ネット縛りでポケモン図鑑を埋めた話~アルセウス編~

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アルセウス「お前さ、ガラル地方でネット使わずにポケモン図鑑埋めたらしいじゃん」

ぼく「え、あ、はい」

アルセウス「じゃあ、今からヒスイの地に送るからすべてのポケモンとであってくれ」

ぼく「は?」

アルセウス「ちなみに昔だから当然ネットは無いで」

ぼく「は????」

この記事は何

先日、ポケモンの完全新作である『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発売されました。 本作はこれまでのシリーズとも一風変わったゲームシステムを採用しており、何と言ってもシンボルエンカウントで登場するポケモンたちにリアルタイムでモンスターボールを投げつけられるのが特徴です。 そのゲームシステムからメタルギアだのダークソウルだのブレスオブザワイルドだの言われていますね。

ということで、またネット縛り図鑑埋めのときがやってきました。

実は、僕は2年前に発売された『ポケットモンスター ソード・シールド』において、ポケモン図鑑をネットの情報を調べずに自力で埋めるという異常行動をやっていたのでした。 異常行動の詳細は以下のエントリに書いてあります。

hilinker.hatenablog.com

そしてその異常行動がアルセウスの目に留まったのか、ヒスイの地に拉致られて今回もまたネット縛りで図鑑埋めをすることになってしまいました。

この記事は、『Pokémon LEGENDS アルセウス』の図鑑をネット縛りで埋めた軌跡を、キツかったポケモンとともに書いたものです。

体感ですが前回の剣盾のときよりも図鑑を埋めるのは比較的簡単だったように思います。 恐らく、僕がダイパをプレイ済みなのと、前回のポケモン図鑑埋めによりポケモン図鑑埋めん人(うめんちゅ)として成長したからだと思います。

アルセウスのネタバレが含まれているのでご注意ください。

ネット縛り図鑑埋めとは

これが割と雑な定義なんですが、個人的には以下の定義としています。

インターネット上にあるポケモン出現情報、進化情報、入手手段などを能動的に調べることを禁止して、まぼろしを除いたポケモンを全て捕まえる。

まあ、抜け穴は色々あるわけですが、何となく僕個人が満足する範囲で縛っていました。 まぼろしポケモンを除外しているのは、彼らの取得はアルセウスのゲームソフトだけでは完結しないからですね。 BDSP や剣盾のセーブデータが必要だったりしたのと、ラベン博士がまぼろしポケモンは図鑑完成に含めていなかったので今回は除外しました。

これ以外にもいくつか個人的に課していた制約を述べます。

今作は剣盾とは違い比較的他人と繋がる要素が少ないため、課されている制約が少ないですね。

ただ、実は前回よりも制約がキツくなっている部分がありました。

それは、人々が全然ヒントをくれなくなってしまったことです。

いや、ネット縛り図鑑埋め、趣旨としては別に友達と話してて流れで「ああ、あいつ実はこういう風に進化するんだよね」みたいなことを教えてもらうのは全くこれっぽっちも縛っていなかったはずなのです。はずなんですが、いかんせん人々が僕の血反吐を吐く姿を見たいという要求の高まりによって、一切そういった情報が転がり出て来なくなりました。何でだよ。

とはいえ、今作もヒントが無ければ進化しなかったであろうポケモンたちがたくさんいるので、無よりはもらえただけありがたいんですけどね……ほんまか?

キツかったポケモンたち

チェリンボチェリム

サブミッションでチェリムの存在が明かされていなかったら一生さまよっていたかもしれない。

かなり序盤のサブミッションでチェリムの図鑑を埋めて欲しいというものがあったんですが、散々遊んでチェリムチェリンボも一度も見かけずに困惑していました。 ただ、何となく木を揺すったら出て来るんだろうなという読みがあったのと、序盤のサブミッションで名前が出て来るということはきっと黒曜の原野で出るだろうと信じて、黒曜の原野の木を揺すり続けました。

ちなみに、これはポケモン図鑑埋めとは関係ないんですが、サブミッションで特定のエリアのミツハニーを捕まえるやつがあったんですけど、あれも許せなかったですね。 最後の離れ島で出て来るミツハニーが木を揺すらないと出てこないやつで、一生離れ島の木が揺れるかどうかを見に行く運ゲーをしていました。

ブビィ

火山に出現することは分かっているのに、火山が狭すぎるせいで全然出ないのありえないだろ。 生息範囲内にポップするポケモンがブビィとブーバーとゴローンなんですが、全体のポップ数が少ないのにブビィの確率が低いせいで無限回通い続けることになりました。いや、もう生息範囲も分かってるんだし捕まえたってことでダメですか?ダメですね、はい……

対になるエレキッドはもう少し広い範囲に生息しているのにどうしてこいつだけ……

ミカルゲ

幼女に「この”かなめいし”にともしびを集めて欲しいの!」と言われて、「はっはーん、これは全部集めるとミカルゲが手に入るイベントだな?いや~流石にダイパは既プレイだし分かっちゃうんだよな~どれどれ、10個ぐらいかな?」と調子に乗っていた直後のぼく

最後の一個がシンジュ団の集落の家の裏に隠されてて、全然見つかんなくてぶちギレてた。

ズガイドス

ぼく「時空の歪み、出して」

アルセウピー「わ、分かんないっピ……」

そもそも時空の歪みが全然発生しないのに、発生してもズガイドスが出てこないことが多すぎて一生天冠の山麓に幽閉されていた。

たまたま序盤にタテトプスを天冠の山麓の時空の歪みで捕まえたから、ズガイドスも同じように天冠の山麓の時空の歪みで出現するんだろうなというあたりが付けられたけど、もしそうじゃなかったらそもそも図鑑に何が入るのかも分からずに発狂していたと思う。

一応、同エリアの太古の洞穴にトリデプスラムパルドの化石があるので、そこから類推はできるかもしれないけど、いや無理があろうと思われます。

ガチグマ

何で自分が乗り回してるポケモンが図鑑に載らねぇんだよ。

ガチグマの外見から何となくピートブロックを使うであろうことは分かっていたのだが、ただ使おうとしても使えなくて困っていた。 恐らく何か条件を達成した上でピートブロックを使うんだろうなと思い色々と試していました。 試した条件の一部がこんな感じ。

  • レベル
  • なつき度
  • 色々なアイテム
  • 性別
  • 時間
  • オヤブンかどうか
  • 技を一定回数以上使う
  • クマの稽古場で使う
  • ヒメグマを手持ちに加えた状態で使う
  • リングマを一定数以上倒す

ちなみに僕は上の5つの進化条件を、進化条件基本セットと呼んでいて進化方法の分からない全てのポケモンについて最初に調べています。

とまあこんな感じで色々な探索をしていたのですが、一向に進化せずに発狂していたところ友人から以下のヒントをもらった。

自分がもらっても無理なヒントを寄越すんじゃない。

しかし、このヒントをもらった僕は藁にも縋る思いで真剣に考えました。

最初はリングマのオスとメスのデザインが違うのでそれがヒントなのかなと思っていたのですが、それならヒントにヒメグマの言及があるのがおかしい。 つまり、ヒメグマリングマ両方のデザインを考える必要があるのだなと思い図鑑とにらめっこを続けます。 マジで合計15分ぐらい眺めてたんじゃないですかね。

そこで、「そういえば、ヒメグマリングマのモチーフってツキノワグマだな……」ということに気付きます。 同時にヒメグマの額にある模様が三日月だが、進化してリングマになると満月(もしくは新月?)になることに気付きました。

そして、ガチグマの額の模様を見て、ガチグマは額の模様が満月モチーフであることに思い当たります。

ん?そう言えば、ピッピのお月見とかいうサブミッションあったよな……あれは満月の夜しかイベント発生しなかったはず……

ってことは、ゲーム内で月の満ち欠けを何らかのフラグで取得できる……?

