実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想

この記事は何?

この記事は、実写映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』を見た感想記事です。 注意点として、2021.08.20 に公開された「ファイナル」の方ではなく無印の方です。

今さらながらアマプラに来ていることに気付き、話題に上がることも多かったので観ました。 先に結論を話すと、総評としては、そこまで悪くなかったんじゃないかなと思います。 特に前半の出来は非常に良かったと思います。

はい。本当に、本当の本当に、前半までは成績優秀な優等生でした。 それがどうして後半で強盗殺人放火の役満犯罪者に……

前半と後半で別の人が監督やってたのかな?と思ったのですが、そんなことはなくばっちり一人の監督が担当していましたね。 どうして?

今回は短めです。

感想

それでは感想の方を書いてゆこうと思います。

上でもちょろっと書きましたが、全体としての完成度は決して低くはなかったと思います。 むしろ実写映画としてはキャスティング含めてよく出来ていて、原作のエピソードを切り継ぎしているもののかなり原作に忠実に作られていたと思います。 映画の話の流れとしては、原作の冒頭→いくつか日常話→夏祭り→生徒会解散・選挙なのですが、よくもまあ2時間の映画にここまで詰め込んだねという感想です。 かぐや様自体、若干日常系っぽい雰囲気があるので比較的物語が大きく動くエピソードを引っ張ってきて切り継ぎしてきたのでしょうが、前半はそれなりにそれが上手く回っていました。前半はね。

この作品の後半の話をする前に、まずはちゃんと褒められるところを褒めておこうと思います。

キャスティングは概ね良かったと思います。 まあアニメの声に慣れてしまうと白銀の声がかすれ声だったり、かぐやの声がハスキーだったりする部分とかの気になりはありますが、外見はほぼばっちりですね。 藤原書記だけが唯一撮影に映りこんでしまったコスプレイヤーと化していましたが、まあ元の存在もいかにもアニメキャラみたいな存在ですし仕方ない。 あんな女子現実にはいませんよ(当人の発言)。

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あと、藤原書記を除いて、若干一名、許せないキャスティングがありはしましたが他はかなり良かったんじゃないでしょうか。

クソアニメ映画やクソ実写映画では問題になりがちな脚本についても、前半は良かったと思います。 かなり原作に忠実に作られていて、これには流石の僕も「へー、やるじゃん」と腕組みして後方で満足げな笑みを浮かべていました。 ギャグはそんなに面白いかと言われると面白くはなかったですが、たまに笑える箇所もあるぐらいには上手く脚本に落とし込んでいたのかなと思います。

演出はまあチープさはあるものの可も無く不可もなく。 エフェクトが過剰な気もしましたが、まあアニメとかも似たような感じだったし……ということで特に目くじらを立てるものではないと思います。

音楽については夏祭りでみんなで花火を見るシーンで挿入歌が流れるのとかはめちゃくちゃ良かったですね。あれは正直普通に感動した。

はい、褒めるのはこれぐらいでいいですかね。

この作品、何度も書いてるんですけど前半、具体的には夏祭り終わるまでは良かったんですよ。本当に。 僕は夏祭りで作品が終わると思ってシークバーを眺めたんですけど、そしたら何かあと40分ぐらい残ってるとか書いてあって、「え、こんなきれいにまとまったのにこの後何やるの?」って思っていました。

そしたら何と生徒会が解散する場面が始まります。 「いや、2時間の映画に詰め込むなぁ」と思いつつ、「そう言えば井伊野ミコ出て来てないけど、生徒会選挙編出来るんか?w」と思っていました。 このときはかなり軽い気持ちでいたのですが、もう少し覚悟を固めておくべきだったと後悔しています。

生徒会解散の直後あたりからオリジナル展開が始まります。 展開の中身は「恋煩いでかぐやが倒れるエピソード」と「生徒会選挙の一部」をミキサーで混ぜてよく分からん調味料を加えたといったものでした。 おい、何でレシピ通りに作らねぇんだよ。というかそもそもミキサーで混ぜるな。素材の味が全部死んでるだろ。 変な調味料を加えるな。レシピに従え、レシピに。

ゲテモノだと思って食べ始めたら最初は意外とイケるなこれってなったんですがやっぱり後味最悪でゲテモノじゃんってなりましたね。

後半、全ての展開が原作ブレイカーで本当にヤバかったですね。 かぐやが生徒会長に立候補して初音ミクのコスプレして有権者に金配り始めるし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節を踊り出すし、早坂はかぐやを諫めないで無能っぽい行動取るし、石上は白銀の応援演説で急に発狂して青春ディスりだすし、森羅万象がめちゃくちゃだった。

かぐやはそういう状況では正々堂々戦うし、白銀は生徒会選挙演説の場でソーラン節踊らないし、早坂は有能だから間違った情報かぐやに渡さないし、石上も締めるべき場面で急に発狂しないと思っていたので非常に悲しい気持ちになりました。

キャラクター崩壊の時点で既に罪が重いんですが、合わせて展開もめちゃくちゃでしたね。 いやまあキャラクターが崩壊してる時点で大抵の場合は展開もめちゃくちゃになるんですが、白銀が明らかに誤解を招く(というかかぐやに対してあんまりな)物言いをして二人が敵対するとか、最後には急にお互いを褒め散らかす舌戦が始まるとか、引きつった笑みがこぼれてきました。

なあ、この映画、2時間やらなくちゃダメだったか? 枠を90分にして、夏祭り編で終わってて良かったんじゃないか? 何で無事に終われそうだったのに、わざわざ地雷原に踏み込んで行ったんですか?

