメ化。方向性としては神撃のバハムートとかに近い、世界観だけ原作と共通のほぼオリジナルアニメ。 最初から最後までダークな雰囲気でかなり面白かった。 終盤は若干説明セリフが多いなとは思ったけど、全体を通じた脚本は抜群に良かったと思う。

ただ、残念なことに抜群に作画が悪かった。 今期一番作画が悪かったんじゃないかな……マジで後半ずっと崩れてて悲しかった。

花守ゆみり

ヒプノシスマイク(SSS→A)

まさかの SSS から出所するアニメが登場した。

2話の銀行強盗をラップで撃退するシーンは本当に今見ても笑えるぐらいだが、言ってしまえばそこがピークで、それからはツッコミどころはありながらも徐々に普通のアニメに遷移していった感がある。 特に、ディビジョンバトルが始まってからはツッコミどころはあれどラップバトル自体はかっこよかった。 一郎、だいす、社畜が特にラップ上手かったと思う。

いや、ツッコミどころはあるんだけどね……ラップと演出と後半の脚本はかなり良いので、流石に SSS ではないかなぁというところで落ち着いた。 最終回でOPでラップバトルするところは普通に感動した。

S

ダンまち3期(S-)

2期は何だったのってぐらいには面白い。 ぶっちゃけ2期つまんなすぎて途中で切っちゃったけど、3期はかなり面白かった。 使い古されたテーマとはいえ既存のキャラクターを動かしつつやってて、良かった。 まあ、ただ中盤から若干失速感はあったかもしれない。 日高里菜がかわいかった。

無能なナナ(S)

正直ノーマークだったが、1話の最後で一気に引き込まれた作品。 そこからも所々チープ展開はあったものの、設定と話はピカイチの面白さだったと思う。

ただ、タイトルが無能なナナだからナナが無能なのが許されてしまうのずるい。 ナナ、話の都合でめっちゃ有能だったり無能だったりとムラがあるように感じた。 ロジックではキョウヤが圧勝してるのに、ナナが運勝ちしてるシーンも多くて「うーん」という部分もあった。

とはいえ、めちゃくちゃ面白かったと思う。

戦翼のシグルドリーヴァ(S+)

女の子が可愛かった。 キャラデザがめちゃくちゃ良くて、かつ A-1 Pictures だから作画もめちゃくちゃ良かった。 長月達平脚本なので、ギャグとかが合うかどうかは人によるかもしれないけど、僕はリゼロのギャグも好きなので割と楽しめた。 全体的に主人公たちがちゃんと成長したり、悩んだりするのは良かったし、脇役の男たちも結構キャラクター立ってて好きでした。 死亡フラグをこれでもかと立てたキャラクターがしっかりと死んでいたのも、雑な逆張りに走っていなくて良かった。

あと、これだけ女の子出してこの手の作品なら雑百合したくなると思うんだけど、全然百合描写無かったのマジで偉いと思う。 雑百合に頼らない信頼関係や友情を描くのは難しいけど、しっかりと描写できていた。流石は長月達平

逆にいくつか気になったこととしては、まず世界観や伏線を壮大にした割には若干盛り上がりに欠けたかなと思う。 次に、キャラクターが男も女もあざとすぎるけらいがあるので、それが気に食わない人はいるかも。

ひぐらしの鳴く頃に:業(S++)

1期をちゃんと見ていることが必須だが、見ていればめちゃんこ面白い。 そもそもリメイクだと見せかけて完全新作だったという作品全体の仕掛けがひぐらしっぽくて本当に好き。 こういう、メタ的な仕掛けがある作品結構好きなんだよな。 本編も、1期の出題編をなぞりつつもほんの少し違う道筋を辿っており、既に結末を知っていても最後どうなるかハラハラできて面白かった。 完成度で言えば今期屈指。

呪術廻戦(S++)

ただただ面白くて完成度が高い。 今期、一番気合の入っている作品だった。 全てが高水準でまとまっているため、特筆すべきこともない。 覇権を1つ選べと言われれば流石にこれかな。

SSS

神達に拾われた男(SSS)

1話はそこまででも無かったが、2話以降から最高速度を常に保ち続けている化け物。 ヨイショの量と密度が尋常でない。吉幾三かよ。

出合頭に全てのキャラクターが「その年齢なのにすごいね!」って言ってくるのマジですごくてげらげら笑ってた。 若返り転生のフレームワークとして洗練されすぎている。

途中から雑店舗経営するのもなろうっぽくて笑えたし、アニメに登場するすべての要素が別に面白くなかったのでずっと笑顔だった。 なんか、途中で知り合った貴族共と「ここからは別々の道を行きましょう!」みたいな話をしてたのに、最終話まで全然分断しなくて何でだよっつってた。

声優だけは無駄に豪華で、早見沙織とか小野大輔とかの口からクソくだらねぇ異世界単語がぽんぽん飛び出て来るのが不快すぎて頭おかしくなりそうだった。

まえせつ!(SSS)

抱腹絶倒!

とかいうフレーズからOPが始まるが、どちらかと言えば片腹痛いが近い。

漫才アニメなのに作中の漫才が致命的につまらないとかいう、絶望的な作品。 漫才のつまらなさに隠れているが、別に漫才以外も面白くない。 虚無の二重構造。虚無のマトリョーシカ。虚無のミルフィーユ。

途中からはほんのわずかに面白いシーンがあったり、漫才もちょっとだけ笑えるものがあったけど、ぶっちゃけもう感覚が麻痺しているだけだと思う。 ニコニコの再生数が10000前後しかないの、しゃちバト、22/7に並ぶレベル。 後半、もはやつまらないことを分かって見ている人しか残ってなかったからコメント欄がすごい平和だった。

神様になった日(A→SSS+)

まさかの途中で SSS に投獄されたスロースターター。 Angel Beats、シャーロットと来て放たれた key オリジナルアニメ第三の弾丸。

流石にあれだけ散々に言われてたし、今回は終盤の超展開来ないだろうと思っていたが、9話ぐらいで来た。 いや、まあ、今回はカウントダウンもあったし割とマシで、しかもこれまでと違って残り3話ぐらいあるから学習してて偉いなとか思っていた。 ところが蓋を開けてみれば、そのあとのクソ展開が無駄に引き延ばされただけという地獄のような結果に終わった。 9話の急展開後、主人公含めた主要な登場人物が全員イカれており感情移入先が存在しないとかいう前代未聞の状態に陥ってしまった。