瞬間、全てを理解し、確信を得ました。

「もしかして、満月の夜にピートブロック使うと進化するんじゃね?」

そして、これが正解でした。

ヒントがあったとはいえ、ピンポイントで進化条件を当てた珍しい事案だったので大興奮で踊り狂っていました。

イダイトウ

実は、ゲームを始めてすぐぐらいの頃に友人に「ポケモン図鑑埋めするなら、図鑑タスクも埋めるようにした方が良いですよ」というアドバイスをもらっていました。 その頃はまだ図鑑も半分も埋まっていなかったので何のポケモンに対するアドバイスかは分からなかったんですが、比較的意識するようにしていました。

バスラオも当然進化条件基本セットをこなしても進化しなかったんですが、このアドバイスがあったおかげで「ははーん。これがあのときもらった図鑑タスクがヒントになっているやつだな」としたり顔で頷いていました。

ということで、僕はバスラオの進化条件が「一定サイズ以上のバスラオに何かする」だと思いました。

はい。バスラオの図鑑タスクには、すてみタックルやウェーブタックルの使用回数以外に、大きい個体を捕まえるというものがあるんですね。 イダイトウは「偉大」なので、当然大きいバスラオの個体が進化するはずと信じて疑わなかった僕は大きい個体を捕まえるためにバスラオを乱獲します。

バスラオを23匹も捕まえてる異常者こいつだけだろ。

しかしいくら大きい個体をなつかせたりレベリングしたりしても進化しません。 当然ですね、別にサイズは進化条件に一切関わっていないので。

そんな風にしてバスラオを懐かせるために幾度も戦闘に出していたある日、手持ちを開くとバスラオのアイコンが光っています。

唐突過ぎて四度見ぐらいしましたね。

正直、当時は何で進化したのか全然理解できなかったんですが、進化したあとにこんなことを呟いていました。

進化条件に対する勘が鋭すぎるだろ。

アヤシシ

お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前お前

失礼。アヤシシに対する怨嗟の声が漏れ出てしまいました。

当初から進化しないと言われていたこのポケモンですが、案の定一生進化しませんでした。

最終的にもらったヒントとしては、以下のようなものがあります。

  • 過去のナンバリングだと進化できなさそう。
  • 最初からオドシシを連れ歩いててもゲームクリア時に進化してないかも。
  • デスバーンとは傾向が違う。
  • 迂遠なヒントが出しにくい。
  • ゲームフリークの気持ちになると分かるって彼女が言ってたんですけど、僕は分からないと思います」

こうして見るとまあ抽象度が高くて酷いヒントたちだな……

そんなこんなで色んな検証を繰り返していたんですが、とりあえず HP を減らしたり、色んな技をいっぱい撃ったり、早業と力業をいっぱい使ったりしても本当に進化しなかった。

何となく、技構成が僕の知っているオドシシのものと違うという点に着目して技条件だとは思っていたのですが、進化条件を知っている人であれば分かるようにまあ普通にプレイしていたらまず進化しません。

しかも、実はイダイトウに進化させた直後ぐらいに友達に「イダイトウの進化条件のヒントは図鑑タスク」という答え合わせをもらっていたので、まさかアヤシシの進化条件も図鑑タスクがヒントになっていることはないだろうと、可能性から排除してしまっていました。 これがかなり致命的だった。

あまりに進化しなさすぎて、オドシシにアヤシシってニックネームを付けて連れ歩いてましたからね。ちょっと心の病気抱えてる人だよもはや。 しかも、進化しないストレスからか、ある日全身に湿疹が出来て異常なかゆみに襲われました。身体症状出とる。

このときは結構発狂度合いが高くて、意味不明な言説が増えています。

不敬すぎる。

泉の女神か?

ときのほうこうを熟成装置か何かだと思ってる。

ということで、最終的にレベル81までオドシシを育てました。

バスラオを23匹捕まえてるのもオレだけだし、オドシシをレベル81まで育ててるのもオレだけだろ。

ちなみにオドシシは結構意図してレベルを上げていた部分もあって、「99歳のことを白寿と呼ぶのにあやかって、99レべで進化説」の検証もしたかったんですね。もうすべてがめちゃくちゃ過ぎる。

そんな風にして順調に行き詰まりながら、色々と技を試すために繰り返し戦闘をしていた直後に、何気なく手持ちを開きました。

呆然としているのが分かりますね。 当然です。何で進化したのかこれっぽっちも分かっていないのですから。

正直、このときは表示がバグって光って見えているのではないかとさえ思っていました。

しかし、試しに進化ボタンを押して見るとオドシシが光に包まれ、アヤシシに無事進化します。

「何で進化したんだ…………」

正直、一回の戦闘で色んな技を撃ちまくっていたため、何が理由で進化したのか全く分からない状況でした。

図鑑完成後に見て「分かるわけないだろ!!!」とキレていたのですが、実は進化させる数日前にこんなツイートをしていました。

嘘でしょ…………

答えはすぐそばにあったんですね(当時、このツイートだけいいねの数がめちゃくちゃ少なかった理由が今になって分かった)。

まとめ

ということで、今作も無事ネット縛りで図鑑を埋めきることができました。

今回の図鑑埋めは色々な噛み合いが良く割とすんなりいった印象を受けます。 僕自身の進化条件を推論する能力が高まったのと、運の良さなどが相まって比較的スムーズにいったのではないでしょうか。

というかゲームフリークはデスバーンで懲りなかったんですかね。何で毎回毎回変な進化条件のポケモンを出してしまうのか。 ただ、今回は図鑑タスクというヒントがあったのでまだマシかな……ほんまか?

適切なヒントをくださったり、進化条件の情報を TL に流さずにいてくださった皆様、ありがとうございました。

次は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』でお会いしましょう。

え、マジでまた図鑑埋めすんの?

おまけ

これは後になって知ったんですが、ハリーマンの進化条件もアヤシシ同様にヤバいらしくて笑ってしまった。 アグノム様が捕まえさせてくださったおかげで進化させずに済みましたが、もし仮に捕獲し損ねていたらヤバかったですね。

ただ、ハリーマンの進化条件がヤバいと聞いたときに「いや~ミサイルばりを合計100回打つとかじゃない?」って言ってたので、実は頑張ればこいつも自力進化させられていたかもしれない。

『大怪獣のあとしまつ』を見た感想

この記事は何?

この記事は映画『大怪獣のあとしまつ』を見た感想です。

この映画、公開当初から極めて芳しい感想やレビューの数々が散見されていて、少し気になっていたんですが「まあ、実写映画だし別に見るほどではないかな」と記憶から消し去っていました。 そんな折、こんな通知が届きます。

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やってることヤバいだろ。note のサポートってそういうシステムじゃないんだよ。 書いたものに対して金を払うんだよ。何で前払いなんだよ。

商売っ気を出したのが良くなかったですね。支払い用窓口を設置してしまうと、こういう悪用がされてしまうわけです。

と色々文句を言っていますが映画を見に行く代金を出して頂けるというのはそれがクソ映画であっても大変にありがたい話です(ほんまか?)。ありがとうございます。 『大怪獣のあとしまつ』も少なからず気になっていた映画なので、一念発起して見に行きました。

この映画、一言で言い表すと「うんことキノコとデウス・エクス・マキナ」です。 何を言ってるのか分からないと思うんですが、僕も何を言っているのか分かりません。

でも誓って言うのですが、この映画を見た人なら100人中100人が「ああ、うん、そうだね……」と賛同してくれるはずです。 こんなしょうもない映画を見ている人間を100人集める方が大変かもしれませんが。

実際映画館もガラガラで、三連休の初日夕方とかいう絶好のタイミングだったのにも関わらず、席の埋まっている数はおよそ15席程度…… その半数近くがカップルだったのですが、どうしてこの映画をカップルで見に来てしまったんだ。そんなに別れたいのか? 上映終了後、静かに爆笑する僕とは対照的に、案の定カップルたちは微妙そうな雰囲気になっていてかわいそうでした。

ということで、本記事は『大怪獣のあとしまつ』の感想記事です。 大量のネタバレとやや下品な話が含まれているので、ご了承ください。

感想

どこから話そうかな。うんこの話します?