あと、個人的には佐藤二郎のキャスティングが非常に良くないと感じました。 なんか、佐藤二郎とかムロツヨシみたいなとりあえず雑に置いておくと面白くなりそうな俳優にアドリブ任せで悪ふざけさせるの、冷めるからやめて欲しいんですよね。 脚本や演出としてのギャグだと足りないから佐藤二郎を出すみたいな保険のかけ方するの、かっこ悪いからやめて欲しい。 自らのつまらなさに真剣に向き合って欲しい。その方が面白いと思う。

まとめ

本作は、前半で終わっていればそこそこ良作だったという謎の作品でした。 いや、本当に前半90分だけ見て映画館を静かに去るのが幸福度が最も高い。 せめて「ここからはオリジナル展開ですよ!」って注意書き出して欲しかった。

実写映画で前半だけ良くて、後半ダメみたいなパターン初めて見たので新鮮でしたね。 大体いつも全部ダメなので。

とはいえ、前半で脳が良作を受け入れる姿勢になっているのに、急にクソ展開を流し込まれると錯乱して発狂してしまうのでやめて欲しい。

次作であるファイナルもアマプラに来ると思うので、そうなったらまた見ようと思います。 オレ、ファイナルって付いてる作品に良い思い出無いよ……

では、ここまでお読みいただきありがとうございました。

2021夏アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021夏アニメ(7月~9月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、正直なところで言うと不作だったのかなと感じています。 手放しで面白かったと言えるアニメが少なく、またぶっ飛んだアニメも僕の観測範囲内では少なかったです。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

ピーチボーイリバーサイド(C)

なぜ人は他人の作品のアニメ化で茶目っ気を出してしまうのか。

本作は異例にも「放送順の時系列シャッフル」という手法を取っており、放送順が時系列ではなくかなり雑なシャッフルで放映された。 そのせいで、「誰こいつ?」「そんな話あったっけ?」が頻発しており、何の没入もストーリー把握も許されないまま話数だけが重なっていった。 最終話を見て、「ま~ここを最終話にしたくなる気持ちは分からなくもないが、時系列をシャッフルしたのは分からん」ってなったので普通に許されません。

いや、普通に時系列順に放送してれば B ぐらいだったと思うんだよな。 内容は面白くも無いけどつまらなくも無いし。 マジで監督の茶目っ気によってすべてが破壊され何も分からなくなってしまった作品だった。

月が導く異世界道中(C)

今期一の真顔アニメ。笑いどころのないスマホ太郎。

異世界転移した主人公が亜人獣人にちやほやされながらチート無双するよくある話だが、時折挟まれるギャグが寒かったり、主人公の謎のイキリがきつかったりとかなり真顔になれる。 終盤に自陣営の味方が死んで主人公がぶちギレるシーンは展開としては嫌いじゃないんだけど、なんか原因自体はかなりマッチポンプだったりしてあんまり没入できなかった。

ED が水戸黄門だったのだけ面白かったから、そこだけげらげら笑ってた。

精霊幻想記(C+)

何がしたいのか分からなかったアニメ。 異世界転生……とも言えないし、なんか異世界生まれの主人公に日本の男子高校生の魂が乗り移ったみたいな感じなんだけど、「その設定要る?w」って言ってたら最終話が終わった。 生まれながらに異世界の住人で恵まれた能力を持っていたから無双する話で良かったのでは。

幼少期編は結構主人公がいじめられていて面白かったんだけど、青年期編で CV が松岡君になってから一気につまらなさが増してしまった。 他のなろう作品のようなしょうもなさはあんまり無いし、展開とかキャラクターの作り方もそこそこ偉いと思うんだけど、いかんせん作品が面白くない。悲しい。

ただ、キャラデザと作画は良いし、声優がめっちゃ良かった。 こう書くと有名声優を大量起用していたように聞こえるかもしれないけどそうではなく、もちろん有名な声優ばかりなんだけど、トップから一歩引いた新人~中堅レベルの声優がいっぱいいて良かった。 「お、最近あんまり聞かなかったな」って声優がちらほらいて懐かしい気持ちになれて、声優のチョイスが”””丁度良かった”””。

B

ジャヒー様はくじけない(B-)

魔界から追放されて力を失った魔族(幼女)が、どたばだする日常系ギャグ作品。

最初は面白かったんだけど、ジャヒー様が毎回調子に乗ってしっぺ返しを食らってというパターンが多すぎて若干飽きが来た。 かわいそうは可愛いをやりたいんだろうけど、あんまり僕には刺さらんかった。 なんというか、「うーん、残当……」ってなった。

SCARLET NEXUS(B)

ゲーム原作のアニメ化なんだけど、たぶん原作のゲームは面白かったんだろうね……という気持ちになれる微妙なアニメ。

似たような展開が繰り返されているのとか、肝心なところで毎回主人公が持病的なもので意識を失うのとか、割と「またかよ」感が強くてげんなりしてしまった。

キャラクターも多くて、個々のキャラクターの掘り下げが甘いので未だに僕はキャラクターの名前を一部しか覚えられてない。 それぞれがどんな思惑を抱えていてみたいな話をアニメのクールに収めようとして結構無理が生じてしまっている。 途中で味方の面々が2陣営に分かれて敵対してしまうんだけど、それまでにキャラクターの掘り下げも無かったために「うわ、こいつが敵側に行っちゃうのか」みたいな感傷が一切発生しなかった。

全体的なストーリーとかはメイビー面白いんだけど、ゲームでやれるならゲームでやった方が良さそう。

主人公の名前がユイトで、名前を呼ばれるとちょっと面白かった。何故とは言わないけど。

100万の命の上に俺は立っている(B)

2期、というか分割2クールの2クール目。

1期は面白かったと思うんだけど、2期はかなり微妙だった。 より正確に言うと、2期は前半のオーク島編と後半のザグロス村編があるんだけど、前半はマジで酷かった。 全編通して間延びしてたし、急に出てきた大量の新キャラたちが自分語りして死んでいくし、最後もよく分からん終わり方するしで本当に最悪だった。 急にアイドルもどきみたいな二人組が電波曲歌い始めて唖然としてたら、のちのちの展開でそれが実は島の命運を歌った古くから伝わる警鐘だったみたいなのをどや顔で回収されて「はぁ……そうなんですねぇ……」ってなった。 前半部分だけなら文句なし C ランクだと思う。

ただ、後半は結構面白い。 新規加入した味方キャラが良いというのもあるかもしれないが、全体的に展開と間がまともだと思う。 100万はそれなりにダークな雰囲気がある作風だと思うんだけど、後半はそれを思い出していたと思う。

平均すると、Cランクに引っ張られるけど、まあ後半は結構面白いから B かな。 ちなみにここで言う平均というのは中点値のことではありません。

白い砂のアクアトープ(B+)

正直 A でもいいかなと思うところもあるが、雰囲気で誤魔化しているだけで別にそんなに面白くないと感じた。 あくまで個人的な感想だが、つまらなくはないんだけど、取り立てて面白いかと言われると首を縦には振りづらい。

話の展開が良く言えば丁寧、悪く言えば遅いかも。 予定調和から何ら外れることなく粛々と物語が進んで行って、ずっと起承転結の承をやり続けてる感じがある。 丁寧な分には良いんだけど、丁寧だからと言って面白くなるとは限らないのが創作の難しいところなのかな。