終盤があれだと、前半のギャグパートもゴミだし、仲間・友情・絆要素も浅くなってしまう。 感動ものって劇薬で、観客が一瞬でも作品から取り残されてしまうとシュールギャグになり果ててしまうんだけど、今作は見事にこれだった。

麻枝准も感動ものしか書けない制約があるから変な脚本書いちゃうんじゃないかな。

総評

今期は、アニメ映画も含めてマジで豊作だった。 順も逆もたくさんあって、本当に良かったと思う。久々に20本以上見ることが出来た。

ちなみに、日本沈没とか君は彼方にもそれぞれランクを付けるとすると、SSS+、SSS++かなぁ。 いや、クソアニメ映画強すぎるでしょ。 なんというか、君は彼方だけはマジで別格で、あれに比べたらまえせつも神達に拾われた男も霞む。何なら SSSS にしてもいいぐらい。

毎クールこれぐらいバラエティに富んだアニメがあるといいですね。 来期も楽しみです。

君は彼方 を見た感想

この記事は何

この記事は、映画アニメ『君は彼方』を見た感想記事です。

つい一週間ほど前に『日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ』という超大作を見たばかりなのに、なんでまたこんなアニメを……

まずはじめに、このアニメは本当に面白かったです。 映画館なので笑いを噛み殺していましたが、人目をはばからない場所で見ていれば最初から最後まで爆笑し通しだったと思います。 二ノ国なんかより全然凄まじい作品で、気持ち的にはユアストの瞬間最大風速が定期的に打ち寄せてくる傑作です。 勢いだけで言えばここ数年で最高の作品でした。ボジョレー・ヌーボーかな?

本記事は多くのネタバレを含み、かつ僕個人の感想なのでご容赦ください。

また、本記事は eeic アドベントカレンダー2020 の9日目の記事でもあります。 こんなアニメ感想よりも知見に富んだ有用な記事が大量にあるので、是非ご覧になってみてください。

感想

いつもアニメの感想を語るときどこから語ればいいか悩むのですが、このアニメについてはあまり迷いがありません。

このアニメを端的に表すと「『君の名は』みたいな作品、低予算で作ってよwなんかエモい感じでよろしくw」って言われて作った作品だと思います。 いやもうタイトルからして露骨に『君の名は』*1を意識しているのですが、作品内でも『君の名は』へのリスペクトが随所に感じられます。 ですが、創作とは難しいもので、敬意だけでは面白い作品は作れないのです。 「あの作品好きだから真似するぜ!」と意気込んで作ってみても、出来上がったものは中国製ミッキーマウスみたいな杜撰な代物になってしまうことはままあります。

そこで潔く諦めておけばいいものを、この作品は悪あがきとして他の多くの作品の要素を詰め込みまくります。 このアニメ本当にすごくて、全部が全部既視感の塊(端的に言えばパクリ)なんですよね。 君の名はっぽい絵面、女子高校生と男子高校生の恋愛、非日常と日常の往来、謎のマスコットキャラクター、大型の怪物に襲われるシーン、作中ミュージカル etc...

構成する1つ1つの要素は「大衆に受ける」というか面白い作品にありがちな要素ばかりで、それは別にいいんですよ。 面白い要素それ自体で新規性を出すのは結構難しい、というのは同じ創作者として理解できます。

ただ、問題はそれを繋ぎ合せるのが致命的に下手だったんですよね。 既存の写真をいっぱい貼り付けて作るモザイクアートあるじゃないですか。 あれを作ろうとして最終的に遠目から見た全体像も結局ただのモザイク画像になってしまったみたいな。 そら、そんだけの要素を雑に借りてきたらそうなるだろうよという感じがします。

どうしてこんなツギハギの化け物が生み出されてしまったのだろうかと思いを馳せると、悲しくなってきます。 たぶん、それぞれのマスが名作映画要素に対応してるビンゴゲームやりながら作品作ったんじゃないですかね。 「お、『ミュージカル要素』開いたわ」みたいな。 そうでもないと、これだけしっちゃかめっちゃかに要素を詰め込んだ理由がわからない。

はい。ということで、全体の所感はこれぐらいにして要素ごとの話に移ろうと思います。

新海誠先生が好きなんですね」というただその一言に尽きます。

ただ、新海誠レベルまで絵に情報を詰め込めているかと言われれば怪しく、劣化版でしかなかったのは悲しかったです。 全体的に中途半端というか、雑でしたね。 何だろう、絵自体はどちらかと言えばきれいなのに雑に見えるのって逆にすごいと思うんですよね。 どういう風に絵を組み立てたらそんなアンバランスな映像を作れるんだろう。

とはいえ、全体的にキャラクターも背景も作画それ自体は安定していたと思います。

まあ、静止画を多用してたのでそりゃ安定するんですけどね!

いや、アニメ映画でこんなに静止画多用することあるか?ってぐらい静止画を使ってましたね。 開始5分で主人公たちがデートするシーンがあるのですが、全部静止画で進んで爆笑してました。 嘘だろ。アニメ映画で開始5分で静止画多用するなよ。どんだけリソースなかったんだよ。

静止画でない部分も、キャラクターのみをどアップで映すシーンが長かったり、めちゃくちゃエフェクトを乗っけて誤魔化していたりと、涙ぐましい作画節約の跡が見えて涙が止まりませんでした。 アニメを見てこんなにも泣いたのは未だかつてありません。

途中、生死の狭間を彷徨うシーンで謎にクジラやペンギンが空を飛んでいるシーンがあったのですが、特に伏線というわけでもなく「それ要る?」ってなりました。 たぶん、このシーン作るちょっと前に『ペンギンハイウェイ』とか見てたんだと思います。

音響がひどいことってそんなに無いと思うんですけど、この作品の音響はかなり酷かったです。

まず最初に断っておくと、声優の演技は本当に良かったです。 主演二人が俳優出身っぽくて、まあどうせまた棒読みなんだろうなと思っていたら耳を疑うほど上手くて驚きました。 いや、冷静になったらそこまで上手くないと思うんですけど、マジで二ノ国とかユアストに比べると全然マシです。

あと、作中で主人公のガイドを務めるマスコットキャラクターが出てくるのですが、そいつの CV が山寺宏一でした。 何がとは言いませんが、「私はアンチウイルス!君のことを見守っていた!」とか言い出さないかとヒヤヒヤしていました。

次が本題のSEやBGMなんですが、音量調整ミスってたり、無音が多かったり、チープだったりと結構酷かったです。

なんか15分に一回ぐらいエモい(別に見てる側はエモくないが、たぶん作り手側はエモいシーンとして作ってる)シーンがあったのですが、その度に微妙にチープな感動系BGMが爆音で流れていました。 「うおおお!!エモい絵(エモくない)!!!エモい音(エモくない)!!!お前は死ぬ(死なない)!!!!」みたいな勢いを感じて思わず笑ってしまいました。 レベルを上げて物理で殴るゲーム*2をやってるのかな?