繰り返しになりますがこの映画の構成要素は、うんこ、キノコ、デウス・エクス・マキナです。何だよこの並び。人生でこの3つを横に並べたことねぇよ。

ちなみに安心してほしいのですが、この「うんこ」というのは「クソコンテンツ」のようなモノの劣っている様を表す「クソ」ではなく、正真正銘真に「糞」や「便」の話をしています。 正真正銘の糞便の話、あまりしたくないですね。

さて、いきなり糞便の話をするのもアレなので、流石に作品のあらすじに触れておくと、以下のような話になっています。

「突如として関東に現れた怪獣は一帯に大きな被害をもたらした。しかしある日突然空から降ってきた光によって怪獣は死亡。死骸のみが残り、その”あとしまつ”に政府は頭を悩ませていた。紛糾する議論の中で、怪獣の死骸が腐敗ガスを溜め込んでおり爆発が近いことや、悪臭ガスを撒き散らすことなどが明らかになる。しかも、そのガスには未知の菌糸が含まれており触れた人間にキノコが生えてしまうという危険なものだった」

すごいな。相変わらずあらすじだけ見るとそんなにつまんなくなさそうです。

いや、まあキノコのくだりとかは既にギャグ感が隠しきれていないんですが、概ね全体の流れとしては面白くなりそうな予感があります。

しかし、この作品、そもそもあんまり面白くありません。 誰が何の思惑で動いているのか全然分からないし、意味ありげなシーンが全然なんの役割も果たしてなかったりするし、無駄にテンポ悪いし、全体的に展開が浅いです。

特に合間合間に挟まる恋愛要素というかなんちゃって濡れ場みたいなのが本当に最悪で、別に人間関係に深みを与えるでもなくただただテンポが悪くなるだけの最悪な要素でした。単純に濱田岳を色々な女優と絡ませたかっただけだろ。

こういうのを見てしまうと恋愛とか家族愛みたいなのを一切出してこなかったシンゴジラの偉さが改めて確認できますね。雰囲気だけで言えばシンゴジラっぽさもあるのに雲泥の差です。

ただ、シーンごとに切り出してみると一部のシーンはかなりちゃんとしていたりして、面白い部分もあったと思います。それに、何と言っても怪獣の死骸の後処理という題材はかなり斬新で、名作になるポテンシャルはあったと思います。まあ、そんな数少ない強みをのちに自分で捨て去るのがこの作品なのですが。

上で述べたようなもろもろを考慮した上でこの作品としての順当な評価をくだすなら、「普通につまらない」が評価です。 もし上で述べた要素しか汚点が無ければ、この作品がここまで話題にされることはなかったでしょう。

しかし、ぶっちゃけ本作の問題はそこではありません。 普通につまらないだけでなく、異常にしょうもない部分があるからここまで酷評されているんですね。

まず1つ目が、冒頭に述べた「うんこ」。 これは本当にしょうもなくて、笑顔を通り超して真顔になっていました。

怪獣の腐敗ガスが周囲に悪臭を撒き散らすのですが、この臭いが「うんこ(原文ママ)」なのか「ゲロ(原文ママ)」なのかを内閣府大臣たちが長々と、本当に長々とくだらなく議論し続けます。 西田敏行を含む大御所俳優たちがこんなくだらない議論を長々とやっているシーンは一周回って逆に迫力がありましたね。

このシーン本当に全てがつまらなくて、こんな尺取ってやることじゃないだろと思って唖然としていました。 「ひょっとしてギャグで言っているのか?」とも思ったんですが、ギャグとしてはあまりにつまらないので多分真面目にやってるんだと思います。

逆にこれだけどうでもいい話を長尺取ってやっているので、「実はシュールギャグに見せかけた重要な伏線なのでは?」と疑って一瞬感心しかけたのですが、最後まで見ても純粋にどうでもいい話でした。 感心を返せよクソが(うんこだけに)。

そして2つ目が、「キノコ」です。 これも概ね「うんこ」と同じで非常にしょうもないシーンが続いていたのですが、このキノコのくだりが言わば作品のスタンスを決定付けたと言っても過言ではありません。

一見無害だと思われていた怪獣の体液・ガスが未知の菌糸を含んでおり、それが土壌はおろか人体にまでキノコを生やす強い繁殖力を持つものだということが明らかになります。 それまで「死骸を観光資源に〜」とかなんとか言っていた大臣たちも、流石にこの事実を発見してからはそうも言ってられず慌てます。

甘く見ていた概算が崩れ去る、というシーンは絶望感もあり物語をクライマックスへ持っていく強い原動力になるはずなのですが、本作ではそうはなりませんでした。

何故か全身にキノコが生え、陰部だけが黒いモザイクで塗りつぶされた男の映像が流れ、登場人物たちが「股間に生えているキノコだけ何故種類が違うんだ?」と素っ頓狂な下ネタを言い始めます。

は?

菌糸に冒され全身がキノコまみれになるやつが出てくる←わかる

陰部だけが黒いモザイクで塗り潰されている←ギリわかる

登場人物たちが下ネタを言い出す←分かんないよ!!!!!!!

このシーン、本当に最悪すぎてマジで笑顔になっていました。 嘘でしょ。これだけシナリオで使えそうな要素を、その場のクソつまんないギャグとしてただただ消費したって言うんですか?

このあたりで分かったんですが、どうやら監督はこの作品をギャグ映画として作ったつもりだったっぽいんですよね。 いや、だとしたらギャグがつまらなすぎるんですが、でも、これを真面目な映画として作ってたら流石におかしい。どう考えてもおかしいですよ。

人体にキノコが生えるというまあまあショッキングな映像もギャグとして消費され、このあたりから「一体オレは何のためにこの作品を見ているんだ?」と自問自答をする時間が増えていきます。

そんなこんなで、3つ目の問題要素、「デウス・エクス・マキナ」。 オタクくん大好き、デウス・エクス・マキナです。機械仕掛けの神とも呼ばれ、演劇などの作品において終盤に出てくる全てを解決してくれる存在のことを指します。

もうお分かりですね。

はい。この作品は最後に出てきた「デウス・エクス・マキナ原文ママ)」によって全てが解決されます。

大怪獣の死骸をどのように後始末するのか、そんな斬新な切り口が売りのこの映画。 見に来た人たちはその方法を楽しみに来ていたはずです。 しかし、本作では怪獣を処理する様々な試みが全て失敗したのち、主人公が謎の光に包まれて謎パワーで怪獣を空高くまで運んでいくことで始末します。

ええええええええ。主人公光り出したんだけどなんか怪獣持ち上げてるんだけどえええええええ。

笑うだろこんなの。今までの色々なくだりは何だったんだよ。 ダムを意図的に決壊させて河川上の怪獣を押し流すくだりとか、謎の博士が出てきてガスを成層圏まで噴出させるメソッドを提案してきたくだりとか、そいつらですら若干ご都合解決っぽさあるのに、まさか最後の1分で主人公が謎パワーで怪獣を空高くに運搬するとか考えられるか?

しかもダムを爆破するときにヒロインの兄貴(オダギリジョー)が爆破を担当するのですが、何かよく分からん理由でダムの水に沈んでいき死にます。 このシーン、見ているときはそこまで違和感無かったんですが、最後まで見てしまうと主人公が最初っから謎パワーを使って怪獣を運搬していれば死ななかったのでは?となりました。

主人公、最後の最後で何かに覚醒したとかではなく、どうやら映画の冒頭時点から既に謎パワーを自由に使えたっぽいんですよね。 マジでヒロインの兄貴見殺しにしただけじゃん。 主人公が久々に再会したときに「何であのとき妹の前から消えたんだよ!!」って殴られてたから、もしかして根に持ってたのか?