後は、あまり真新しさが無いとかもあるかもしれない。 見覚えのあるパーツの組み合わせというか、「うん、まあ P.A.Works だね……」という感じの作品作りになっていて引き込まれない。

最終話の「どけ!!!私がお姉さまだぞ!!!」は唐突さを感じてちょっと笑ってしまった。

2クール目頑張って欲しい。

A

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X(A-)

2期要る……?って言ってたけど蓋を開けてみたらそこそこ面白かった。 とはいえ、そこそこどまりで、やはりはめフラは1期で完成されていて蛇足感が否めない。 新しい攻略キャラクターを出したり既存のキャラの掘り下げをしたりとして話を作ってはいるものの、1期の頃のスピード感はどこへやらといった感じだった。

普通に面白かったが、1期が良すぎたのでかなり評価が辛くなってしまっていそう。

カタリナがようやく恋愛感情の何たるかの端っこ部分ぐらいは分かり始めたっぽいので、たぶんはめフラ14期とかの頃にはジオルド王子と結婚してるよ。知らんけど。

チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア〜(A)

信じられないと思うんだけど、このタイトルなのに結構面白いし僕は好き。

全体的に脚本や構成の巧さを感じた。僕は読んでないけど、多分原作も割と良いんじゃないかな。

主人公はチート持ちとは言いつつ何でも作れる万能魔法使いではなく、あくまで薬の範疇で人々の困りごとを解決しようとしているのが偉いなと感じた。 主人公の出来ることを制限して、同時に物語の結末に一ひねり入れるのはちゃんと面白いものを書きたい気持ちがあるんだなと感じさせてくれた。

あと転移のくだりを最後に持ってきたのはアニメの脚本家の妙だと思う。 転移を最初にやってたら、結構「はいはい。またいつものね」ってなって色眼鏡かかってしまっていたまである。 散々スローライフを見せた後に、最後に「現実世界ではつらかったけど、今はハッピーだぜ!」って大団円で終わったの話の構成としてめちゃくちゃきれいで驚愕してしまった。

正直、せいぜい B ランクかなと思ってたけど最終話まで出来が良かったから A。

出会って5秒でバトル(A+)

タイトルとジャンルであんまり面白くなさそうだと思ってたが、蓋を開けてみれば面白かった。

主人公の能力が「相手が思った能力になる」という、結構オタク君が好きそうな難しい能力で良かった。 やっぱりオタク君はこういういかにも頭脳戦できそうな感じの能力が好きなんですよね(ニチャア)。

一応はちゃんと頭脳戦っぽいことをやっていて、それなりに納得感あって見られる場面が多かったと思う。 敵にも頭脳キャラがいて、化かし合い、騙し合いによる形勢の逆転が何回もあったのが良かった。

まあ、ただ結構色々なガバとか無理はあったので、そこはご愛敬ということで目を瞑るかな……

彼女もカノジョ(A+)

アホボーイ & アホガール

マジで登場人物の大半がアホという、ひろゆきらしい作品。 ひろゆきは登場人物をアホにしないと作品書けないのか?

内容としては主人公が二股+αをする作品。 主人公がバカ真面目でバカ誠実でバカなので、ほとんど不快感はなく見れた。

1話で二股になったので爆速で三股すると思っていたのだが、意外と粘って未だに二股+主人公のことを好きな女2という状態で耐えており、偉いなと感じた。 アホガールとギャグの質としてはほとんど全く一緒なので、アホガールが笑える人はこれも笑えると思う。 僕は結構好きだった。

あと、OP、ED ともにめちゃくちゃに良くて買っちゃった。 ED は麻倉ももが歌ってるんだけど、本編出てきてなくない?w

ぼくたちのリメイク(A+)

主人公がタイムリープしてやり直す話。

10年前にタイムリープした主人公が芸術大学で無双を続けていて、最初は良かったんだけど途中からは若干食傷気味になってしまった。 だが、食傷状態になってから、主人公が無双した結果として友人たちが芸術の道を諦めてしまうというしっぺ返しが返ってきたのはめちゃくちゃ良かった。 調子に乗ってちゃんとしっぺ返しが来る作品は良いですね。素晴らしい。

その後の展開も割と面白くて、中盤に無双のし過ぎでだれた以外は面白かったと思う。 一部分、ご都合主義な部分は見られた(ゲームの素材だけ移したらゲームエンジン変えても問題なく動くとか)けど、まあその後にフォロー入ったから良かったかな。

河瀬川というキャラがめちゃくちゃ裏ヒロイン顔してるんだけど、マジで今だに東山奈央はメインヒロイン張れるから偉い。

S

うらみちお兄さん(S)

いや、声優が豪華。

ブラックジョークの類が普通に面白くて割と笑いながら見てた。 ギャグアニメとして完成度が高い。方向性としては『坂本ですが?』と近いかもしれない。

作者の現実世界への解像度の高さと、言語化能力がバカ高くて普通に笑ってしまった。 個人的な MVP は「パン屋で試食して感動したパンを家に持って帰って食べると微妙だった」ということを歌った挿入歌。マジで面白くてげらげら笑ってた。

あの歌わない声優と言われていた神谷浩史に歌わせた稀有な作品。

小林さんちのメイドラゴン(S)

京都アニメーションの意地を見せつけてくれた。

いや、マジで京アニはアニメを作るのが上手い。 OP の時点でビビり散らかすほどアニメーション作りが上手くて、「これが、京アニ……!」ってなってしまった。

作画良し、脚本良し、声優良し、音響良し、演出良し……文句の付け所がどれだけ探しても見つからない。 今さら何かコメントをすることも無いので見てください。

Sonny Boy(S)

どういう話だったかと聞かれると答えに窮するんだけど、めちゃくちゃ面白かった。 ジャンルとしては SF になるのだろうか、それとも青春ものかな。後者かも。

単純な少年少女たちの青春だけでなく、世界観の心地よい意味不明さが癖になる面白さだったと思う。 たまにある「よく分からんけどめっちゃ面白い」タイプの作品。

漂流教室』原作なのかと最初は言われてたけど、僕は読んでないから分からない。 最近は何も言われてないし、たぶん世界設定がちょっと似てるだけでそうでもない。

青春ものとしてすごくよくできていた。 ただ、結末含めて結構大人向けの作風かなぁ。

ラジダニがマジで好き。有能すぎて途中離脱しちゃったけど。

迷宮ブラックカンパニー(S+)