やたらと感動系BGMを大音量で流してくるんですが、こちらとしては超展開が多すぎて作品に没入できていないので、「◯◯に完全勝利した君は彼方UC」のMADを見ている気持ちでした。

本当に BGM が安っぽかったので、スタッフロールの楽曲提供に「魔王魂」とか「マッチメイカァズ」とか出てくると思っていたんですが、出てこなくてびっくりしましたね。

いや、本当に声優の演技以外で音響が酷いと感じるアニメ映画初めて見たので、「クソ音響!そういうのもあるのか!(孤独なサラリーマン顔)」になっていました。

お話

これまで僕が見てきた作品と違い、お話がこっぴどく酷いということはありませんでした。 いや、別に面白くはないし、超展開もいっぱいあるんですけど、こう、まともなお話にしようという意気込みだけは感じたのでそこは前向きに評価したいと思います。

さて、ざっくりと展開のあらましを話すと、

「主人公の澪と同級生の新は友達以上恋人未満の関係。澪はデート中に新と喧嘩してしまい、別れたあとに交通事故に遭って意識不明の重体になる。だが、澪は気がつくと池袋の駅前っぽい場所にいて、突然現れたマスコットキャラクターに『ここは現世とあの世の狭間だよ。未練をなくしてさっさとあの世に行こう!』と言われる。魂だけとなった澪は徐々に現世の記憶を失っていき、新への思いも忘れてしまう。記憶があれば現世に戻れると教えられた澪は協力者の助力を得て、現世に戻るべく失われつつある記憶をなんとか取り戻そうと足掻く。途中、一瞬だけ新が助けに来てくれるが、最終的には自力で新への恋心を思い出し、現世への帰還を果たす」

こんな感じです。 すごいですね、これだけ書くとありがちとは言え、面白そうに見えます。 たぶん、シナリオプロット組んだ時点ではこの粒度だったので面白い作品になる可能性もまだあったと思うんですよね。

ただ、全体的にエモ要素をふんだんに詰め込んだ結果、贅肉まみれになってしまったような脚本でした。 牛肉鶏肉豚肉全部ぶち込んで野菜一切入ってないカレーみたいな。アクが酷そう。 なんというか、それぞれの素材は美味しくても全部鍋にぶち込んで煮込んだときに美味しくなるかはまた別の話というか。

全体的に、「客受けするもの」「こういうの好きでしょ」みたいなのが先行してしまってい、悲しい怪物が出来上がってしまったような哀愁があります。 いや、映画に対して覚えるべき哀愁って、こういう覚え方じゃないんだよな。こんなの場外乱闘じゃん。

さて、色々と突っ込みどころはたくさんあるのですが、順番に笑顔ポイントをさらっていきたいと思います。

まず新が霊能力者の家系だったというところが一番面白かったですね。 この設定、本当に唐突に出てきて、それ要る?ってなって笑ってました。

途中、生死の狭間の世界で彷徨う澪を助けに行こうとするシーンがあるのですが、僕はてっきり澪に会いに行くために自ら仮死状態になる展開だと思っていました。 ところが、同じ霊能力者である新の叔母と話している最中に、新は突然死します。 超展開すぎて僕はめちゃくちゃ笑っていたのですが、後になってどうやら突然死したわけではなく幽体離脱したらしいことが判明します。 なんか、直後のシーンで叔母さんが心肺蘇生してるので、てっきり偶然心臓麻痺起こして死んだのかと思いました。この作品ならそれぐらいやるなと思っていたので。ほんとびっくりさせないで欲しい。 いや、幽体離脱してたのも十分びっくりなんですけどね。

その後、幽体離脱していた新を叔母さんが謎パワーで呼び戻します。 いや、最後まで説明なくて、本当に謎パワーとしか言いようがない。 その能力使って澪も呼び戻せよ、と思ったんですが澪はどうやら仮死状態になってからの時間が経っているのでダメらしいです。

こういった理由をちゃんと用意しているのは偉いですね。 なんというか全体的に伏線とか理由付けみたいなのは一応ちゃんとやろうとする気概があって、そこは評価してあげたいですね。 偉い。偉いか?いや、偉いですよマジで。 クソアニメ界の優等生ですよ。

他にも、澪が突然ミュージカルを始めるシーンも面白かったです。

狭間の世界で、「私はダメなやつだ。でも変わりたい」みたいなことを突然一人でミュージカルし始めたので目を疑いました。 いや、最初から最後までミュージカル調ならまだしもその箇所しかミュージカル出てこないし、あまりに突然のことに僕ですら戸惑いを覚えていました。 目の前で急にフラッシュモブ始まったみたいな唐突さがありますね。 しかも、その時点で僕たちは別に澪に対して特に感情移入できていないので、なんか急に歌い踊り始めたやべぇやつという悪印象がついただけのイベントで、本当に笑いをこらえるのが大変でした。 声優の歌がうまかっただけに本当に悲しい。 悲しいけど、映画で覚えるべき悲しみの方向性と若干違うんだよな。

あと、単純に全体の展開が行ったり来たりだったのも良くなかったと思います。

展開が二転三転するとか、三歩進んで二歩戻るを繰り返す、なんていうのは多くの作品で行われていると思うんですが、この作品は「三歩進んで三歩下がる」みたいなことをやるんですよね。 基本的に、主人公の澪が現世の記憶(特に、新への恋心)を思い出すことが物語の基軸なんですが、「あーはいはい。完全に思い出したわ。ほな帰るで!」→「帰れんかったわ……なんでや?」を何回かやります。 いや、全然思い出してへんやんけ。

これ、当人が思い出した気がしていただけとかならいいんですけど、他のキャラクターとか作品の演出的に「いやー、これは完全に思い出しましたね。間違いない。はい、大団円」みたいな空気感を出してくるので、こちらとしてはめちゃくちゃ肩すかしを食らいます。 い、今起こったことをありのままに話すぜ!俺は澪が記憶を思い出したと思っていたんだが、実は思い出していなかった。何を言っているのか(以下略)

しかも、それだけ散々に引っ張っておいて、最後の最後には何のきっかけもなく「なんか思い出したわ」っつって思い出して終わるので、視聴者は最後の最後まで主人公のリズム感に波長を合わせられずに終わります。 いや、お前「どうして、思い出せないの……!やだ!私、死にたくない……!」ってクッソ長尺取って5分ぐらいずっと泣いてたシーンは何だったんだよ。

この5分ぐらい泣いてるシーンも本当にすごくて、「うわあああああん!!帰りたいよぉ!!!」→「スン……」→「いやああああああ!!帰りたいぃぃぃ!!!!」を繰り返すので、マジで笑ってました。 緊張と緩和が笑いの基本であることをばっちり理解してるんだな!