しかも、謎パワーの直前のシーンで、謎の博士の提案で、毒ガスを成層圏に打ち上げるためには人力で怪獣の肉体に噴出杭を打ち込む必要があり、主人公は一人で怪獣の身体をよじ登り杭を打ち込んでいました。このシーンも主人公が謎のパワーを使えば不要なはずで、実際そのあと怪獣の身体に小型ミサイルが撃ち込まれ主人公の努力は無に帰します。すべてが何だったんだよマジで。

こんな結末で急に殴られたら誰だってぶちギレてしまうと思うのですが、実は僕はこの展開を予見していました。 許せない話なんですが、冒頭からちょこちょこ「主人公が謎パワー持ってるんちゃう?」みたいな伏線が張られていたんですよね。かなり露骨に。

というか、そもそも本作は冒頭で登場人物が脈絡なく「デウス・エクス・マキナ」という言葉の説明を始めるんですよね。 冷静に考えて欲しいんですが、冒頭でデウス・エクス・マキナの説明を差し込む作品、どう考えてもデウス・エクス・マキナによって作品を終わらせる気満々じゃないですか?むしろちゃんとデウス・エクス・マキナで解決しちゃったんで感心したまであります。 いや、説明したから出してよいという話ではないんですけどね。

思い返せば、主人公が上官とか銃持った兵士相手にめちゃくちゃイキり散らかしてたのも、この謎パワーがあったからなんですね。 急に謎パワーもらったからってイキり散らかしてたのかっこ悪すぎるだろ。なろう主人公かよ。

ということで、本作品のあとしまつはデウス・エクス・マキナが行ってくれました。めでたしめでたし。オレの2時間とまざっちさんの1900円を返せ。

まあ、最後のシーンは予想できてても面白すぎて爆笑したので今回は許しましょう。

まとめ

本作品は鑑賞中も「今この時間は何なんだ?」と思わせてくれるし、鑑賞後にも「今までの時間は何だったんだよマジで」と思わせてくれる作品でした。 系統としては「ドラゴンクエスト YOUR STORY」と同じで、最後の最後に瞬間風速を上げてそれまでの話を全部無に帰すタイプの作品です。

これは推測なんですが、たぶん監督はギャグとしてこの作品を作ったんですよね。真面目に。 ただ、ギャグがつまらなすぎるのと、作風がギャグっぽくないせいでこんなことになってしまったのだと思います。 観客の見たかったものと監督の作りたかったものが食い違ってしまったという悲しい怪獣のような作品でした。

どうやら、本作は続編作成が決まっている……?らしいです。ほんとに言ってる?あんな終わり方しといて?

とはいえ続編があるというのは一般に喜ばしいことです。 世間を賑わせているこの問題作のあとしまつを続編でどのように付けてくれるのか、今から楽しみです。

まあ、現実には問題のあとしまつを付けてくれる、デウス・エクス・マキナはいないんですけどね。

2021秋アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021秋アニメ(10月~12月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、可もなく不可もなくという取れ高だったと思います。 一部の覇権だろうなというアニメが順当に覇権争いをしていて、逆につまんないだろうなというアニメが順当につまんなかったという何の大番狂わせも無いクールでした。あと、僕自身忙しかったりネトフリに幽閉されてるアニメが多くてあんまりアニメを見れなかったというのも悲しかった……巨大資本を許すな。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する(C+)

1話だけならAランクなんですが、2話以降が概ね面白くなかったです。 マジで1話のおっさん暗殺者はかっこよかったし展開にも納得感があったのに、転生してからは全てがダメになってしまった。 たまに偉い展開があったとはいえ、何というか暗殺者なのにほとんど暗殺っぽいことしてないしうーんという感じ。

どうやら1話だけがアニオリで2話以降は原作準拠らしいです。 それって原作がつまらな(以下略

B

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました(B)

実は原作の漫画を読んでいて、そのときからそこそこ読める作品だなと思っていたら、アニメ化してもそれぐらいの評価に落ち着いた。 メインヒロインがきっかり決まっていて他のヒロインが出ることもなく(妹はいるが)、一生イチャコラしているのは好印象。 テーマが一貫しているところとか、キャラクターを雑に使い捨てないところはとても良かったと思う。真面目に作品を作っているのだと感じさせてくれる。

ただ、主人公が追放されたパーティのただ一人以外全員に惜しまれており、もはや追放というよりは主人公が勝手に出て行ったのでは?というレベルだったので笑ってしまった。こいつ、マジで勇者パーティに飽きて自分から出ていっただけだろ。 主人公の言動からマジで欠片も元のパーティに思い入れ無いっぽくて、「真の仲間じゃない」の部分だけは本当とかいう最悪のタイトル回収だった。

高尾奏音がロリっぽくない声出してるの珍しいけど、慣れてないのかまだたどたどしさがありましたね。これはポジティブな意味で、場数踏んでこれから成長して行いって欲しい。普通に好きなので応援してる。

サクガン(B)

1話が最高速度。そこから徐々に失速していった。

1話の雰囲気的にはおっさんx少女の話でデカダンスっぽく、かつメイドインアビスっぽく迷宮探索をするのかなと思っていた。しかし蓋を開けてみると、主人公親子以外にも付き添いがいたり、迷宮パートなくて人のいるコロニーでの人間ドラマがメインで「何か求めてたのと違う……」ってなってしまった。 サクガンとかいう明らかに面白そうなロボット要素を入れておきながら、ロボットが活躍するシーンもそんなにないし何がしたかったんだろう。

伏線とかもしっかり張っていて面白いは面白いんですが、全体的に展開の要所要所が雑だった。何というか「顧客の見たいもの」と「制作側が作りたいもの」がちぐはぐになってしまっていた悲しい作品。逆に言えば世界観や設定を活かしきれていないということなので、単純に残念。

テスラノート(B)

エクスアームを期待していたのに普通にそこそこ観られる作品がでてきてびっくりした。 エクスアームより遥かによく動くし、間や演出・脚本もそれなりに普通、音量バランスも適切だった。素晴らしい。アニメとして当たり前のことができている。

全体の完成度はそこそこ。 終盤のどんでん返しは面白かったのだが、道中が微妙なのと最後の最後までつまらないギャグを埋め込んだのだけダメ。 ギャグは本当につまらない。残念ながら。

急に表情だけ手描きになったりするが、結構チャレンジングな演出で僕は好き。

鈴木達央の遺作になるかもしれない。

白い砂のアクアトープ 2クール目(B)

P.A.Works の悪いところが出てしまった。

凪のあすからが売れたから海辺を舞台にして、SHIROBAKO が売れたからキャラクターを労働者にして……って、そういうことじゃないでしょ!! 売れたからという理由で要素だけ引っ張ってきて繋げても面白くはならないって、『君は彼方』で学ばなかったの!?!?

結局最後まで何がしたいのか分からなかった。 水族館もあっさりと潰れてその後特に話に上がることはなかったし、謎のファンタジー要素も一切(本当に一切)回収されることなく終わった。マジで何だったんだよ。

作画と声優と、1話単位で見た脚本は悪くなかったけど、作品全体で見ると「何がしたかったん?」で終わってしまう。 本当に2クールかけて微妙な感じで終わってしまった。

月とライカと吸血姫(B+)

あのぅ、今は2021年なんですけど……何なら来年は2022年……

このアニメの内容は概ね2013年ぐらいだった。いや、マジで滅茶苦茶に懐かしさを感じる設定とキャラクターでびっくりした。アニメを見るたびにカレンダーを確認して今が2021年であることを確認していた。 この作品、もしかして制作に10年ぐらいかかった? メインヒロインの声優が林原めぐみだったり、OPがアリプロなのもとんでもない選出だなと思いました。分かってやってるな?