今期一番好きかも。

全体的に完成度の高さが感じられる。 今期、異世界ものがいくつかあるけど、異世界ものとしてくくるにはちょっとかわいそうなぐらいには面白い。

人生の成功者となった主人公が突如異世界に転移させられ、ブラックな労働者階級から成り上がっていく物語。 ドン底から始まったどこか意地汚い主人公が、持ち前の悪知恵でどんどん成り上がって時々しっぺ返しを食らっていく展開がとても面白い。 主人公が若干クズなんだけど魅力的で、カイジに近いキャラクターかもしれない。

あと、小西克幸がおっさんやってて高笑いしてるの、マジで良いからどんどんやって欲しい。

SSS

ひぐらしの鳴く頃に~業~(A→SSS)

ワシを信じて……

正直、SSS にぶち込むべきか悩みに悩んだ。 ひぐらしはもともとシュールギャグみたいなところもあるし、終盤の瞬間風速がやばいだけで全体で見ると情状酌量の余地がなくもない。 正直超バトルシーンまでは耐えていたが、最終話で何も解決してないのに You が流れ始めたことで爆笑してしまったので実刑判決が下った。 名曲を汚すな。

全編通じてただただひたすらに鉄平がかわいそう。 あんなに家族思いで優しい人畜無害な男が一体何をやったって言うんだ。 まさかいないと思うけど、「業」から見始めた人がいたら「何で鉄平はこんなにいじめられてるんだろう?」ってなってそう。

答え合わせ編なんだけど、ぶっちゃけ「はいはい沙都子が悪い」で全部終わるので、ただただ沙都子へのヘイトが溜まっていくだけだった。 マジでこいつ勉強嫌いすぎだろ。苦楽を共にした仲間や恩人を悲劇に陥れても勉強したくねぇのかよ。 もうどれだけ善業積んでもこいつが仲間に戻り咲くの無理では?

これならまだリメイクの方がマシだっただろマジで。

探偵はもう死んでいる(SSS+)

毎話毎話、間髪入れずに怒涛の超展開と圧倒的””クサさ””をぶち込んでくる最高の作品。

まず初めにこのタイトルから想像されるこの作品のジャンルは恐らくミステリーだと思うんだけど、残念ながらたんもしのジャンルはミステリーではない。 いや、レーベルはミステリーを自称しているが、ミステリー要素など欠片もなくただの異能バトルラブコメである。 1話の前半10分ぐらいで「お、探偵ものか?」って期待してたオレのワクワクを返してくれ。 急に異能力バトル始まって目を疑ったわ。

一応、ミステリーをやろうという心意気はあって伏線っぽい何かも差し込むんだけど、大抵は納得感の薄いものばかりで一部にいたっては伏線の体を為していない。 ノックスの十戒ってご存じ? いや、あれに従えとは言わんけど、限度ってもんがあるだろ限度ってもんが。

あと全体的にセリフがクサい。 『化物語』と『とある魔術の禁書目録』に影響を受けた中学生が書いたような険しい長台詞が続き、思わず「あああああ!!殺してくれぇええ!!!」ってなる。

シエスタが可愛かったのだけが唯一の良心で、あとは総じてクソなので安心して見ることができた。

まとめ

今期は、全体的に S も SSS も不作でした。 極めて感情揺さぶられる面白い作品はほとんど無かったし、爆発力のあるクソも無かったですね。

ちなみに、今期は現実主義勇者がヤバいらしいんですけど、FOD 限定配信らしくてまだ見れていないので他のプラットフォームで配信されたら見たいですね。

『レガシーコード改善ガイド』を読んだ感想

この記事は何?

表題通り。読書感想文はちゃんと書き残しておこうと思うので。

感想

要約すると「テストを書け!依存注入しろ!」って話だった。 全部で400ページぐらいあるんだけど、基本的には上の主張を手を変え品を変え色々なケースで話しているだけに読めた。

もっと”””レガシー”””なコードに立ち向かう機会が多いと学びも多いのかなと思う一方で、最近はテストや疎結合の重要性が割と(少なくとも僕の周囲では)浸透しているので「こういう時代もあったんすねぇ」感があるのかもしれない。 ただ、そうは言っても書いてある内容は至極もっともでここに書かれている内容を意識できていないとマズいなぁというものばかりだった。リファクタ時に機能増やすなとか、private メソッドテストしたいときはクラスの責務がデカいとか、テストが書きづらいときはコードが悪いとかとか。

かなり具体的なリファクタのやり方が色々書いてあって、事例集みたいな感じで読むのは面白かったかも。スプラウトメソッドとか、「あーまあ確かに」という気持ちになった。 余談だけど、個人的にはちょくちょく挟まるジョークが面白かった。「コードの修正には2種類あります。テストを書いて修正するか、修正して祈るかです」みたいなのとか笑ってしまった。やっぱり時代はスピリチュアルエンジニアリング。デプロイは大安の日に執り行うべし。*1

『現場で役立つシステム設計の原則』を読んだ感想

この記事は何?

※※※ この記事はクソアニメレビューではありません ※※※

表題通り。読書感想文はちゃんと書き残しておこうと思うので。

感想

初学者向けのオブジェクト指向入門&ドメイン駆動開発入門って感じだった。 個人的にはもうちょい抽象的な設計のいろんなパターンの話をするのかと思ってたけど、予想よりも上の話に寄っていた印象。 まあ、とはいえ責務の分離とか凝集度の話とかも割とまとまっててよかった。

特に個人の大きい学びとしては、「データ表現とビジネスロジックを同じ場所にまとめろ」というのがなるほど感が強かった。 データ表現とビジネスロジックはレイヤーとしては分けるイメージがあったので驚いたけど、知識の凝集という意味では正しいかも。 ただ、個人的にこれをやると fat なクラスが爆誕すると考えている。 それに対する答えとして、本書の中では「いや、でかくなったら適切な粒度でクラスを分割するんやぞ」って書いてあって、「難しいこと言うね」ってなった。 それができれば苦労しないんですよね…… このあたりドメインモデル貧血症の話とかにも繋がるので、難しいわね。

トランザクション指向の設計との違いみたいな部分にも意識が向くようになったかも。 ある機能を実現するときって、大抵流れがあってそれをそのままコードに落とし込むから一連の流れの中で知識を表現しがちなんだけど、それだとあんま良くないよねみたいな話かな。

細かい学びでいうと、DB に not null 制約かけた方が良いよとか。 nullable の場合はテーブル分割できる場合が多かったり、null のハンドリングが必要だったりして面倒ゆえ。

『ノンデザイナーズ・デザインブック』を読んだ感想

この記事は何?