今までは急にミュージカル始めるぐらいには冷静だったのに、ここのシーンで急に泣きじゃくり始めるから本当に誰も付いていけてないと思います。 え、君は彼方ってそういうこと?澪の精神構造が視聴者の理解の彼方先にいるみたいな意味だったの?

閑話休題

他にも気になりポイントがいっぱいあるので、ここから先は箇条書きで書こうと思います。

  • クライマックス感のゴリ押しがめちゃくちゃ多かったです。15分に1回ぐらい小さめのクライマックスみたいな感じで「ほら、エモくなれよ」という雑殴りをしてくるんですが、雑すぎてこちらとしては全然物語に没入できません。というか、クライマックスは最後に来るからクライマックスなのであってそんなにぶち込むな。用量用法を守れ。放課後クライマックスガールズかよ。
  • 謎のマスコット(クマの人形っぽい)が情緒不安定で良かったです。なんか「君の運命は決まってる!未練をなくしてさっさと死のう!」とか言い出したと思えば、次のシーンでは「現世に戻る方法を一緒に探そう!」とか言い出すし、さらにこれを交互に繰り返すので喋るたびに笑ってました。
  • 途中、澪が巨大な蜘蛛のような怪物に襲われるシーンがあるのですが、マスコットが身を呈して澪を庇い蜘蛛の前足を両手で抑えます。直後、澪は蜘蛛の別の足で蹴り飛ばされます。うん、まあそうだよね。足8本あるんだし、2本止めても普通に攻撃来るよね。ここ、何のためにこいつ前出たんだよってなって吹き出してしまった。
  • 主人公が、生死の狭間で記憶を失うに連れて体を黒い靄に侵食されていきます。この黒い靄も説明なかったのでよく分からないんですが、それよりも黒い靄を気合いで消してたのも面白かったです。それも徐々に侵食してくるとかではなく、思い出したように作中で2、3回パッと侵食して気合いでかき消されるだけでした。何だったんだマジで。
  • 最後、幽霊のまま現世に戻ってきた澪が新に気づいてもらえずに呼びかけるシーンが、完全に名作洋画『ゴースト』でした。もし『ゴースト』を知らないであのシーン作ってたらすごい才能だと思います。
  • ボスっぽい人型の存在が急に蜘蛛形の化け物に変身するんですけど、そのキャラデザがあまりに見覚えがあって「『魔法少女まどかマギカ』とか『千と千尋の神隠し』あたり参考にしましたよね?」と問いたい気持ちになりました。

まとめ

このアニメ、名作映画の要素を全部入れようとしたら無事に瓦解してしまったという、本当に美しいまでの現代寓話になっていてめちゃくちゃ面白かったです。

僕は必ずしも二番煎じやテンプレが悪いとは思いません。 言葉を変えればそれは王道とも呼べますからね。

ただ、そこに明確な信条がなければこんなにもしっちゃかめっちゃかな作品になってしまうんだなという気づきがありました。 つまんない映画版クレヨンしんちゃんと言えば通りがいいかもしれません。 クレヨンしんちゃんのあれは、めちゃくちゃなようで筋が一本通っている脚本が多いので多くの感動と面白さをもたらしますが、『君の彼方』はそうはなれませんでした。 紙一重ですね。いや、嘘かも。厚紙50枚ぐらいの隔たりはありそう。

もし、『君は彼方』の監督が次回作を作ることがあればぜひ見たいと思います。 今はまだ憧れの『君の名は』は彼方にいますが、もう少しブラッシュアップすれば名作映画に手が届くかもしれません。

まあ、そうなったら多分僕は見に行かないんですけどね。

*1:新海誠監督のアニメ映画。2016年。世間を大いに賑わせ、数多くの記録を打ち立てた。

*2:ラストリベリオン

日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ を見た感想

この記事は何

この記事は、『日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ』の感想を記した記事です。

ちょっと前に面白いアニメ映画である『鬼滅の刃 無限列車編』のレビューを書いたのがいけなかったんですかね。 バイト先の先輩に「絶対見た方がいい」と強い言葉でお勧めされ、1800円と2時間半をドブに捨ててきました。 かかった時間もお金も今までで一番高くつき、コスパで言えば過去最悪の作品でした。

本作はざっくり言うと、大体『王様ゲーム THE ANIMATION』でした。 脈絡なく雑に人が死ぬし、それがシュールギャグになっているあたり、まさに同類と言って差し支えありません。 『日本沈没』を原作に据えて、何でシュールギャグアニメが作れるんだよ。逆に難しいだろ。

ということで、この記事はシュールギャグアニメーションである日本沈没2020の感想文になります。 地震とは奇縁がある僕*1ですが、まさか地震を題材にしたアニメの感想を書く日が来るとは思いませんでした。 ネタバレを多分に含みますので、ご容赦ください。

いきさつ

まず、この映画を見に行く前段階の話を少ししたいと思います。

僕は、日本沈没はちょろっと映画(新しい方)を見たことがある程度の知識しかありません。 ざっくりと「大地震が来て日本が終わり、そこに生きる人々のあれやこれやを描いたもの」みたいな認識しかありませんでした。

そんな折、「Netflix に来た『日本沈没2020』とかいうアニメがやばい」という話がクソアニメ界隈から流れてきました。 実は『日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ』は Netflix で独占配信されていたアニメを、劇場アニメ用に再編集したものなんですね。 僕もその話は気になっていたものの、そのためだけに Netflix に契約するのもアホらしかったので流石に見ていませんでした。 ちなみに、Netflix の契約は月々800円とかなので、どう考えても映画を見に行くよりは安く済むし、何なら他の映像作品も見れるので絶対そっちの方がいいです。