内容が古いからか、やや展開のチープさとか現実感の薄さがある。 世界設定自体がかなり史実をモチーフにしているため、より一層現実感の無さが際立ってしまうのかもしれない。 その辺りに目を瞑ると面白いと思う。

A

先輩がうざい後輩の話(A+)

安心と信頼の動画工房……と書きたかったんですが、おさまけとかいう前科を作ってしまったので安易に言えなくなってしまった。と前置いておきながら、本作はめちゃくちゃよくできていた。

OP 映像からして気合の入りようが窺える。めちゃくちゃ枚数使ってるし、キャラも可愛く描かれている。 内容としては期待通りの複数カップリングが発生するラブコメで、安心して見れた。 個人的には風間と桜井のカップリングが一番好き。オタク君みんな好きだろあんなの。

楠木ともり武内駿輔の組み合わせも良かったですね。武内くん、若手なのにおっさん役ができる良い声質なのでああいう役一杯やって欲しい。

86(A+)

完成度だけなら S でも良いくらいなんですが、総集編挟んだり放送スキップしたりして万策尽きてたので……何なら最終回延期したしな。 まあクソみたいな作画で未完成のまま世に放つよりは誠実で良いと思う。

内容自体は1期の完成度が高かったとはいえ、2期もめちゃくちゃ面白かった。脚本演出音響作画、全てにおいて文句のつけようがありません。 取り立てて演出が良かったですね。情景描写とキャラクターの表情がめちゃくちゃ丁寧だった。 最近のアニメって何でもかんでもセリフで言わせがちで(鬼滅とかまさにそうなんだけど)、このアニメはかなり丁寧に情景描写を頑張っている印象を受けた。普通に勉強になる。

ただ一つ言うなら、ヒロインの幼女は好みが分かれそう。僕は割とニュートラルな評価です。

S

最果てのパラディン(S)

ちゃんとやり直しに向き合う異世界転生もの。

やっぱり家族愛とかの描写がしっかりしている作品は良いものですね。 無職転生しかり、転生したんだからやり直しにしっかり力を入れますというのは本当に偉くて、これができていない作品も多い。 家族の描写とか、転生した主人公の前世への後悔とかの描写が丁寧で良かった。

強いて欠点を言うなら、これは難癖に近いんだけど、主人公の挫折が急すぎて少しびっくりした。 主人公が家族と離別してからずーっと聖人君子の完璧人間をやっていて「え~なんか主人公完成しててつまんねぇな」と思っていたら、アニメの終盤で「自分が常軌を逸した存在である」ことに苦悩するシーンが差し込まれる。 この挫折の差し込みは本当に偉くて、それまでのウィルの行いがある意味当人も無自覚に調子に乗っていたと叩きつけられるシーンなんだけど、ここは出来れば視聴者にはもう少し前振りが欲しかったかもしれない。少なくとも僕の目にはそれまでのウィルの振る舞いは完璧かつチートチートしていて、どだいここから失敗&成長するように見えず退屈だったので、そのあたりの前振りとしてわずかな不穏さを演出してくれていたら満点だったかも。

とまあ面倒なオタク特有の難癖は付けたが、いかんせんめちゃくちゃ面白かったので良し。

大正オトメ御伽噺(S)

ユヅはかわいいなぁ!!!

金で買われた女の子が主人公に嫁ぐ話なのだが、いかんせんこの嫁いでくる女の子が本当に健気で可愛いので無限回「ユヅはかわいいなぁ!!!!」と叫んでいると毎回の放送が終わっている。 主人公や周囲の人間がユヅのひたむきさや純真さに触れて変わっていくところとかも王道ではあるもののよくできている。安心して見ることができた。

それに最終話に向けて関東大震災が起きてかなりシリアスになるのもバランス感覚が良かったと思う。 最後までゆるふわのまま終わらせることもできただろうに、ちゃんと転と結を持ってきたのが偉い。

takt op.destiny(S)

「開演ッ!!!!」ってやりたくなる。

男の子が指揮をしてパートナーの女の子が異能で戦う作品はいつ見ても良い。 全オタクは Fate が好きだしセキレイが好きだしカンピオーネもストブラも好き。後半微妙に違うけど。

制作が MAPPA でとんでもなく作画が良く動くし、キャラデザ LAM なのでキャラクターのデザインが非常に良い。というか LAM のキャラデザをほぼそのまま激しい戦闘でぐりぐり動かしてて、MAPPA とか言う会社バケモンかと思った。すごすぎるだろ。

来年リリースされるソシャゲの前日譚らしいのだが、それも含めてよくできている。 細かい話はネタバレになるから言及できないけど、シナリオも王道を抑えつつオリジナル要素もあって良かった。

好みで言えば今期一番好きだったかも。

王様ランキング(S+)

いや~面白い。ただただ面白いと言うほかない。

これはそもそもたぶん原作が面白いんだろうけど、マジで普段何を食べてたらこんな魅力的な世界観とシナリオひねり出せるんだ。 世界観とか設定も真新しいし、登場人物がシンプルな善悪に分かれていなくて色々な思惑の下に動いているのも良い。 展開のどんでん返しみたいなのも多く散りばめられていて、純粋に作品としてのパワーが段違いに高い。

あと、やっぱり愛ですよ愛。最近の気付きとして、愛をちゃんと描いている作品は面白いんだよな。

声優も、村瀬歩に男っぽい声出させてたり、櫻井孝宏に三枚目キャラをやらせていたりと面白い配役が多くて良かった。 声優の演技力をしっかり頼りつつ、声優それ自体のコンテンツ性に頼らないキャスティングは見事と言うほかない。

無職転生(S+)

流石に覇権。

もはや語ることも無い。強いて言うならパウロとルディの再会のシーンは原作読んだときからずっと好きだったが、120点のアニメ化をしていて不覚にも涙腺に来た。 BD を買います。3クール目早く来てください。よろしくお願いします。

一応コメントしておくと、加隈亜衣のはまり役が本当に良い。ありがとうという言葉しかない。

SSS

進化の実〜知らないうちに勝ち組人生〜(SSS)

SSS であると確信を以って断言できる作品。

久々に本当の本当につまんねぇなろうアニメが来たなと思いました。 異世界チート魔術師、平均値花子を超える大笑顔アニメーション。 笑顔を通り越して、何なら真顔のまま固まってる場面の方が多かったですね。

この作品、制作者が悪ふざけで作ってるのがたちが悪い。 「いやいやwこんな作品に何でマジになっちゃってんの?w」という予防線が随所に散りばめられていて、「逃げるな!逃げるな、卑怯者!!」ってキレてました。 いやまあ真剣に向き合ってもつまんないもんはつまんないんで、しょうもないギャグもどきをぶち込みまくって誤魔化すのが一番いいんでしょうけど、やっぱり真剣にバカをやっている作品の方がキラリと光るものは芽生えやすいわけで。自分で予防線張ってる作品ほど冷めるものもありません。

一応、声優だけは無駄に豪華で2014年ぐらいの有名声優をぼこすこ採用している。 こんなアニメのアフレコさせられる声優、もしかして業界から干されてるのか?と思って各人の不祥事を漁ったのですが、1つも出てこないので首を傾げました。

こういう特に作品への愛も無くアニメ化するの、誰が幸せになるんだろう…… このアニメに進化の実を食わせたらちょっとはマシになりますかね?

まとめ

今期は、良くも悪くも想定内という作品が多かったですね。 特に、B 以下の作品はどれも惜しい作品が多く、もう少し頑張ればもっと面白くなり得たのになぁという残念なものばかりでした。 進化の実ぐらい突き抜けてつまらないとこんな気持ちにもならないんですけどね……

ちなみに鬼滅は入れてません。無限列車編は既に映画のレビューを書いているし、遊郭についてはまだ終わっていないので、終わったら書きます。

実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想

この記事は何?

この記事は、実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想記事です。 注意点として、2021.08.20 に公開された「ファイナル」の方ではなく無印の方です。

今さらながらアマプラに来ていることに気付き、話題に上がることも多かったので観ました。 先に結論を話すと、総評としては、そこまで悪くなかったんじゃないかなと思います。 特に前半の出来は非常に良かったと思います。

はい。本当に、本当の本当に、前半までは成績優秀な優等生でした。 それがどうして後半で強盗殺人放火の役満犯罪者に……

前半と後半で別の人が監督やってたのかな?と思ったのですが、そんなことはなくばっちり一人の監督が担当していましたね。 どうして?