※※※ この記事はクソアニメレビューではありません ※※※

逆にこのタイトルでクソアニメレビューだと思わないでほしい。

『ノンデザイナーズ・デザインブック』の第4版(日本語訳)を読んだのでせっかくなので読書感想文を書きます。 そんなに分量はないです。

感想

全体の感想として、割と読みやすかったと思う。 突っかかることもなくすらすら読み進められた。挿絵も多かったし。 翻訳したものなので多少のぎこちなさはあるかもしれないが、理解に苦しむような表現はなかった。

内容としては、タイトルに違わぬ非デザイナー向けの本だったと思う。 基本的には、ずっと「近接、整列、反復、対比」の4原則の話をしており、フォントの種類だったり、デザイン時に考えることみたいなものも書かれていたが、ざっくりとした指針や概要が主たる内容だった。 個人的に良かった箇所としては、例がいっぱいあって before/after で良いデザインと悪いデザインの比較を行っていたところかな。 デザインの思想とか指針をどう具体的なデザインに反映させるかみたいなのがたくさんの例とともに紹介されていたのは良かったと思う。 原著が英語だからデザインの例もほぼ英語だったが、別に英語だから分かりにくいみたいなことも無かった。 空白を恐れないとか、中央揃えばっかり使うなとかは結構具体的な学びとして結構面白かったわね。

めちゃくちゃ学びがあったような本ではなかったけど、ふんわり自分の中で感じていたデザイン時に意識することを言語化しれくれたと思う。 これを読んだらすぐデザインばっちこいになれるってわけではないけど、第一歩にはなるかも。

2021春アニメ を見た感想

この記事はなに?

2021春アニメ(4月~6月)を見た感想をランク付けしてまとめたものです。 今期は、評価が難しいアニメが多かったように感じます。 多くの作品が非常に面白く、思わず拍手喝采してしまうアニメも多かったです。 特にSランクの作品はハイレベルでまとまっており、憂いなく人に勧められるタイプの作品が多かったですね。

ランク付けはざっくりC~SSSです。 各ランクの大体の指標は次のような感じです。

  • C:順当につまらない。アニメ化した理由が不明。ただのクソ。
  • B:普通ぐらい。面白くないわけではない。つまらなくもないけど、B級の域を出ない。どちらかと言えばクソアニメかも。
  • A:順当に面白い。良作。
  • S:めっちゃ面白い。覇権枠。
  • SSS:きらりと光るクソ。

注意点として、ネタバレがあるし、僕個人の感想だし、好みをすごい反映しているし、普段のアニメ映画レビューと違ってあまり文章を練っていないし、普通にディスっています。

感想

C

聖女の魔力は万能です(C-)

森羅万象が既視感で構成されている作品。乙女ゲームをなろうで味付けしている。 乙女ゲームの破滅フラグが先にアニメ化されていなければまだ多少は評価を受け得た気がする。 あれが既にテンプレ異世界乙女ゲー作品に対するメタ作品になっていたので、その後出しでこれが出てもどうしようもない感じもあった。

と、さもはめフラが無ければ面白かったかのように書いているが、それを抜きにしても別に面白くはない。 死ぬほどつまらないわけではないが、面白いか面白くないかで言えばつまらないので悲しい。

ただし、声優は抜群に良い。男性声優の甘い演技が聞きたければおすすめ。 櫻井孝宏が裏切らない。

B

究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら(B-)

慎重勇者の作者の作品だから面白いかなと思って見始めたが、そこまで面白くなかった。つまらなくもないけど。

主人公が一切無双しないのはコンセプトとして分かるが、それが面白くなるとは限らないので難しいなと感じた。 本作品は全体的に王道やテンプレの逆張りを行くのだが、「いや、流石にここは決めて欲しいが」ってところでも逆張り続けるので一生肩透かしを食らうことになる。 慎重勇者なんかはそのあたりのバランスが取れていたのに、どうしてこの作品では出来なかったのか……

頭のおかしいヒロインがいっぱい出てくるの結構好きなんだけど、メインヒロインの女が頭おかしいを通り越して不快感すら感じてすごいなと思った。 こう、作者が意図しない形でキャラクターが不快なことはよくあるんだけど、作者の意図する形でキャラクターがめちゃくちゃ不快なのはすごい。

微妙に SAOA パクってるのとかは面白かったけど、SAOA 本家の方が面白かった。ネタ的な意味で。

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω(B)

ヒェイ レミヒェユシン ウー チュッチュッチュー

何で OPと ED が DJ Koo なんだよ。ずるいだろ。 たまにアニメの本編流れてる裏で BGM が ED 曲になることあると思うんだけど、どシリアスなシーンで急にハイテンションなラップ曲流れ始めて爆笑していた。 誰も違和感に気づかなかったのかよ。

本編は全体を通してお色気シーンも多く、主人公がほどよく苦戦しつつ無双する、由緒正しいB級アニメという感じだった。 とはいえ、凡百のなろうアニメと違って不快感はなかったので良い。 主人公がやれやれ系ではないこととか、普通に苦戦するところとか、キャラクターに人格が存在しているところとかが効いてるんだろうな。

いや、凡百のなろうでもキャラクターに人格は存在しろよ。

ドラゴン、家を買う(B)

異世界もの……なのか?

ドラゴンの主人公が家を買うためにあちこちを奔走するお話。 オムニバス形式というか単話完結の話を繰り返す形式で、雰囲気としては『魔王城でおやすみ』とかが近いかもしれない。

全然つまらなくはなかったと思う。コンセプトがはっきりしているし、作品の空気も統一感があった。 取り立てて面白かったとは言いづらいが、何だかんだ「あ、今週も見るか」という気持ちになれた。

SHAMAN KING(B+)

古典。原作は古今和歌集とかと同じ時代に書かれた作品ですね。

何でもう一回アニメ化したのかはよくわらかないが、少年漫画感があってよかったと思う。 ただ、良くも悪くも古めの少年漫画なのでめちゃくちゃ面白いって感じの作品ではなかった。 普通に面白い、ぐらい。

まあ、僕の感性が正しくアップデートされていて、近年の少年漫画のほうが面白く感じているだけなのかもしれない。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(B+)