そうこうしているうちに、映画好きの先輩に日本沈没の映画をオススメされることとなりました。 オススメを受けてネットで上映情報を調べてみたところ、「上映している映画館は都内で2つだけ」「上映時間はそれぞれ1日1回ずつ」「明日で上映最終日」という絶望的な情報が目に飛び込んできます。 下の画像がその検索結果のスクショです。

f:id:hilinker:20201126124211p:plain

いや、ド田舎のバスでももうちょい本数あるわ。 ちなみに、参考までに鬼滅の刃のタイムテーブルを見てみましょう。

f:id:hilinker:20201126124537p:plain

流石、無限列車を名乗るだけあって無限に本数がありますね。 これを見てしまうと、日本沈没の上映予定はもはやタイムテーブルではないですね。ただのタイムです。

というわけで、映画館のサイトでチケットを買おうとしたのですが、座席指定ページがなんと真っ白。 すごい。上映最終日にも関わらず、僕以外誰も前日にチケットを買ってない。 都心の、ど真ん中の、天下のTOHOシネマズで上映されている映画がですよ? 日本が沈没でもしてなきゃここまで全空席にはならないだろ。 しかも、「特別料金」とか書いてあって学割とかも一切効かないし、この時点で香ばしい香りは漂ってきていました。

僕はとんでもなくつまらない作品を勧められたのではないかと震えながら真ん中の席を予約して、翌朝の9:30に映画館へ足を運びました。 いや、何でこんな映画を観るためだけに早起きしなくちゃいけないんだ。

しかし、シアターに着いて少しだけほっとしました。 昨晩席をとったときには僕しかいなかったはずですが、見渡せば何人か他にも観客がいるではありませんか。 最終的には10人ぐらい観客がいる状態で映画が始まりました。 僕はかけ算が得意なので、「よかった。10人いるってことは、想定の10倍は期待できそうだな」と思いました。

まあ、それが間違いだと気づくのに30分も要らなかったわけですが。

ということで前置きが長くなってしまいましたが、以下に感想をつらつら書いていきます。

感想

全体的に崩れていました。

背景はそんなに問題なかったのですが、特にキャラクターがひどい。 自分で言うのもなんですが、僕が崩れていると感じるのって相当で、マジでここ最近見たアニメの中で一番作画が悪かったです。 前のカットから移り変わると、「いや、こいつ誰?」ってなるぐらい作画が悪くて、服装や髪型、肌の色、体についた傷、声などで何とか判別が付いているレベルでした。

キャラクターを動かしやすくするためだと思うんですが、それにしたって酷い。 せめてキャラクターの同一性ぐらいは判別できるようにしてくれ。 知能テスト解いてるんじゃねぇんだぞ。

一方で、背景とか小物はよく動いていたと思いまし、地震のヤバさみたいなものはよく描けていたのかなと思います。

音響は結構良かったんじゃないかなと思います。 SE はそこそこ迫力があって、緊迫感を損なうことは無かったように感じます。

声優も、主人公を上田麗奈が熱演していて良かったと思います。 まあ、その熱演のせいで逆に面白くなってしまった箇所もあったんですけど……

お話

絵や音が微妙でも、お話や演出が文句なしに面白ければ、名作と呼ばれることもままあると思います。 ただ、その理屈で言えば残念ながらこの作品は名作ではありません。 何故なら、お話が文句を言いたいぐらいめちゃくちゃだからですね。

えーっと、どこから話しますかね。本当に、全編通してツッコミどころばかりなので、全部語るしかない。 この作品、1クールアニメを圧縮して映画にしただけあって本当にすごくて、どこをどう切り取っても面白い箇所しかないです。 これまで見て来たアニメ映画も、ある程度はポイントを絞って感想を言えたのですが、本作は全部すごいので全部語る他ありません。

ということで、大人しく時系列順に話そうと思います。

プロローグ

日本沈没2020では、開幕で建物が全てぶっ壊れるレベルの大地震が来て日本がめちゃくちゃになります。

そんな中で、陸上の選抜メンバーである主人公、歩は競技場で地震に巻き込まれます。 彼女の家族(父、母、歩、弟の4人家族)も同様に散らばっており、何とか一か所に集まろうとします。

各自、何とかして家に戻ろうとするわけですが、家のあたりは既に崩れており誰もいません。 そのとき、近所の神社がゲーミングカラーにライトアップされているのを見つけ、「もしかして、あの独特の色は……!」となり神社で再会できます。 父親がかつて自宅の庭をゲーミングカラーにしていたらしく、それを思い出してあのライトアップが父親の仕業だと気づいたわけです。

ゲーミングカラー神社の絵面はちょっと面白かったですが、この時点では大地震の絶望感や家族の再会などをしっかりと描写できていて、普通にちゃんとしたアニメだと思っていました。

サバイバル編

そこから、家族4人+知り合いのお姉さん+歩の先輩の計6人で、安全っぽい西へ逃げようという話になります。 何で西が安全と分かったかと言うと、ネットの情報を鵜呑みにしただけです。 すごいですね。タイトルに2020とついているだけあって現代的です。

6人でサバイバルをしながら西遷を続けるわけですが、お父さんが本当にすごい。 作中で特に理由は説明されていないのですが、サバイバル能力が非常に高くナイフ一本でイノシシも仕留めてしまいます。 いや、何で?

そんな中、この作品の転機が訪れます。

僕は、普通にドキドキしながらこの作品を純粋に楽しんでいたのですが、そんな中で父親が立ち入り禁止のフェンスを乗り越えて山芋を掘ろうと言い出します。 父親は「山芋はな、こうやって掘るんだぞ」と言いながら慣れた手つきでスコップを扱い、山芋を掘っていきます。 この父親と一緒であれば、この先も生き残れるかもしれないと思わせてくれました。

しかし、同時にその時点で若干嫌な予感がしていました。 父親はかなり深くまで穴を掘っていた(2メートルぐらい)ので、このタイミングで地震が来て土砂崩れとかで生き埋めになってしまうのではないかという不安があったのです。 この手の作品で、有能すぎるキャラクターは早々に退場するのがお約束なので。

ですが、日本沈没2020はそんな僕の予想を遥かに上回ってきました。

少し離れた場所で蔦の這うフェンスを眺めている主人公の歩。 何気なく蔦を払うと、そこには「立ち入り禁止! 不発弾が埋まっています!」の赤い文字が。

直後、画面が父親に切り替わると同時に、父親のスコップが「カキン」という金属音を上げて何かに突き当たります。

「嘘だろ……?」

父親はそう呟くと、不発弾の爆発で弾け飛びます。

「嘘だろ……?」じゃねぇんだよ。こっちのセリフだわ。 え、オレが見てたのって地震を題材に扱ったアニメだよね? なんでお父さん不発弾で死んだの?