今回は短めです。

感想

それでは感想の方を書いてゆこうと思います。

上でもちょろっと書きましたが、全体としての完成度は決して低くはなかったと思います。 むしろ実写映画としてはキャスティング含めてよく出来ていて、原作のエピソードを切り継ぎしているもののかなり原作に忠実に作られていたと思います。 映画の話の流れとしては、原作の冒頭→いくつか日常話→夏祭り→生徒会解散・選挙なのですが、よくもまあ2時間の映画にここまで詰め込んだねという感想です。 かぐや様自体、若干日常系っぽい雰囲気があるので比較的物語が大きく動くエピソードを引っ張ってきて切り継ぎしてきたのでしょうが、前半はそれなりにそれが上手く回っていました。前半はね。

この作品の後半の話をする前に、まずはちゃんと褒められるところを褒めておこうと思います。

キャスティングは概ね良かったと思います。 まあアニメの声に慣れてしまうと白銀の声がかすれ声だったり、かぐやの声がハスキーだったりする部分とかの気になりはありますが、外見はほぼばっちりですね。 藤原書記だけが唯一撮影に映りこんでしまったコスプレイヤーと化していましたが、まあ元の存在もいかにもアニメキャラみたいな存在ですし仕方ない。 あんな女子現実にはいませんよ(当人の発言)。

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あと、藤原書記を除いて、若干一名、許せないキャスティングがありはしましたが他はかなり良かったんじゃないでしょうか。

クソアニメ映画やクソ実写映画では問題になりがちな脚本についても、前半は良かったと思います。 かなり原作に忠実に作られていて、これには流石の僕も「へー、やるじゃん」と腕組みして後方で満足げな笑みを浮かべていました。 ギャグはそんなに面白いかと言われると面白くはなかったですが、たまに笑える箇所もあるぐらいには上手く脚本に落とし込んでいたのかなと思います。

演出はまあチープさはあるものの可も無く不可もなく。 エフェクトが過剰な気もしましたが、まあアニメとかも似たような感じだったし……ということで特に目くじらを立てるものではないと思います。

音楽については夏祭りでみんなで花火を見るシーンで挿入歌が流れるのとかはめちゃくちゃ良かったですね。あれは正直普通に感動した。

はい、褒めるのはこれぐらいでいいですかね。

この作品、何度も書いてるんですけど前半、具体的には夏祭り終わるまでは良かったんですよ。本当に。 僕は夏祭りで作品が終わると思ってシークバーを眺めたんですけど、そしたら何かあと40分ぐらい残ってるとか書いてあって、「え、こんなきれいにまとまったのにこの後何やるの?」って思っていました。

そしたら何と生徒会が解散する場面が始まります。 「いや、2時間の映画に詰め込むなぁ」と思いつつ、「そう言えば井伊野ミコ出て来てないけど、生徒会選挙編出来るんか?w」と思っていました。 このときはかなり軽い気持ちでいたのですが、もう少し覚悟を固めておくべきだったと後悔しています。

生徒会解散の直後あたりからオリジナル展開が始まります。 展開の中身は「恋煩いでかぐやが倒れるエピソード」と「生徒会選挙の一部」をミキサーで混ぜてよく分からん調味料を加えたといったものでした。 おい、何でレシピ通りに作らねぇんだよ。というかそもそもミキサーで混ぜるな。素材の味が全部死んでるだろ。 変な調味料を加えるな。レシピに従え、レシピに。

ゲテモノだと思って食べ始めたら最初は意外とイケるなこれってなったんですがやっぱり後味最悪でゲテモノじゃんってなりましたね。

後半、全ての展開が原作ブレイカーで本当にヤバかったですね。 かぐやが生徒会長に立候補して初音ミクのコスプレして有権者に金配り始めるし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節を踊り出すし、早坂はかぐやを諫めないで無能っぽい行動取るし、石上は白銀の応援演説で急に発狂して青春ディスりだすし、森羅万象がめちゃくちゃだった。

かぐやはそういう状況では正々堂々戦うし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節踊らないし、早坂は有能だから間違った情報かぐやに渡さないし、石上も締めるべき場面で急に発狂しないと思っていたので非常に悲しい気持ちになりました。

キャラクター崩壊の時点で既に罪が重いんですが、合わせて展開もめちゃくちゃでしたね。 いやまあキャラクターが崩壊してる時点で大抵の場合は展開もめちゃくちゃになるんですが、白銀が明らかに誤解を招く(というかかぐやに対してあんまりな)物言いをして二人が敵対するとか、最後には急にお互いを褒め散らかす舌戦が始まるとか、引きつった笑みがこぼれてきました。

なあ、この映画、2時間やらなくちゃダメだったか? 枠を90分にして、夏祭り編で終わってて良かったんじゃないか? 何で無事に終われそうだったのに、わざわざ地雷原に踏み込んで行ったんですか?

あと、個人的には佐藤二郎のキャスティングが非常に良くないと感じました。 なんか、佐藤二郎とかムロツヨシみたいなとりあえず雑に置いておくと面白くなりそうな俳優にアドリブ任せで悪ふざけさせるの、冷めるからやめて欲しいんですよね。 脚本や演出としてのギャグだと足りないから佐藤二郎を出すみたいな保険のかけ方するの、かっこ悪いからやめて欲しい。 自らのつまらなさに真剣に向き合って欲しい。その方が面白いと思う。

まとめ

本作は、前半で終わっていればそこそこ良作だったという謎の作品でした。 いや、本当に前半90分だけ見て映画館を静かに去るのが幸福度が最も高い。 せめて「ここからはオリジナル展開ですよ!」って注意書き出して欲しかった。

実写映画で前半だけ良くて、後半ダメみたいなパターン初めて見たので新鮮でしたね。 大体いつも全部ダメなので。

とはいえ、前半で脳が良作を受け入れる姿勢になっているのに、急にクソ展開を流し込まれると錯乱して発狂してしまうのでやめて欲しい。

次作であるファイナルもアマプラに来ると思うので、そうなったらまた見ようと思います。 オレ、ファイナルって付いてる作品に良い思い出無いよ……

では、ここまでお読みいただきありがとうございました。

2021夏アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021夏アニメ(7月~9月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、正直なところで言うと不作だったのかなと感じています。 手放しで面白かったと言えるアニメが少なく、またぶっ飛んだアニメも僕の観測範囲内では少なかったです。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

ピーチボーイリバーサイド(C)

なぜ人は他人の作品のアニメ化で茶目っ気を出してしまうのか。

本作は異例にも「放送順の時系列シャッフル」という手法を取っており、放送順が時系列ではなくかなり雑なシャッフルで放映された。 そのせいで、「誰こいつ?」「そんな話あったっけ?」が頻発しており、何の没入もストーリー把握も許されないまま話数だけが重なっていった。 最終話を見て、「ま~ここを最終話にしたくなる気持ちは分からなくもないが、時系列をシャッフルしたのは分からん」ってなったので普通に許されません。

いや、普通に時系列順に放送してれば B ぐらいだったと思うんだよな。 内容は面白くも無いけどつまらなくも無いし。 マジで監督の茶目っ気によってすべてが破壊され何も分からなくなってしまった作品だった。

月が導く異世界道中(C)

今期一の真顔アニメ。笑いどころのないスマホ太郎。

異世界転移した主人公が亜人獣人にちやほやされながらチート無双するよくある話だが、時折挟まれるギャグが寒かったり、主人公の謎のイキリがきつかったりとかなり真顔になれる。 終盤に自陣営の味方が死んで主人公がぶちギレるシーンは展開としては嫌いじゃないんだけど、なんか原因自体はかなりマッチポンプだったりしてあんまり没入できなかった。

ED が水戸黄門だったのだけ面白かったから、そこだけげらげら笑ってた。

精霊幻想記(C+)

何がしたいのか分からなかったアニメ。 異世界転生……とも言えないし、なんか異世界生まれの主人公に日本の男子高校生の魂が乗り移ったみたいな感じなんだけど、「その設定要る?w」って言ってたら最終話が終わった。 生まれながらに異世界の住人で恵まれた能力を持っていたから無双する話で良かったのでは。

幼少期編は結構主人公がいじめられていて面白かったんだけど、青年期編で CV が松岡君になってから一気につまらなさが増してしまった。 他のなろう作品のようなしょうもなさはあんまり無いし、展開とかキャラクターの作り方もそこそこ偉いと思うんだけど、いかんせん作品が面白くない。悲しい。

ただ、キャラデザと作画は良いし、声優がめっちゃ良かった。 こう書くと有名声優を大量起用していたように聞こえるかもしれないけどそうではなく、もちろん有名な声優ばかりなんだけど、トップから一歩引いた新人~中堅レベルの声優がいっぱいいて良かった。 「お、最近あんまり聞かなかったな」って声優がちらほらいて懐かしい気持ちになれて、声優のチョイスが”””丁度良かった”””。