サラリーマンが家出した女子高生を拾う話。

僕は原作を読んでいて、その頃からややキツさを感じていたがアニメ化してもややキツイのに代わりはなかった。 主人公が良い大人ぶっているところに対するツッコミが甘くて、いまいち「うーん、でもこれ犯罪だからなぁ」ってなってしまう。 周囲の人間が主人公と女子高生の同棲を許容しているのも、「いや、えぇ……」って感じだった。 もう少し作品が低俗だったらそんなところが目に付くこともないんだけど、やっぱりある程度ステージが高い雰囲気を感じたからこそ、もう一歩足りないのが気になってしまう。

途中で間男が出てくるんだけど、こいつも中途半端で甘々だった。 こいつがもう少し敵役として場を引っ掻き回してくれていたら、割と満足していたかもしれない。 出て来るキャラクターがどいつもこいつも善人……というか主人公にとって都合の良い存在が多く、もやりがあった。

たぶん、この作品が描きたいのはおっさんと女子高生の話であって周囲とのあれこれみたいなのはあまりやりたくなかったと思うんだが、それならキャラをもっと間引いてしまっても良いかなと感じた。 特にこのコンセプトで女子高生以外のヒロインが2人もいるのが意味不明なんだよな。要らなくない?あのサブヒロインズ。 石原夏織金元寿子ともに負けヒロイン役が板についていてそれはよかったけど。

と、ここまで色々と悪し様に言ってしまったとはいえ、全体的にまとまっていて良いアニメではあったと思う。

A

スーパーカブ(A-)

言葉で上手く言い表すのが難しいが、ジャンルとしては日常系になるんだろうか。 マジで女子高生が一生カブに乗っているだけなんだけど、実直な面白さがあった。 ゆるキャン△とかの面白さに、質的には近いのだけど、あちらほどキャラクターの可愛さを押し出しているわけでもなかったと思う。

最後の展開だけはマジで意味不明だったけどそこだけ目をつむる。 何であんな展開にしたんだ。 主人公、薄々頭おかしいと思ってたけどマジで頭おかしいやつだった。

他人に強く薦められるタイプの作品ではないが、放送が終わったらちょっと寂しいかもしれない。

戦闘員派遣します(A)

このすばの作者、暁なつめの三作目のアニメ化。すげぇなマジで。

僕はこのすばのギャグが結構好きなので、このアニメのギャグも楽しめた。 ヒロインが絶妙に可愛く、絶妙に面倒くさいのが暁なつめ節という感じがして良い。 凡百のなろうアニメのテンプレ記号ヒロインズの何百倍も魅力的に思う。

まあ、ただギャグとか作風とか諸々込みで合う合わないはありそうかな。 僕は好きでした。2期待ってます。

灼熱カバディ(A+)

最近気付いたんだけど、スポ根面白くない?

カバディとかいう面白競技で興味惹くだけの男ばっかの BL 一歩手前みたいな作品だろうと思って見始めたが、めちゃくちゃ真面目にスポ根やってて面白かった。 登場キャラクターのパワーバランスが絶妙だったのもよかったと思う。 スポ根、主人公が天才だけどそれ以上に周りも強くてみたいな話が好きなんだよな。

一方で、カバディというスポーツ自体がキャラクターに多様性を持たせるのが難しいなと感じた。 極論アタッカーとディフェンダーの2ポジションしかなく、しかもフィールドが狭いから動かすのも難しいので、フィクションに昇華するのが難しい対象だと思った。 ただ、この作品の偉さは、そんな状況でも雑な人間ドラマなどに逃げることなくちゃんとカバディをやり続けていること。 映像のほとんどが練習試合か試合してるからすごい。

S

シャドーハウス(S)

全員かわいい。

最初、ホラーアニメだと思って見始めたが、ほんわか異能バトルアニメーションであることが判明した。 シャドーと生き人形たちが仲良くしているのを見てほんわかするアニメなんだよなマジで。

ただ、これはアニメがどうというより原作の設定と世界観が抜群に良いのがすごい。 設定と世界観の時点で大抵の作品に勝てるほどのポテンシャルがあるんだよな。 アニメ化に際してその輝きを損なうこともなかったので良かった。

悪い点を挙げるなら、終盤にシャドーハウスの秘密を登場キャラがぺらぺらと喋り始めたところかもしれない。 作品の面白さの根底にシャドーや生き人形の正体が謎に包まれていることがあると思っていたが、そこのネタバラシを急に全部されたのが悲しかった。 もちろん、お披露目までが第一部で第二部が始まる区切りみたいな意味合いもあるのだろうけど、それにしてももう少しゆっくりやっても良かったのかなと思った。

DYNAZENON(S)

最初は展開の雑さから微妙かなと思っていたが、人間ドラマが動き始めてからはかなり面白かった。 日常と非日常が絶妙に交わり切れていないで分離している部分とか、日常と非日常が逆転している部分とか、シュールギャグギリギリのシリアスとか、微妙なバランスの下に成り立っていた。

総括すれば脚本と演出がひたすらに秀逸だった。巧く、完成度が高い。 添加物の一切入っていないジャンクフードという感じ。 そもそもロボットがやや素材として癖が強いのだが、調理方法が上手すぎて一つの作品として落とし込めている。

最終話まで見た限りでは、グリッドマンよりもキャラクターにフォーカスしていて好き。 グリッドマンはやはりロボットやら怪獣がメインだった感もあるが、今回は巻き込まれる少年少女たちによりウェイトが置かれていた感じがする。

86(S)

こういうラノベ作品マジで増えて欲しい。

いっぱいいる仲間たちが死んでいくのが最初から分かりきっているバッドエンド確定の作品なわけだが、そんな中でも前進と微かな希望、みたいなものが描かれていた。この手の作品ってお涙頂戴のバッドエンドありきの「お前らこういうかわいそうなのが見たいんだろ」ってなりがちなんだけど、そうはならずに絶妙なバランス感覚を見せていたと思う。悲劇の最中にいる奴らが全く悲観的じゃなかったあたりとか、めちゃくちゃ優秀だったのとかが良いのかな。

主人公のミリーゼが最後の方で急成長を見せたのも良かった。親友と絶交して醜い言い争いをするシーンは最高でしたね。 やっぱり世界が動いて、キャラクターが変わっていく作品は良いもの。

ゾンビランドSAGAリベンジ(S+)

ゾンサガの2期。とても面白かった。 ゆうぎりの過去とか、愛とアイアンフリルの話とか、1期であまり触れられなかった部分を回収していた。 1期は話題性重視で一発ネタ的な部分も多かったが、2期はある程度人気を獲得した上で堅実に面白いものを作ろうとする姿勢を感じられた。