「いやいや、まさか死んでないだろ」と思っていたら、お父さんの腕がお母さんの近くに吹き飛んできます。

いや即死ですね、これ。

100歩譲ってですよ。地震とかそれに関連する土砂崩れとか津波で死んだりするのは分かる。 でも、不発弾は流石に面白すぎる。地震がテーマの作品で出て来る死因じゃねぇだろ。 「大地震が起き、父親が死にました。どうしてでしょうか」っていう問題でウミガメのスープ作ってんのか?

このシーン、本当に悪い意味で衝撃的で、映画館じゃなかったらたぶんループ再生して爆笑していたと思います。 本当にこの作品を運命づけるというか、ここから先もこんな感じの展開が続くんだろうなと確信させてくれました。 このあたりから、僕の口角が上がり続けます。

山道編

それから、傷心もそこそこに徒歩で移動していた歩たちはトラックに拾われます。 そのトラックの運転手がクズで、お姉さんにちょっかいだしたり、お母さんを殴ったりし始めたので、最終的にボコボコにしてトラックを奪います。 何だったんだこいつ。

その後、行き止まりでトラックを乗り捨てて富士山の麓あたりを歩いていた一行は、休憩しようと腰を落ち着けます。 歩とお姉さんはお手洗いに行こうと、一行から少し離れて山道の脇を降りていきます。 僕も歩たちも、お父さんの死の衝撃からようやく立ち直れてきたわけですが、突然お姉さんが死にます。

……?

もう一度言いますね。 突然お姉さんが死にます。

低い箇所に有毒ガス(たぶん、硫黄化合物)が溜まっていたらしく、屈んだ拍子にお姉さんが窒息死したらしいです。

また地震関係ないですね。

大喜利大会か? 大地震が起きたけど地震以外の死因で殺す大喜利をしてるのか?

一応、頑張って好意的解釈をすると「大地震によって有毒ガスが噴出し、本来安全なはずの場所にもガスが充満した」ぐらいの関係性を認めることはできそうですね。 作中ではそんな説明は一切ありませんでしたが。

いずれにせよ初手の死亡シーンが不発弾だったので、もはや有毒ガスぐらいなら「うんうん! 全然地震で死んだカウントできる! オッケー!」ってなりますね。

ちなみに、有毒ガスがあるという話は、急に空から降りてきたユーチューバーの説明で分かります。 待ってください。有毒ガスで僕の頭がおかしくなったわけじゃないんです。本当なんですよ。急にパラセール背負ったユーチューバーが空から降りて来たんですって。

ということで、お姉さんに代わる形でユーチューバーが同行します。どういうことだよ。

その後、一行は山中のスーパーマーケットにたどり着きます。 そこでは、モルヒネでラリったおじいさんが一人で生活していました。 紆余曲折あって弟がおじいさんに懐き、大地震が来たのでおじいさんも連れて、全員でスーパーを脱出します。

いや、パーティメンバーが濃すぎる。もっと普通の奴らでいいだろ。

なんか、このあたりからもはやこの作品が何をやりたいのか、見えなくなってきていました。 「普通の人間が大震災に巻き込まれて、多くの離別を経験しながらも、必死に生き延びる様を描いた作品」だと勝手に思ってたんですけど、どうやら僕の勘違いだったようです。

ちなみに、先ほど仲間にしたユーチューバーが本当に有能で、ここから先最後までずっとこいつが話を転がし続けます。 海上で気球を直して救助を呼んだり、博士の秘密基地の隠しファイルにアクセスしたり、水陸両用の装甲車をどこかから持ってきたり(etc...)。 もう全部あいつ一人でいいんじゃないかなレベルで有能です。最近のユーチューバーってすごいんですね。

教団編

その後、一行は道の途中で外国人を拾って、カルト教団の施設に身を寄せます。 展開を字面に起こすだけで意味不明すぎて笑顔になってきますね。 すみません、僕だってこんな脈絡もないアホみたいなこと書きたくないんです。 でもそういう脚本だったんだから仕方ないじゃないですか……

一行が夜中に謎の巨大施設にたどり着き、壁を明かりで照らすと一瞬だけ謎のシンボルが映ります。 この時点で僕は嫌な予感がしていたのですが、その後施設から出てきた人がよく分からないポーズで出迎えてくれた時点で確信しました。あ、カルト教団だなと。

ですが、僕の予想とは違い、めちゃくちゃまともなカルト教団でした。 信仰を強制してこないですし、衣食住も提供してくれますし、娯楽もある。 信徒たちも幸福そうですし、主人公たちに危害を加える者もいない。

というか、教祖が”本物”だったんですよね。 死者と話せるという触れ込みの教祖の少年なのですが、実は教祖の少年にずっと付いている母親の方が本物の霊能力者で、マジで死者の声が聞こえます。 いや、何で急にファンタジー要素入れてきたの? この作品、終始こんな感じで、何がやりたいかが全然分からないでぶれぶれなんですよね。 30分ごとに別の人が脚本書いたのかな。

それまでほとんど喋らず母の死に沈んでいた先輩が「これは(地震で死んだ)母親のカレーだ……」と涙を見せたり、ユーチューバーと先輩が一緒にDJをして友情を確かめあったり、モルヒネおじいちゃんが教祖を孫と勘違いして暴れたり、一家が「死んだ父親の声が聴きたい!」とひと悶着あったりしましたが、また大地震が来たので大体全部ぶん投げて施設を去ります。 起承転結の転は全部ぶん投げていいってことじゃないんだよな。 マジで何だったんだよこの時間。

施設を出るときに、道で拾った外国人と薬漬けおじいちゃんは置いていきます。外国人は信徒で、おじいちゃんは孫(偽)に付き添いたいと考えたかららしいです。 ちなみに先輩は付いてきます。いや、お前あの流れで入信してないのかよ。 入れ替わりで、寝たきりの潜水士が仲間に加わります。 この潜水士も霊能力者か何かかは知らないですが、なんか地震を予知できるっぽいです。