B

ジャヒー様はくじけない(B-)

魔界から追放されて力を失った魔族(幼女)が、どたばだする日常系ギャグ作品。

最初は面白かったんだけど、ジャヒー様が毎回調子に乗ってしっぺ返しを食らってというパターンが多すぎて若干飽きが来た。 かわいそうは可愛いをやりたいんだろうけど、あんまり僕には刺さらんかった。 なんというか、「うーん、残当……」ってなった。

SCARLET NEXUS(B)

ゲーム原作のアニメ化なんだけど、たぶん原作のゲームは面白かったんだろうね……という気持ちになれる微妙なアニメ。

似たような展開が繰り返されているのとか、肝心なところで毎回主人公が持病的なもので意識を失うのとか、割と「またかよ」感が強くてげんなりしてしまった。

キャラクターも多くて、個々のキャラクターの掘り下げが甘いので未だに僕はキャラクターの名前を一部しか覚えられてない。 それぞれがどんな思惑を抱えていてみたいな話をアニメのクールに収めようとして結構無理が生じてしまっている。 途中で味方の面々が2陣営に分かれて敵対してしまうんだけど、それまでにキャラクターの掘り下げも無かったために「うわ、こいつが敵側に行っちゃうのか」みたいな感傷が一切発生しなかった。

全体的なストーリーとかはメイビー面白いんだけど、ゲームでやれるならゲームでやった方が良さそう。

主人公の名前がユイトで、名前を呼ばれるとちょっと面白かった。何故とは言わないけど。

100万の命の上に俺は立っている(B)

2期、というか分割2クールの2クール目。

1期は面白かったと思うんだけど、2期はかなり微妙だった。 より正確に言うと、2期は前半のオーク島編と後半のザグロス村編があるんだけど、前半はマジで酷かった。 全編通して間延びしてたし、急に出てきた大量の新キャラたちが自分語りして死んでいくし、最後もよく分からん終わり方するしで本当に最悪だった。 急にアイドルもどきみたいな二人組が電波曲歌い始めて唖然としてたら、のちのちの展開でそれが実は島の命運を歌った古くから伝わる警鐘だったみたいなのをどや顔で回収されて「はぁ……そうなんですねぇ……」ってなった。 前半部分だけなら文句なし C ランクだと思う。

ただ、後半は結構面白い。 新規加入した味方キャラが良いというのもあるかもしれないが、全体的に展開と間がまともだと思う。 100万はそれなりにダークな雰囲気がある作風だと思うんだけど、後半はそれを思い出していたと思う。

平均すると、Cランクに引っ張られるけど、まあ後半は結構面白いから B かな。 ちなみにここで言う平均というのは中点値のことではありません。

白い砂のアクアトープ(B+)

正直 A でもいいかなと思うところもあるが、雰囲気で誤魔化しているだけで別にそんなに面白くないと感じた。 あくまで個人的な感想だが、つまらなくはないんだけど、取り立てて面白いかと言われると首を縦には振りづらい。

話の展開が良く言えば丁寧、悪く言えば遅いかも。 予定調和から何ら外れることなく粛々と物語が進んで行って、ずっと起承転結の承をやり続けてる感じがある。 丁寧な分には良いんだけど、丁寧だからと言って面白くなるとは限らないのが創作の難しいところなのかな。

後は、あまり真新しさが無いとかもあるかもしれない。 見覚えのあるパーツの組み合わせというか、「うん、まあ P.A.Works だね……」という感じの作品作りになっていて引き込まれない。

最終話の「どけ!!!私がお姉さまだぞ!!!」は唐突さを感じてちょっと笑ってしまった。

2クール目頑張って欲しい。

A

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X(A-)

2期要る……?って言ってたけど蓋を開けてみたらそこそこ面白かった。 とはいえ、そこそこどまりで、やはりはめフラは1期で完成されていて蛇足感が否めない。 新しい攻略キャラクターを出したり既存のキャラの掘り下げをしたりとして話を作ってはいるものの、1期の頃のスピード感はどこへやらといった感じだった。

普通に面白かったが、1期が良すぎたのでかなり評価が辛くなってしまっていそう。

カタリナがようやく恋愛感情の何たるかの端っこ部分ぐらいは分かり始めたっぽいので、たぶんはめフラ14期とかの頃にはジオルド王子と結婚してるよ。知らんけど。

チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア〜(A)

信じられないと思うんだけど、このタイトルなのに結構面白いし僕は好き。

全体的に脚本や構成の巧さを感じた。僕は読んでないけど、多分原作も割と良いんじゃないかな。

主人公はチート持ちとは言いつつ何でも作れる万能魔法使いではなく、あくまで薬の範疇で人々の困りごとを解決しようとしているのが偉いなと感じた。 主人公の出来ることを制限して、同時に物語の結末に一ひねり入れるのはちゃんと面白いものを書きたい気持ちがあるんだなと感じさせてくれた。

あと転移のくだりを最後に持ってきたのはアニメの脚本家の妙だと思う。 転移を最初にやってたら、結構「はいはい。またいつものね」ってなって色眼鏡かかってしまっていたまである。 散々スローライフを見せた後に、最後に「現実世界ではつらかったけど、今はハッピーだぜ!」って大団円で終わったの話の構成としてめちゃくちゃきれいで驚愕してしまった。

正直、せいぜい B ランクかなと思ってたけど最終話まで出来が良かったから A。

出会って5秒でバトル(A+)

タイトルとジャンルであんまり面白くなさそうだと思ってたが、蓋を開けてみれば面白かった。

主人公の能力が「相手が思った能力になる」という、結構オタク君が好きそうな難しい能力で良かった。 やっぱりオタク君はこういういかにも頭脳戦できそうな感じの能力が好きなんですよね(ニチャア)。

一応はちゃんと頭脳戦っぽいことをやっていて、それなりに納得感あって見られる場面が多かったと思う。 敵にも頭脳キャラがいて、化かし合い、騙し合いによる形勢の逆転が何回もあったのが良かった。

まあ、ただ結構色々なガバとか無理はあったので、そこはご愛敬ということで目を瞑るかな……

彼女もカノジョ(A+)

アホボーイ & アホガール

マジで登場人物の大半がアホという、ひろゆきらしい作品。 ひろゆきは登場人物をアホにしないと作品書けないのか?

内容としては主人公が二股+αをする作品。 主人公がバカ真面目でバカ誠実でバカなので、ほとんど不快感はなく見れた。

1話で二股になったので爆速で三股すると思っていたのだが、意外と粘って未だに二股+主人公のことを好きな女2という状態で耐えており、偉いなと感じた。 アホガールとギャグの質としてはほとんど全く一緒なので、アホガールが笑える人はこれも笑えると思う。 僕は結構好きだった。

あと、OP、ED ともにめちゃくちゃに良くて買っちゃった。 ED は麻倉ももが歌ってるんだけど、本編出てきてなくない?w

ぼくたちのリメイク(A+)

主人公がタイムリープしてやり直す話。

10年前にタイムリープした主人公が芸術大学で無双を続けていて、最初は良かったんだけど途中からは若干食傷気味になってしまった。 だが、食傷状態になってから、主人公が無双した結果として友人たちが芸術の道を諦めてしまうというしっぺ返しが返ってきたのはめちゃくちゃ良かった。 調子に乗ってちゃんとしっぺ返しが来る作品は良いですね。素晴らしい。

その後の展開も割と面白くて、中盤に無双のし過ぎでだれた以外は面白かったと思う。 一部分、ご都合主義な部分は見られた(ゲームの素材だけ移したらゲームエンジン変えても問題なく動くとか)けど、まあその後にフォロー入ったから良かったかな。

河瀬川というキャラがめちゃくちゃ裏ヒロイン顔してるんだけど、マジで今だに東山奈央はメインヒロイン張れるから偉い。

S

うらみちお兄さん(S)