だが、良くも悪くも想定内の内容というか、コンパクトにまとめてきた感じがして、1期ほどの爆発力は無かった。 由緒正しい2期という感じで、完成度は高かったのだが1期のインパクトだけに2期のハードルを上げすぎてしまったかもしれない。 ゾンビランドSAGAにはさらなるぶっ飛びを期待していた部分があったので、もう一化け欲しかったかも。

……というレビューをね、11話ぐらいまで見たところで書いてたんですよ。 何だよあの最終回の終わり方。マジで言ってんのか? なーにが堅実で面白いものと作ろうとする姿勢だ。 途中まで常識的な脚本書きすぎて急に発狂したんか脚本家(褒め言葉)。

Vivy -Fluorite Eye's Song-(S+)

長月達平脚本のオリジナルアニメ。 AIが高度に発達し人間を滅ぼすので過去に戻ってそれを阻止するAIのお話。

こう書くとやや見覚えがある気がしないでもないが、非常によくできていて面白かったと思う。 長月達平らしい演出や展開のあざとさはあったものの、脚本、演出、作画、音楽、とどの切り口で見ても完成度が高かった。 やや歌周りの演出が強引だったかなと思わなくもないが、そんなに気になるほどでもない。

とりわけ、個人的には福山潤福島潤ではない)の演技がめちゃくちゃに、本当にめちゃくちゃに良かった。 福山潤はアップテンポな演技が似合うと思っているのだが、今作はそんな彼の演技とキャラクターが完全にマッチしていた。 もちろん口早にまくし立てれば良いというわけではなく、演技の中に確かに感情や表現が込められており、時には少ない言葉でも複雑な感情を表現していたと思う。 久々に声優の表現力の高さに感動を覚えた。

メガロボクス2(S+)

とんでもなく面白い。やばい。

メガロボクスは1期も見ていてめちゃくちゃ面白かったが、まさか2期もここまで面白いとは思わなかった。 1期は底辺からチャンピオンに成り上がったところできれいに終わっていたのでどうやって2期を展開するのかと思ったが、ビビるぐらい話の運び方が上手くて毎話「面白い!面白い!」って炎の呼吸の使い手になっていた。 1期では背負うものもなく上を見て成り上がるばかりだったギアレスジョーが、多くの背負うものを得て、最後には死んだ友人のギアを背負って現チャンピオンに挑む構図は2期として満点を与えたい。ギアにそういう意味合いを持たせるのは巧いなぁと思った。

1期も込みで間違いなく人に勧められる名作。

すばらしきこのせかい(S+)

いにしえのゲームのアニメ化。

何が面白かったか言語化しづらいけど、やはり大きいのはキャラクターの魅力があることかな。 登場キャラクターが敵も味方も魅力的で、主人公が人と触れ合いながら成長していくという王道な物語運びが良かった。 世界観や設定もよくできていて、ややゲーム的ではあったものの上手くアニメに落とし込んでいたと思う。

全体的に淡泊というか、ゲームをアニメに落とし込んだせいでややシーン遷移が細切れ感もあったけどそこまで気にならなかった。

オッドタクシー(S++)

群像劇の極致というような作品。

芸人を声優に採用していたり、そもそもキャラクターが動物人間だったりとやや異色さが目立つが、それを抜きにしても面白かったんじゃないかと思う。 やはり群像劇特有の複数キャラクターの視点で一つの物語が進んでいく様が緻密に描かれていたところが抜群に良かったのだと思う。「ここがこう繋がるのか!」という驚きと面白さ。巧妙に張り巡らされた伏線が終盤に続々と回収されていく様が、あまりに鮮やかだった。

何を話してもネタバレになってしまうので、是非とも見て欲しい。

不滅のあなたへ(S++)

1話を見て衝撃を受けた。24分の映画を見ているような没入感と感動だった。 それ以降も1話ほどの爆発力ではないにしろ、ずっと面白かったと思う。

不死の主人公が定命の者たちと関わりながら成長していくのも、人同士の触れ合いの描写も良かった。

が、散々キャラクターへの愛着を育ませておいて最後には殺すので毎度大号泣することになる。 つらすぎて2クールあるのが信じられない。見るけど、見たくないです……

やや予定された悲劇感もあるかもしれないが、それはそういうお話のコンセプトだからいいと僕は思っている。 人によっては合わないというか、感動ポルノみを感じるかもしれない。僕はそんな風には思わないけど。

SSS

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(SSS)

今期のしょうもなろう枠。どこを切り取ってもしょうもないのですごい。 タイトルが全ててそれ以上の情報はこの作品にはない。

最初は C に入れていたが、あまりにしょうもなさすぎて SSS に格上げした。 中々無いですよこんなこと。

毎回、主人公をよいしょするくだりが入るのも最早伝統芸能に近いものを感じて笑顔が溢れてしまいますね。 クールジャパンが誇る日本文化、歌舞伎、相撲、なろう。

真面目にレビューをすると、枠としてはきららが近いんじゃないかな。 女の子たちが出てきてワイワイし続ける感じのやつ。 ただ、主人公が転生してきて明らかにパワーバランスが主人公が一番強いところとか、若干説教くさいところとかになろうを感じてしまって良くなかった。 しかも、きららの中でも虚無寄りのきららなので普通にそれを抜きにしても面白くない。

あと、この作品の一番すごいところは声優がクソアニメ声優ばっかりなところなんだよな。 悠木碧和氣あず未本渡楓、千本木彩花……こんな面子投げつけられたら作品の内容一切知らなくてもクソアニメだと分かるくない?

幼馴染が絶対に負けないラブコメ(SSS)

あの、ご存知ないかもしれないんですけど、今年は2014年ではなく2021年なんですよね。 このご時世にまさかこんなコッテコテの学園ラブコメラノベ作品がアニメ化されるなんて思わなかった。

ただ、それだけだったら B とかにランク付けされるんだけど、こいつが SSS に格上げされた理由は脚本と演出の異常さにある。 誤解を恐れずに言うと頭がおかしい。もう少しだけ配慮した言葉を使うと、薬でもキメてんのか?