また車で逃げ出そうとした際に、いくつか面白かったシーンがありました。

まず、信徒たちが銃で襲ってきたのがめちゃくちゃ面白かったです。 脈絡なく急に銃が出てきたのも面白かったですし、何で信徒たちが襲ってきたのかもよく分からなかったです。

次が、教祖の最期です。 教祖の少年は生まれつき脳に障害があったっぽくて、言葉を喋れなかったっぽいです。 ぽいぽい言ってるのは、上記の説明が案の定一切作中でなされていないからです。 崩れゆく施設の中で教祖の少年が、駆けつけてきた母親を見て初めて「ありがとう、お母さん」と拙いながらも言葉を発します。 その時点で教祖の父親?が「いま、言葉を……!」とか言い出したことで、僕は上で言っているような仮説を立てて流れを見守っていました。 ですが、母親が駆け寄ろうとしたその瞬間、上から落ちてきた瓦礫が教祖の頭に直撃し、教祖が死にます。 間が完璧にギャグだったというか、このときようやくこのアニメが『王様ゲーム THE ANIMATION』と同質であると理解できました。

海編

教団を抜け出した一行は、脱出船の場所までたどり着きます。 抽選で選ばれた人間と、一部の優秀な若者を優先的に国外に逃がしているらしく、陸上の選抜メンバーである主人公やそのコーチも選ばれます。 ただし選ばれたのは主人公だけ。家族は付いて行けないらしい。主人公のコーチはその旦那も付いていけてるのに?

ここ、結局主人公が乗船をやめて家族の元に戻ってくるのですが、「その展開をやりたいがための設定」という感じがして勢いがすごかったです。 主人公が「私の居場所はここ!家族のみんながいる場所なんだよ!」みたいなことを言い出すのですが、今後もこれと同じようなセリフは繰り返し作中で叫ばれています。 日本と外国の対比とか、主人公が「それでも私の居場所はこの日本なんだよ!」とか言い出すわけです。 恐らく、「帰る場所、居場所、愛すべき祖国」みたいなものを作品のテーマにしたかったのでしょうが、それをキャラクターの口から直接的に言わせるのはあまりに愚直ですし、説教くさいですね。 何でユアストしかり、クソアニメってすぐ説教を始めてしまうんですかね。

その後、何故かは分からないですが主人公たちは再び独力で海に出ようとします。 ここ、本当に展開がすっ飛んでいて、マジで一瞬気絶してたんじゃないかってぐらい全然分からなかったです。

一度、大型船(脱出船とは別のやつ)への乗船を断られたのちに、漁師のおっさんが声をかけてくれます。 どうやら自分の漁船を使って、避難しきれなかった人たちを逃がそうとしているようです。

「は、あんな大型フロートはダメだ。それより俺の船に乗んな!あんなでかぶつより沈まねぇぜ?」

と啖呵を切る漁師のおっさん。

その20秒後、漁船は沈みます。

ここの展開さすがにスピード感ありすぎて爆笑してました。瞬間時速で言えばてーきゅう超えただろ。

乗船を断られた大型船が5秒で座礁して爆発したのも面白かったし、その余波で漁船が沈むのも面白かったです。 座礁しても船は爆発しないし、余波で飛んできた破片で船体に穴が開いたりもしないだろ。

沈みゆく船で何とか救命ボートを用意する漁師のおっさん。ですが、同乗していたモブ避難民が「俺が先だァ!!!」と銃をぶっ放します。

いや、この一分間面白すぎるだろ。

モブ避難民が雑に銃持ってるのも面白いし、悠長にぶっ放すのも面白いし、なんかもう全部面白い。 「私の居場所はこの日本なんだよ!」じゃないんだよな。オレの知ってる日本では、銃持ってる一般人なんてそうぽんぽんいねぇわ。

とかなんとかやっているうちに主人公、弟、漁師のおっさんの三人のみが救命ボートに乗り込みます。 どうやら救命ボートは複数あったらしく、他の面子は別のボートに乗り込んだっぽい。 おっさんは銃で腹を撃たれており、気丈に振舞いますが翌日には死にます。死肉を海鳥についばまれるシーンはかなりグロテスクでしたね。

いや、また死因が地震関係ないんだけど。 今のところ主な登場人物の死因が、不発弾、有毒ガス、銃殺ですからね。 もういっそのことさっさと沈没してくれ。

失礼、取り乱しました。 そうして姉弟二人で漂流を続けます。 この漂流が何日ぐらい続いたのか、描写からは全然分からなかったのがすごいですね。 普通、こういう漂流ものって日数の経過によって徐々にやつれていく様とか、食料や水が無くなっていく恐怖を描くものだと思うんですが、ほとんどそういう描写がなくマジで何日経ったのか分かりませんでした。

いや、冷静に考えると漂流ものの作品じゃないんですけどね、これ。地震ものなんですけどね。

そんな風に漂い続けて何日が経ったか(マジで何日経ったか分からない)、別のボートで生き延びていた母親と先輩が助けに来てくれます。 寝たきりの潜水士はいますが、ユーチューバーはいません。 ご都合展開過ぎましたが、もはやこの作品でその程度のことで驚かなくなっていました。

その後、これもまた偶然にも海上で漂流するモーターボートを見つけ動かそうとしますが、錨のロープが海底で何かに引っかかっていて動きません。 そこで、お母さんが潜ってその原因を取り除くと言い出します。 お母さんはどうやら水泳選手だったらしく、泳ぐのが得意らしいです。 何で伝聞系かというと、これまた作中で明言はされていないからです。 いや、何で作品のテーマはこれでもかってぐらい直接的にセリフで言わせるのに、そういう説明は省くんだよ。一言入れればいいだろ。

そして、潜った母親は引っかかっていたロープを外し、浮上しようとしたところで、息が続かなくなり死にます。

次は溺死かよ。

ここまで来ると逆に次のメインキャラの死因が楽しみになってきますね。 ここの場面は本当にすごくて、そのあと心肺蘇生のくだりを長々とやるので絶対に息を吹き返すと思っていたんですけど、普通に死ぬんですよね。 人はあっさりと死ぬということを教えてくれる、本当に示唆的な場面でした。もっとTPOをわきまえて示唆して欲しい。

それから数分のうちにユーチューバーが水陸両用の装甲車に乗って助けに来てくれます。

もう本当にやだ何も分からない……

「もう少し早く来ていればお母さんは死なずに済んだのに!」とか「その乗り物は?」みたいなくだりも全然なく、歩たちはすっと装甲車に乗り込みます。 まあ、これまで散々色んな人の死を見てきましたからね。 今さら母親が死んだところで「さ、次行くか」みたいな感じなのかもしれません。

ラストラン編

ここでもう一度、現在のメンバーを整理しましょう。

歩(主人公)、弟、歩の先輩、ユーチューバー、寝たきり潜水士です。

実は寝たきり潜水士が前々から地震を予測していたとか何とかで、彼が親しくしていた博士の秘密基地に行くことになります。 このあたりの展開も結構意味分からないんですが、いちいちツッコミ始めると終わらないので割愛します。

ユーチューバーは寝たきり潜水士を担いで海中に沈みかけている秘密基地へ向かい、重要情報を入手しようとします。 この情報、めちゃくちゃ重要かと思いきや、日本の沈没と隆起のタイミングの情報が載っているだけです。 そんなことのために命がけでわざわざ取りに行くの?