いや、声優が豪華。

ブラックジョークの類が普通に面白くて割と笑いながら見てた。 ギャグアニメとして完成度が高い。方向性としては『坂本ですが?』と近いかもしれない。

作者の現実世界への解像度の高さと、言語化能力がバカ高くて普通に笑ってしまった。 個人的な MVP は「パン屋で試食して感動したパンを家に持って帰って食べると微妙だった」ということを歌った挿入歌。マジで面白くてげらげら笑ってた。

あの歌わない声優と言われていた神谷浩史に歌わせた稀有な作品。

小林さんちのメイドラゴン(S)

京都アニメーションの意地を見せつけてくれた。

いや、マジで京アニはアニメを作るのが上手い。 OP の時点でビビり散らかすほどアニメーション作りが上手くて、「これが、京アニ……!」ってなってしまった。

作画良し、脚本良し、声優良し、音響良し、演出良し……文句の付け所がどれだけ探しても見つからない。 今さら何かコメントをすることも無いので見てください。

Sonny Boy(S)

どういう話だったかと聞かれると答えに窮するんだけど、めちゃくちゃ面白かった。 ジャンルとしては SF になるのだろうか、それとも青春ものかな。後者かも。

単純な少年少女たちの青春だけでなく、世界観の心地よい意味不明さが癖になる面白さだったと思う。 たまにある「よく分からんけどめっちゃ面白い」タイプの作品。

漂流教室』原作なのかと最初は言われてたけど、僕は読んでないから分からない。 最近は何も言われてないし、たぶん世界設定がちょっと似てるだけでそうでもない。

青春ものとしてすごくよくできていた。 ただ、結末含めて結構大人向けの作風かなぁ。

ラジダニがマジで好き。有能すぎて途中離脱しちゃったけど。

迷宮ブラックカンパニー(S+)

今期一番好きかも。

全体的に完成度の高さが感じられる。 今期、異世界ものがいくつかあるけど、異世界ものとしてくくるにはちょっとかわいそうなぐらいには面白い。

人生の成功者となった主人公が突如異世界に転移させられ、ブラックな労働者階級から成り上がっていく物語。 ドン底から始まったどこか意地汚い主人公が、持ち前の悪知恵でどんどん成り上がって時々しっぺ返しを食らっていく展開がとても面白い。 主人公が若干クズなんだけど魅力的で、カイジに近いキャラクターかもしれない。

あと、小西克幸がおっさんやってて高笑いしてるの、マジで良いからどんどんやって欲しい。

SSS

ひぐらしの鳴く頃に~業~(A→SSS)

ワシを信じて……

正直、SSS にぶち込むべきか悩みに悩んだ。 ひぐらしはもともとシュールギャグみたいなところもあるし、終盤の瞬間風速がやばいだけで全体で見ると情状酌量の余地がなくもない。 正直超バトルシーンまでは耐えていたが、最終話で何も解決してないのに You が流れ始めたことで爆笑してしまったので実刑判決が下った。 名曲を汚すな。

全編通じてただただひたすらに鉄平がかわいそう。 あんなに家族思いで優しい人畜無害な男が一体何をやったって言うんだ。 まさかいないと思うけど、「業」から見始めた人がいたら「何で鉄平はこんなにいじめられてるんだろう?」ってなってそう。

答え合わせ編なんだけど、ぶっちゃけ「はいはい沙都子が悪い」で全部終わるので、ただただ沙都子へのヘイトが溜まっていくだけだった。 マジでこいつ勉強嫌いすぎだろ。苦楽を共にした仲間や恩人を悲劇に陥れても勉強したくねぇのかよ。 もうどれだけ善業積んでもこいつが仲間に戻り咲くの無理では?

これならまだリメイクの方がマシだっただろマジで。

探偵はもう死んでいる(SSS+)

毎話毎話、間髪入れずに怒涛の超展開と圧倒的””クサさ””をぶち込んでくる最高の作品。

まず初めにこのタイトルから想像されるこの作品のジャンルは恐らくミステリーだと思うんだけど、残念ながらたんもしのジャンルはミステリーではない。 いや、レーベルはミステリーを自称しているが、ミステリー要素など欠片もなくただの異能バトルラブコメである。 1話の前半10分ぐらいで「お、探偵ものか?」って期待してたオレのワクワクを返してくれ。 急に異能力バトル始まって目を疑ったわ。

一応、ミステリーをやろうという心意気はあって伏線っぽい何かも差し込むんだけど、大抵は納得感の薄いものばかりで一部にいたっては伏線の体を為していない。 ノックスの十戒ってご存じ? いや、あれに従えとは言わんけど、限度ってもんがあるだろ限度ってもんが。

あと全体的にセリフがクサい。 『化物語』と『とある魔術の禁書目録』に影響を受けた中学生が書いたような険しい長台詞が続き、思わず「あああああ!!殺してくれぇええ!!!」ってなる。

シエスタが可愛かったのだけが唯一の良心で、あとは総じてクソなので安心して見ることができた。

まとめ

今期は、全体的に S も SSS も不作でした。 極めて感情揺さぶられる面白い作品はほとんど無かったし、爆発力のあるクソも無かったですね。

ちなみに、今期は現実主義勇者がヤバいらしいんですけど、FOD 限定配信らしくてまだ見れていないので他のプラットフォームで配信されたら見たいですね。

『レガシーコード改善ガイド』を読んだ感想

この記事は何?

表題通り。読書感想文はちゃんと書き残しておこうと思うので。

感想

要約すると「テストを書け!依存注入しろ!」って話だった。 全部で400ページぐらいあるんだけど、基本的には上の主張を手を変え品を変え色々なケースで話しているだけに読めた。

もっと”””レガシー”””なコードに立ち向かう機会が多いと学びも多いのかなと思う一方で、最近はテストや疎結合の重要性が割と(少なくとも僕の周囲では)浸透しているので「こういう時代もあったんすねぇ」感があるのかもしれない。 ただ、そうは言っても書いてある内容は至極もっともでここに書かれている内容を意識できていないとマズいなぁというものばかりだった。リファクタ時に機能増やすなとか、private メソッドテストしたいときはクラスの責務がデカいとか、テストが書きづらいときはコードが悪いとかとか。

かなり具体的なリファクタのやり方が色々書いてあって、事例集みたいな感じで読むのは面白かったかも。スプラウトメソッドとか、「あーまあ確かに」という気持ちになった。 余談だけど、個人的にはちょくちょく挟まるジョークが面白かった。「コードの修正には2種類あります。テストを書いて修正するか、修正して祈るかです」みたいなのとか笑ってしまった。やっぱり時代はスピリチュアルエンジニアリング。デプロイは大安の日に執り行うべし。*1

『現場で役立つシステム設計の原則』を読んだ感想

この記事は何?

※※※ この記事はクソアニメレビューではありません ※※※

表題通り。読書感想文はちゃんと書き残しておこうと思うので。

感想

初学者向けのオブジェクト指向入門&ドメイン駆動開発入門って感じだった。 個人的にはもうちょい抽象的な設計のいろんなパターンの話をするのかと思ってたけど、予想よりも上の話に寄っていた印象。 まあ、とはいえ責務の分離とか凝集度の話とかも割とまとまっててよかった。

特に個人の大きい学びとしては、「データ表現とビジネスロジックを同じ場所にまとめろ」というのがなるほど感が強かった。 データ表現とビジネスロジックはレイヤーとしては分けるイメージがあったので驚いたけど、知識の凝集という意味では正しいかも。 ただ、個人的にこれをやると fat なクラスが爆誕すると考えている。 それに対する答えとして、本書の中では「いや、でかくなったら適切な粒度でクラスを分割するんやぞ」って書いてあって、「難しいこと言うね」ってなった。 それができれば苦労しないんですよね…… このあたりドメインモデル貧血症の話とかにも繋がるので、難しいわね。

トランザクション指向の設計との違いみたいな部分にも意識が向くようになったかも。 ある機能を実現するときって、大抵流れがあってそれをそのままコードに落とし込むから一連の流れの中で知識を表現しがちなんだけど、それだとあんま良くないよねみたいな話かな。

細かい学びでいうと、DB に not null 制約かけた方が良いよとか。 nullable の場合はテーブル分割できる場合が多かったり、null のハンドリングが必要だったりして面倒ゆえ。