頭のおかしい展開を一部だけでも挙げると以下のようなものが挙げられる。

  • 文化祭で「演劇でヒロインに思いを伝える!」と言っていたのに急にださいダンスバトルを始める。
  • 謎の CM を作り始めてその CM の映像の意味がわからない。
  • ヒロインが急に記憶喪失を自称し始めるが、記憶が消えている描写があまりない。

まあ、おかしさの片鱗は理解してもらえたと思いますが、別にこういうのを抜きしても恒常的に登場キャラクターの言動に一貫性がないからすごい。 スンってしてた主人公の友人が急にキレ始めたシーンとかげらげら笑ってしまった。

作画も全体的にぐずぐずで、「ほんとに動画工房か?」となって制作会社を何度も見たが現実は非情。

いや、久々にここまでめちゃくちゃな作品を見ましたね。 完成度が低いとかじゃなく、めちゃくちゃなんだよな。なんで?

総評

今期は、順アニメが多くて豊作だった気がしますね。 一方で痺れるほどのSSSはなく、「いや、まあSSSかな」ぐらいの作品がほとんどでした。 ちなみに、「異世界の門」というとんでもないアニメ(?)が今期(前期から引き続き)放映しているのですが、これをSSSに入れてしまうのは流石にSSSのアニメにも失礼なのでもしレビューを書くとしたら単体で記事にすると思います。

【入門】Rust + WebAssembly で hello world をしてみた

この記事は何

この記事は、Rust + WebAssembly で hello, wolrd してみたというものです。 筆者は Rust、WebAssembly ともに全く触ったことがなく環境構築すらしたことがないため、ちゃんとした解説記事ではありません。 ざっくりと作業の流れをメモ程度に書き残したものです。 同じように Rust + WebAssembly で hello, world する人の一助になれば良いなと思っています。

基本的には下記のリンクに書かれている通りに進めましたが、一部で違うことをやっています。

developer.mozilla.org

対象読者

  • shell 上の操作がある程度できる。
  • Nodejs や npm (yarn) などの環境がある。
  • Unix 環境で作業している。

WebAssembly とは?

MDN に以下のようにまとまっています。

WebAssembly は最近のウェブブラウザーで動作し、新たな機能と大幅なパフォーマンス向上を提供する新しい種類のコードです。基本的に直接記述ではなく、C、C++、Rust 等の低水準の言語にとって効果的なコンパイル対象となるように設計されています。 この機能はウェブプラットフォームにとって大きな意味を持ちます。 — ウェブ上で動作するクライアントアプリで従来は実現できなかった、ネイティブ水準の速度で複数の言語で記述されたコードをウェブ上で動作させる方法を提供します。

ざっくり言えば、C や C++ などで記述された比較的低水準にリソースを利用するバイナリを、ブラウザ(や Nodejs、Deno)などの Javascript 実行環境から利用できるというものです(たぶん)。

パフォーマンスをごりごりにチューニングした重い処理を書けたり、C などにしかない機能を使えたりしそうですね。

hello, world

環境構築

Rust のインストール

Install Rust - Rust Programming Language ここにしたがってインストールするだけです。 インストールされたかどうかは、rustup --version でチェックできます。

WebAssembly のビルド

cargo という rust におけるパッケージ管理ツールがあります。 まずは、wasm-pack なる WebAssembly 向けにコンパイルをするためのパッケージをインストールします。

$ cargo install wasm-pack

次に、cargo コマンドでプロジェクトディレクトリを作ります。 まず、適当な作業ディレクトリを作成してください。その中で、以下のコマンドを叩きます。

$ cargo new --lib hello-wasm

こんな感じのディレクトリ構成を持つディレクトリができるはずです。

+-- Cargo.toml
+-- src
    +-- lib.rs

lib.rs にはすでにサンプルコードが吐き出されているはずです。 このサンプルコードを消して、代わりに以下のコードを貼り付けます。

extern crate wasm_bindgen;

use wasm_bindgen::prelude::*;

#[wasm_bindgen]
extern {
    pub fn alert(s: &str);
}

#[wasm_bindgen]
pub fn greet(name: &str) {
    alert(&format!("Hello, {}!", name));
}

それぞれの記述の解説は、Rust から WebAssembly にコンパイルする - WebAssembly | MDN に譲ります。

次に、cargo.toml を修正します。これは、npm における package.json のようなものです。

[package]
name = "hello-wasm"
version = "0.1.0"
authors = ["Your Name <you@example.com>"]
description = "A sample project with wasm-pack"
license = "MIT/Apache-2.0"
repository = "https://github.com/yourgithubusername/hello-wasm"

[lib]
crate-type = ["cdylib"]

[dependencies]
wasm-bindgen = "0.2"

[package] の部分は、npm に公開するときの情報として参照されるだけなので、重要なのは [lib][dependencies] だけです。

さて、準備が整ったのでビルドしてみましょう。

$ wasm-pack build --scope mynpmusername

これでビルドが走ります。簡単ですね。 MDN のチュートリアルでは、これでビルドしたパッケージを npm に公開しているのですが、ここでは公開せずに手元で使うことを考えます。

WebAssembly を利用する

作業ディレクトリで準備します。

$ yarn init
$ yarn add -D webpack webpack-cli webpack-dev-server
$ yarn install

今回はブラウザで WebAssembly を試したいので、webpack の dev-server を使います。 ちなみに、上のコマンドを叩いて webpack 等を入れると、チュートリアルの webpack とバージョンが違います。 そのため、webpack.config.js にちょっとした修正が必要になります。

// webpack.config.js

const path = require('path');

module.exports = {
    entry: './index.js',
    output: {
        path: path.resolve(__dirname, 'dist'),
        filename: 'index.js',
    },
    mode: 'development',
    experiments: {
        syncWebAssembly: true,
    },
};

experiments: { syncWebAssembly: true } のオプションを追加しましょう。*1

では、HTML と JS ファイルを用意します。

// index.html

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <meta charset="utf-8">
    <title>hello-wasm example</title>
  </head>
  <body>
    <script src="./index.js"></script>
  </body>
</html>
// index.js

const js = import('./hello-wasm/pkg/hello_wasm.js');

js.then((js) => {
    js.greet('World');
});

これで準備は完了です。hello world を表示しましょう。

$ yarn webpack-cli serve

ブラウザからアクセスすると、アラートが表示されるはずです。

まとめ

今回は、Rust + WebAssembly をゼロから hello world することろまで書きました。 Rust で書いた処理が Javascript から参照できて。しかも Javascript から渡した引数も参照できるのは何だか不思議な感じがしますね。

まだ全然分からないことばかりなので、WebAssembly の実際のユースケースとかあれば是非教えてください。

*1:syncWebAssembly オプションは wasm の読み込み方法を指定しているが、実は Webpack4 以前の方法であり depricated。本来は、asyncWebAssembly オプションを使うべき。