そして重要情報をメモリーカードに写し終え、戻ってきたユーチューバー。 いや、お前は死なないのかよ。いかにも沈みゆく中で死にそうな感じだったじゃんか。

しかし、戻ってきたのも束の間、彼らを高波が襲い、メモリーカードが波にさらわれて埠頭の先の方へと滑っていってしまいます。 このままではメモリーカードが海に流されてしまう。

そのとき、これまで無言を貫いていた先輩が「僕が走って取りに行く」と高らかに宣言しました。 ユーチューバーとラップバトルで友情を深め、母の死から立ち直りつつあった先輩は覚悟を決めて走り出します。 次の高波までは10秒。その間に行って戻って来れれば先輩の勝ちです。 先輩は埠頭の先でかっこよくメモリーカードを掴むと、その場でターンしこちらに駆け戻って来ます。 なんかキラキラするエフェクト出てるし、BGMは勝ち確っぽい感じだし、先輩も笑顔で走ってくるし、誰もが勝ちを確信していたと思います。

直後、メモリーカードをこちらへ放り投げた先輩は高波にさらわれます。

そんなことある?何度この感想を抱けばいいのか分からないけど、それでも言わせてくれ。そんなことある?

しかも、ここにきて地震関係の死因で死ぬのかよ。 これまで地震無関係の死因だったなら最後までそれを貫き通せよ。

そのまま先輩は行方不明になります。その後、一度も作中で触れられないので恐らく死亡確定です。 いや、ユーチューバーは何やっても死なないのに、先輩は一瞬だけ輝いて即死したんだけど。格差社会がひどい。

エピローグ

その後、なんやかんやあって結局主人公たちは自衛隊っぽいヘリで救助されます。 マジで今までの大移動はなんだったんだってぐらい、あっけなく救助されます。

その後、主人公はロシアの病院に運ばれ、医者から「足の傷から感染症が広がっている。死にたくなければ足を切り落とすしかない」と宣告されます。 それは、陸上選手を目指す彼女にとっては選手生命を絶たれることに他なりません。

僕はここで本当に笑いそうになりました。

主人公は映画の開幕5分でふくらはぎに裂傷を追うのですが、作中でこれを一度も治療しません。 いや、本当に包帯すら巻かないで、全く消毒もしないんですよね。 医療用品が無かったとか、怪我に気づかなかったとかではなく、何故か執拗に治療をしなかっただけです。 弟の切り傷には医療用ホッチキス使って怪我を止めたり、先輩の傷は消毒して包帯巻いたりしてたのに。

だから、マジで最後に足を切り落とす展開をやりたいためだけに傷口を放置されていたっぽくて、本当に吹き出すかと思いました。 この作品途中から本当にめちゃくちゃだったので「足の傷の伏線回収せずに終わるんじゃなかろうな」と思っていましたが、最後に回収されて安心した反面、展開ありきすぎて面白かったです。

それから主人公が足を切断するかどうか苦悩するシーンもなく8年の月日が経過し、そこには足を切り落としながらも義足で活躍する主人公の姿が……

こうして、この作品は幕を閉じます。

え、これで終わりなんですか!? 嘘ですよね!?

こんなにも終わって欲しくないと思った作品はなかなかありません。 これまで自分が見て来た2時間半が、こんなあっさりとよく分からない展開で終わっていいはずがない。 ですが、目の前では無慈悲にも戦犯リストスタッフロールが流れ始めます。 呆然とスクリーンを見つめて笑顔になっていました。

まとめ

何度も繰り返しますが、このアニメはマジで『王様ゲーム THE ANIMATION』なんですよね。

人がクッソ雑に死んでいくところとか、それがシュールギャグになっているところとか。 地震よりも人の方が怖いんだよ、という主張なら分かるのですが、死因的にはそういうわけでもなく、本当に思いついた方法で殺しただけという感じがします。 なんというか不条理な死の描き方にしたってもう少し色々とあったんじゃないんですかね。 展開ありきの設定や、超ご都合展開、有能・無能すぎるキャラクター、そのくせして死体の描写だけはやけに丁寧など全てにおいてめちゃくちゃで本当にすごかったです。 沈没していたのは日本じゃなくてこの作品の脚本でした。

日本沈没』自体は有名なSF小説で、幾度も映画化やドラマ化されていますし、それらと一線を画したかったのは分かります。 ですが、超え方がまずいというか、超えてはいけないラインも超えてしまった感があって創作って難しいなって思いました。 観客の予想を裏切るのは大事ですけど、期待は裏切ってはいけないと思うんですよね。 まあ、僕は本当に楽しめたので良かったですが。

日本沈没』は「普通の人間が大震災に巻き込まれて、多くの離別を経験しながらも、必死に生き延びる様を描いた作品」ではなく、「ちょっと頭のおかしい人間たちが大震災に巻き込まれて、それはそれとして関係ない死因でバタバタ死んでいくが最終的にご都合展開で何とかなる作品」だったっぽいです。

さて、映画の上映はもう終わってしまいましたが、 Netflix は月々800円から加入できます。 日本沈没2020のノーカット版の全話が公開されているのでぜひ見てみてください。 本当に面白い作品なので、天井のしみすら数え終えて暇で暇で仕方ないときにはオススメです。

さいごに

最後に、この作品から学べたことは「山芋を掘るときには不発弾に気をつけよう」です。 今後はこの教訓を胸に、いつ大震災が来ても大丈夫なように備えようと思います。

まあ、いくら地震に備えても、死ぬときは地震と関係ない死因で死ぬんですけどね。

*1:何故か僕が北海道に行くと地震が起こる。